結論|新規参入の入口は「監理支援機関」「登録支援機関」「有料職業紹介」の3つ。許可か登録か、申請できる法人の種類、体制・財産の要件で選びます
- 技能実習制度の監理団体の新規許可申請について、外国人技能実習機構(OTIT)は2026年9月30日までに行うよう案内しています(申請自体は2027年3月31日まで可能ですが、10月1日以後の申請は審査が間に合わず許可できない可能性が高いとされています)。監理団体の許可を受けても育成就労の監理支援機関にはならず、別に監理支援機関の許可が必要です。
- 監理支援機関(育成就労)は主務大臣の許可制で、申請できるのは商工会議所・商工会・中小企業団体・職業訓練法人・農業協同組合・漁業協同組合・公益社団法人・公益財団法人など、営利を目的としない法人に限られます。
- 登録支援機関(特定技能)は出入国在留管理庁長官への登録制で、個人・団体のどちらでも申請できます。審査はおおむね2か月、申請手数料は新規28,400円、登録の有効期間は5年です。
- 有料職業紹介は厚生労働大臣の許可制で、基準資産額が500万円に事業所数を掛けた額以上であることなどの財産要件があります。許可の有効期間は新規3年、更新5年です。
- 本記事は公式資料で確認できた参入要件の比較です。個別の申請の可否は判断しません。各事業の詳しい手順は、本文中の専門記事をご覧ください。
「外国人材に関わる事業を始めたいが、監理団体・登録支援機関・人材紹介のどれから手をつければよいか分からない」という方に向けて、本記事では3つの事業形態の参入要件だけを、出入国在留管理庁・外国人技能実習機構(OTIT)・厚生労働省の公式資料で横並びにします。料金の相場や収益の見込みは扱いません。どの事業にするかを決めたら、それぞれの専門記事で申請の手順を確認してください。
外国人材ビジネスの3つの入口
2027年4月1日に育成就労法が施行され、技能実習制度にかわって育成就労制度が始まります。これから参入する場合の入口は、次の3つです。
- 監理支援機関(育成就労):育成就労外国人と受入れ企業(育成就労実施者)の間の雇用関係の成立のあっせんと、受入れ企業に対する監理を行う機関です。技能実習制度の監理団体の後継にあたりますが、別の許可です。制度の全体像は「監理支援機関とは?許可要件・申請スケジュール・監理団体との違い」で解説しています。
- 登録支援機関(特定技能):受入れ企業から委託を受けて、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を行う機関です。登録の要件と手続きは「登録支援機関になるには」で解説しています。
- 有料職業紹介:求人と求職の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんして手数料を受け取る事業です。外国人材に限らない一般の許可で、登録支援機関が紹介手数料を受け取る場合もこの許可が必要です。収入の組み立て方は「登録支援機関の収益モデル」で整理しています。
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参入要件の比較表(公式資料で確認できた範囲)
次の表は、各項目を公式資料の原文で確認できた範囲だけでまとめたものです。公式資料で数値が公表されていない項目は「公表なし」と記載しています。手数料は、事業所が1か所の場合の金額と、事業所が増える場合の計算式を示します。
| 項目 | 監理支援機関(育成就労) | 登録支援機関(特定技能) | 有料職業紹介 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 育成就労法 第23条(許可)・第25条(許可基準) | 出入国管理及び難民認定法 第19条の24第1項 | 職業安定法 第30条第1項(許可)・第31条(許可基準) |
| 許可か登録か | 主務大臣の許可 | 出入国在留管理庁長官の登録 | 厚生労働大臣の許可 |
| 申請できる者 | 営利を目的としない法人に限る(商工会議所・商工会・中小企業団体・職業訓練法人・農業協同組合・漁業協同組合・公益社団法人・公益財団法人など) | 個人・団体のどちらでも申請できる | 法人・個人のどちらでも申請できる(添付書類が法人用と個人用に分かれている) |
| 主な要件 | 監理支援を行う受入れ企業が原則2者以上(新規申請時は見込み)/監理支援の実務に従事する常勤の役職員が2人以上/直近の事業年度末で債務超過でない(債務超過だった場合も、申請時に月次試算表などで解消を確認できれば基準を満たす)/外部監査人による外部監査の措置/欠格事由に当たらない | 登録拒否事由に当たらない/支援計画の全部を実施できる体制がある(支援の一部だけを行う登録はできない) | 基準資産額が500万円×事業所数以上/自己名義の現金・預貯金が150万円+60万円×(事業所数−1)以上/職業紹介責任者の選任(講習受講など)/個人情報の管理体制/事業所の要件/欠格事由に当たらない |
| 申請先 | 外国人技能実習機構 本部審査課分室(施行日前申請。地方事務所では受け付けない) | 本店または主たる事務所を管轄する地方出入国在留管理局または同支局(郵送可) | 主たる事務所を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣へ |
| 審査期間・申請時期(公表されているもの) | 標準的な審査期間の公表なし。監理支援事業を開始する6か月以上前までに申請。施行日から事業を始めたい場合は2026年9月30日までの申請を求めていた(許可を確約するものではない) | 審査はおおむね2か月。支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請 | 事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前までに申請 |
| 有効期間 | 初回3年。更新は3年(前回の許可期間に改善命令・業務停止命令を受けていない場合は5年) | 5年 | 新規3年、更新5年 |
