特定技能外国人を受け入れる企業・登録支援機関が増加する中、「どの管理ツールを使えばいいのか」という悩みをよく耳にします。在留期限の管理ミス・10項目の義務的支援記録の不備・多言語コミュニケーションの困難——これらの課題をシステムで解決しようとするものの、製品が多すぎて比較できないというのが実情です。

本記事では、特定技能の管理ツール8製品を料金・機能・AI対応・対象組織の観点から徹底比較します。登録支援機関と受入企業で選ぶべきツールの違い、さらにSaaS以外の選択肢(BPO+AI)についても解説します。この記事を読み終えると、貴社・貴機関に最適なツールを自信を持って選べるようになります。

特定技能の管理業務で直面する5つの課題

ツール選定の前に、特定技能管理業務の課題を整理しておきましょう。これらの課題への対応力がツール選びの基準になります。

課題1: 10項目の義務的支援の記録管理

特定技能外国人に対しては、登録支援機関または受入企業が10項目の義務的支援を実施し、かつそれを記録・保存する義務があります。10項目とは以下の通りです。

  1. 事前ガイダンスの提供
  2. 出入国時の送迎
  3. 適切な住居の確保支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 日本語習得の機会の提供
  6. 相談・苦情への対応
  7. 日本人との交流促進
  8. 非自発的離職時の転職支援
  9. 定期的な面談の実施・記録
  10. 行政手続きへの情報提供・同行

これらをすべてExcelや紙で管理しようとすると、記録漏れ・様式の統一不備・監査時の資料準備工数が膨大になります。管理ツールの導入で、この負担を大幅に削減できます。

課題2: 在留期限管理のミス

特定技能ビザの在留期限を見落とすと、不法就労状態になる重大なリスクがあります。特に人数が多い場合、Excelの手動管理では期限切れを見落とすリスクが常に存在します。自動アラート機能付きのツールが不可欠です。

課題3: 多言語コミュニケーションの困難

ベトナム・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・ネパールなど多様な国籍の特定技能外国人に対して、日本語のみでのコミュニケーションには限界があります。通訳費用・翻訳作業・緊急時の連絡対応が大きな負担になっています。

課題4: 支援記録の帳簿整備

特定技能の受入企業・登録支援機関は、支援実施状況を記録した帳簿を作成・保存する義務があります。年1回以上の入管への定期報告にも使用するため、日常的な記録の積み上げが欠かせません。

課題5: 定期面談の実施と記録

外国人本人・監督者それぞれとの定期面談を3ヶ月に1回以上実施し、その結果を記録することが義務付けられています。面談の実施漏れ・記録の紛失は行政指導につながるリスクがあります。

特定技能管理ツール比較一覧(8製品)

主要8製品の概要を一覧表で確認します。

ツール名 月額料金目安 対象組織 AI対応 LINE連携 主な強み
dekisugi 29,800円〜 監理団体・登録支援機関 限定的 なし 書類自動化・1,500団体実績
SMILEVISA 要問合せ 企業・登録支援機関 一部対応 あり 多言語対応・支援記録管理
Linkus 要問合せ 登録支援機関・企業 あり あり 多言語コミュニケーション特化
noborder 要問合せ 中小企業・登録支援機関 一部対応 あり シンプルUI・低コスト志向
さくらJOB 要問合せ 農業・飲食・製造業 なし 一部 業種特化・現場向け設計
かんべえ 低価格帯 中小規模監理団体 なし なし 低コスト・シンプル台帳管理
ビザマネ 要問合せ 行政書士・企業 なし なし ビザ・書類管理特化
Saver. 要問合せ 企業・リスク管理重視 一部対応 なし コンプライアンス・リスク管理

※料金・機能は2026年3月時点の情報です。最新情報は各社に直接お問い合わせください。

各ツールの詳細解説

dekisugi(できすぎくん)

株式会社グレッジが提供する、監理団体・登録支援機関向けの総合管理SaaSです。1,500団体以上の導入実績と継続率99%を誇ります。書類自動作成・在留期限管理・入管システム連携が強みで、業界特化の深い機能を持ちます。月29,800円〜のフリーミアムモデルで試しやすい点も評価されています。一方、AI多言語対応・LINE連携がない点は、コミュニケーション業務の多い組織には課題です。