| 手数料・登録免許税(新規) | 申請手数料10,600円+4,400円×(事業所数−1)/調査手数料81,000円+57,600円×(事業所数−1)/登録免許税15,000円 | 申請手数料28,400円(更新は11,100円) | 手数料5万円+1万8千円×(事業所数−1)/登録免許税9万円 |
| 育成就労の施行(2027年4月1日)での扱い | 育成就労外国人の受入れを監理する機関。技能実習の監理団体の許可では育成就労外国人を受け入れられない | 特定技能制度の機関。育成就労の監理支援事業を行うには、別に監理支援機関の許可が必要 | 育成就労外国人の本人意向の転籍で、監理支援機関・機構・ハローワーク・地方運輸局以外の者が行う職業紹介を受けた場合、その転籍による受入れは認められない |
大きな分かれ目は、申請できる法人の種類です。監理支援機関は営利を目的としない法人に限られるため、株式会社や個人では申請できません。株式会社や個人事業主が参入する場合は、登録支援機関か有料職業紹介が候補になります。
次の分かれ目は体制と財産の要件です。監理支援機関は、申請時点で監理支援の実務に従事する常勤の役職員が2人以上いることが必要で、申請時は1人で事業開始までに増やす形は認められません。有料職業紹介は、基準資産額と自己名義の現金・預貯金の額が許可の基準になっています。登録支援機関は、支援計画の全部を実施できる体制があることが求められます。
技能実習制度の監理団体を新しく作る場合の注意
技能実習制度の監理団体について、外国人技能実習機構は次のように案内しています。
- 新規許可の申請は2026年9月30日までに行うよう求めています。申請自体は2027年3月31日まで可能ですが、2026年10月1日以後に申請した場合は、審査に一定の期間を要するため、技能実習法の終了時期である2027年3月31日までに審査を終えられず、許可できない可能性が高いとしています。9月30日までに申請しても、提出書類に不備があれば同様です。
- 監理団体の許可を受けていても、育成就労法に基づく監理支援機関にはならないため、育成就労外国人の受入れはできません。2026年10月1日以後に監理団体の許可申請を考えている場合は、監理支援機関の許可申請を検討するよう案内しています。
- 監理団体の許可の有効期間は一律ではなく、特定監理事業が3年または5年、一般監理事業が5年または7年です(長い方は、前回の許可期間内に改善命令や事業停止命令を受けていない場合)。
監理団体(監理支援機関)を母体となる事業協同組合から設立する流れは「監理団体の設立・許可申請ガイド」で解説しています。
どれから始めるかを決める4つの確認
比較表をもとに、次の4点を順に確認すると、選べる事業形態が絞り込めます。
1. どの法人で申請するか
商工会議所・商工会・事業協同組合などの中小企業団体、農業協同組合、公益法人などをすでに持っている、または新たに設立できる場合は、監理支援機関を選べます。ただし、商工会議所・商工会・中小企業団体・農業協同組合・漁業協同組合の場合は、監理支援を行う受入れ企業がその会員・組合員である必要があります。株式会社・個人事業主の場合は、登録支援機関か有料職業紹介から選びます。
2. 受入れ企業の見込みがあるか
監理支援機関の新規許可申請では、監理支援を行う受入れ企業が2者以上となる見込みを、会員・組合員等の一覧表で具体的に示す必要があります。受入れ企業の名称・住所・代表者名、1年間の受入れ人数、受入れ見込み時期、分野・業務区分などを記載し、許可後1年以内に予定どおり受け入れることが求められます。
3. 必要な人員をそろえられるか
- 監理支援機関:監理支援の実務に従事する常勤の役職員が2人以上。受入れ企業の数を8で割った数、育成就労外国人の数を40で割った数のいずれも超える人数が必要です。加えて、外部監査人(弁護士・社会保険労務士・行政書士など育成就労に関する知見を有し、所定の講習を修了した者)の選任が必要です。
- 登録支援機関:1号特定技能外国人支援計画の全部を実施できる体制が必要です。登録を受けるための基準の詳細は、特定技能運用要領と運用要領別冊に定められています。
- 有料職業紹介:職業紹介に従事する者50人ごとに1人の職業紹介責任者を選任します。職業紹介責任者は、申請の受理の日の前5年以内に職業紹介責任者講習を受講している必要があります。
4. いつから事業を始めたいか
公表されている申請時期の目安は、監理支援機関が事業開始の6か月以上前、有料職業紹介が事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前、登録支援機関が支援業務の開始予定日のおおむね2か月前です。監理支援機関で施行日(2027年4月1日)から事業を始めたい場合、機構は2026年9月30日までの申請を求めていました。
事業計画で確認する費用と条件
本記事では、初期投資や収益の金額の目安は示しません。金額は地域・規模・体制によって大きく変わるため、次の費目と条件を自社の数字で見積もってください。公式資料で金額が定められているのは、比較表の手数料・登録免許税と、有料職業紹介の財産要件です。
- 法定の手数料・登録免許税:比較表の金額。事業所の数によって増えます。
- 法人の設立・定款の整備:監理支援機関の母体となる法人を新たに設立する場合の費用と期間。
- 常勤の人員:監理支援機関の常勤の役職員(2人以上)、登録支援機関の支援体制、有料職業紹介の職業紹介責任者。
- 外部監査人への報酬:監理支援機関で必要です。
- 財産の要件:有料職業紹介の基準資産額と自己名義の現金・預貯金。監理支援機関は直近の事業年度末で債務超過でないこと(債務超過だった場合も、申請時に直近の月次試算表などで解消を確認できれば基準を満たすとされています)。
- 事務所:有料職業紹介は、プライバシーを保護しつつ求人者・求職者に対応できる構造などの事業所要件があります。
- 多言語での対応:通訳・翻訳の体制。
- 受け取る料金の設計:監理支援機関の許可申請では「監理支援費表」の提出が求められます。有料職業紹介は手数料表を定める必要があります。
よくある質問(FAQ)
今から技能実習制度の監理団体を新しく作ることはできますか?
外国人技能実習機構は、技能実習制度に基づく監理団体の新規許可申請を2026年9月30日までに行うよう案内していました。申請自体は2027年3月31日まで可能ですが、2026年10月1日以後に申請した場合は、審査に一定の期間を要するため、技能実習法の終了時期である2027年3月31日までに審査を終えられず、許可できない可能性が高いとしています。9月30日までに申請しても、提出書類に不備があれば同様です。また、監理団体の許可を受けても育成就労外国人は受け入れられないため、機構は2026年10月1日以後に申請を考えている場合は監理支援機関の許可申請を検討するよう案内しています。
今ある監理団体は、育成就労が始まると自動的に監理支援機関になりますか?
なりません。外国人技能実習機構は、技能実習制度に基づく監理団体の許可を受けていても育成就労法に基づく監理支援機関にはならず、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があると案内しています。監理支援機関の施行日前申請は2026年4月15日から2027年3月31日まで受け付けられており、施行日から事業を始めたい場合は2026年9月30日までの申請を求めていました(許可を確約するものではありません)。
個人でも外国人材ビジネスを始められますか?
事業形態によります。登録支援機関は、出入国在留管理庁が「登録支援機関になろうとする個人又は団体」は登録申請が必要と案内しており、個人でも申請できます。有料職業紹介も、許可申請の添付書類が法人用と個人用に分けて定められており、個人でも申請できます。監理支援機関は営利を目的としない法人に限られるため、個人では申請できません。
特定技能外国人を受け入れる企業は、登録支援機関に必ず委託しなければなりませんか?
必須ではありません。出入国在留管理庁は、1号特定技能外国人支援計画の実施は受入れ機関が行うほか、登録支援機関に委託して実施することもできると案内しています。支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
許可・登録を受けるまでどれくらいかかりますか?
公表されている目安は次のとおりです。登録支援機関は審査におおむね2か月を要するため、支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請します。有料職業紹介は事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前までに申請します。監理支援機関は標準的な審査期間の公表はなく、監理支援事業を開始する6か月以上前までに申請するよう案内されています。いずれも書類に不備があると遅れます。
公式出典と未確定事項
- 外国人技能実習機構(OTIT)「監理団体の許可申請」、同「監理団体許可の申請を検討されている皆様へ」、同「監理団体の許可申請手続」
- 外国人技能実習機構(OTIT)「監理支援機関許可施行日前申請」、同「監理支援機関の許可申請手続【施行日前申請用】」、同「手数料・登録免許税について」
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」(第5章 監理支援機関の許可等 5-1、5-12〜16、5-21、5-26、5-69〜70頁、本人意向の転籍 4-202〜203頁)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請」、同「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
- 厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」、同「職業紹介事業パンフレット-許可・更新等手続マニュアル-(令和7年4月)」、大阪労働局「有料職業紹介事業の許可」
未確定・個別確認が必要なもの
- 監理支援機関の許可の標準的な審査期間は公表されていません。
- 施行日(2027年4月1日)以後の監理支援機関の許可申請の申請先・手続きは、機構の案内で確認が必要です。
- 登録支援機関の登録基準の詳細(支援体制の具体的な要件)は、特定技能運用要領と運用要領別冊で確認が必要です。
- 有料職業紹介で国外にわたる職業紹介を行う場合は、相手先国に関する書類など追加の手続きがあり、厚生労働省のパンフレットで確認が必要です。
この記事の確認情報
公開日:2026-06-28/最終更新日:2026-09-23/最終事実確認日:2026-09-23/編集・事実確認:FRM Journal編集部
本記事は公開情報に基づく制度の一般的な説明であり、個別の許可・登録申請の可否や書類の作成は扱いません。個別の案件は、所管の行政機関または行政書士・弁護士等の専門家にご確認ください。
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