SMILEVISA

特定技能の支援管理に特化したSaaSで、企業・登録支援機関の両方を対象としています。10項目の義務的支援の記録管理・定期報告書の自動生成・多言語対応機能が充実しています。LINE連携による外国人材との連絡管理も可能です。価格は規模・機能によって変動するため、事前の見積もり確認が必要です。UIが整理されており、ITに不慣れな担当者でも使いやすいという評価があります。

Linkus

多言語コミュニケーション機能に特化したプラットフォームです。ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語・タガログ語など複数言語に対応したAIチャットボットと、LINE・Zalo等のメッセージアプリとの連携が強みです。外国人材からの相談を多言語で24時間受け付け、対応内容をシステムに自動記録します。特定技能の10項目支援のうち「相談・苦情対応」「日本語習得支援」の効率化に特に効果的です。

noborder

中小企業・登録支援機関向けの外国人材管理SaaSです。シンプルなUIと比較的リーズナブルな価格設定が特徴で、機能の過剰感なく使いやすいツールを求める組織に向いています。在留期限管理・支援記録管理・定期報告書作成などの基本機能を網羅しています。LINE連携による外国人材とのコミュニケーション管理も可能です。

さくらJOB

農業・飲食業・製造業など特定の業種に特化した外国人材管理ツールです。現場作業者向けの使いやすさを重視した設計で、PCに不慣れな従業員でも操作できるシンプルなインターフェースが特徴です。業種特有の書類・管理フローに対応している点は強みですが、業種を超えた汎用性には限界があります。

かんべえ

中小規模の監理団体向けのシンプルな台帳管理ツールです。低価格帯の料金設定と操作のシンプルさが特徴で、「まずは在留期限管理だけデジタル化したい」という団体に向いています。機能はシンプルですが、書類自動作成・多言語対応・AI機能といった高度な機能はありません。

ビザマネ

行政書士事務所や企業の人事部門向けのビザ・書類管理ツールです。在留資格の申請・変更・更新手続きの管理と、関連書類の保存・追跡に特化しています。特定技能の10項目支援管理よりも、ビザ申請管理を中心に使いたい組織に向いています。

Saver.

外国人雇用のコンプライアンス・リスク管理に特化したプラットフォームです。在留資格の確認・不法就労防止・書類の適正管理などのリスク管理機能が充実しています。大企業・製造業など多くの外国人材を雇用する組織でのコンプライアンス強化に向いています。

選び方フローチャート(団体規模×IT成熟度で分岐)

以下のフローチャートを参考に、自社・自機関に最適なツールを絞り込んでください。

規模IT成熟度推奨選択肢理由
大規模(50人以上管理) 高(IT担当者あり) dekisugi / SMILEVISA 機能網羅性・拡張性が必要
大規模(50人以上管理) 低(IT担当者なし) BPO+AI(監理DXプラットフォーム) 運用工数の削減が最優先
中規模(20〜50人管理) 高(IT担当者あり) dekisugi / Linkus / noborder 専門機能×コスト最適化
中規模(20〜50人管理) 低(IT担当者なし) SMILEVISA / BPO+AI シンプル運用または業務代行
小規模(20人未満管理) いずれも かんべえ(低コスト)/ dekisugiフリープラン コスト最優先・必要最低限の機能

多言語コミュニケーション課題が深刻な場合

「外国人材からの相談対応・通訳コストが月10万円を超えている」「夜間・休日の緊急連絡対応に困っている」という場合は、Linkusまたは監理DXプラットフォームのAI多言語チャットボット機能が有効です。この課題がメインなら、書類管理機能よりも多言語対応機能を優先してツールを選ぶことをお勧めします。

FRM早期登録
外国人材管理をFRMで効率化する
監理団体・登録支援機関向けの外国人材管理プラットフォーム「FRM」のβユーザーを先着募集しています。
無料で早期登録する
編集部
Author
FRM Journal 編集部
監理団体・外国人材専門コンテンツチーム
監理団体・登録支援機関のDX推進・業務効率化を専門に取材・執筆。100以上の記事を通じて、外国人材活用に関わる実務担当者の課題解決を支援しています。