特定技能外国人を受け入れる企業に代わって、生活・就労の支援を担うのが「登録支援機関」です。営利法人でも参入でき、これから外国人材ビジネスを始めたい事業者にとって有力な選択肢となっています。この記事では、登録支援機関を新たに始めたい方に向けて、登録の要件確認から申請、登録完了までの手続きと流れを、順を追って解説します。登録支援機関の役割・業務内容・費用相場といった全体像は登録支援機関とは|役割・業務・費用相場の完全ガイドで詳しく扱っているため、本記事では「どうすればなれるのか」という手続きの実務に絞ってご案内します。

登録支援機関になるには|登録制の全体像

登録支援機関は、出入国管理及び難民認定法(入管法)にもとづき、出入国在留管理庁長官の「登録」を受けて活動する機関です。ここで押さえておきたいのは、登録支援機関は「許可制」ではなく「登録制」だという点です。技能実習・育成就労制度の監理団体(監理支援機関)が主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)の許可を必要とするのに対し、登録支援機関は要件を満たして所定の申請を行えば登録を受けられます。相対的に参入のハードルは低く設計されています。

登録支援機関が行うのは、受入企業(特定技能所属機関)から委託を受けて、特定技能1号外国人への「義務的支援」を代行することです。外国人を自ら雇用するわけではなく、雇用契約の当事者はあくまで受入企業と外国人本人です。登録支援機関はその間に立ち、支援サービスを提供する専門機関という位置づけになります。

そもそも特定技能制度とはどのような在留資格なのか、制度の前提から確認したい方は特定技能とは|制度の仕組みをわかりやすく解説もあわせてご覧ください。なお、登録の有無で活動できるかどうかが決まるため、登録を受けずに支援業務を「業として」行うことはできません。まずは、自社(または自分)が登録の要件を満たせるかどうかの確認が出発点になります。

法人でも個人でも登録支援機関になれますが、実務上は法人として登録するケースが大半です。すでに別事業を営んでいる企業が新規事業として参入することも、外国人材ビジネスを目的に新たに法人を設立することもできます。外国人材ビジネス全体の始め方を俯瞰したい場合は外国人材ビジネスの始め方|事業モデルと参入ステップが参考になります。

登録の主な要件

登録を受けるには、入管法が定める基準を満たし、かつ欠格事由に該当しないことが必要です。新規参入の目線で特に重要なポイントを整理します。なお要件の細部や運用は改正・通知で変わり得るため、申請前に必ず出入国在留管理庁の最新の要領・様式を確認してください。

法人・個人の別と中立性

登録支援機関は、株式会社・合同会社などの営利法人でも、非営利法人でも、個人でも登録できます。監理団体が非営利法人に限られるのと大きく異なる点です。一方で、外国人の保護に支障が生じるおそれがある立場の者は登録できません。たとえば特定の送出機関と不適切な利益相反関係にある場合などは、中立性の観点から問題となります。

支援責任者・支援担当者の配置

支援を適正に実施できる体制として、支援責任者と支援担当者を選任している必要があります。両者を兼任することも可能ですが、外国人からの相談に応じ、定期面談や記録・届出を確実に回せる人員体制が前提です。外国人が十分に理解できる言語で情報提供・相談対応ができる体制(自社の人員または委託による通訳体制)も求められます。

支援実績または相談業務の経験(中立要件)

支援を適正に行える機関であることを示すため、おおむね次のいずれかに該当することが求められます。

  • 受入れ・管理の実績:過去一定期間内に、中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があること
  • 相談業務の経験:役員または職員が、過去一定期間内に、報酬を得て中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること
  • これらと同等の体制:上記に準じて、支援を適正に実施できると認められる体制を備えていること

新規参入者がつまずきやすいのがこの要件です。まったくの未経験から始める場合は、相談業務の経験を持つ人材を支援責任者・支援担当者として迎える、あるいは同等の体制をどう説明できるかが論点になります。期間や対象の細かな要件は変わり得るため、最新の基準を確認したうえで自社の体制設計に落とし込んでください。

欠格事由

過去に入管法令・労働関係法令などへの違反があった場合や、暴力団関係者である場合などは欠格事由に該当し、登録を受けられません。また、支援に要する費用を外国人本人に直接負担させないこと、必要な情報を記録・保存できることなども基準に含まれます。これらは登録後の運営でも継続して守るべき事項です。

登録申請の流れと必要書類

登録の申請先は、地方出入国在留管理局(官署)です。申請から登録までは、おおむね次のステップで進みます。

  1. 要件の確認:支援責任者・支援担当者、言語対応体制、支援実績または相談経験などの要件を満たせるか自己点検する
  2. 申請書類の作成・収集:申請書および添付書類を、最新の様式に沿って準備する
  3. 手数料の納付:所定の手数料(収入印紙)を用意する
  4. 申請書の提出:管轄の地方出入国在留管理局へ提出する
  5. 審査:要件適合性が審査される。不備があれば補正を求められる
  6. 登録・通知:登録が認められると登録支援機関登録簿に登録され、登録通知書が交付される

提出が必要となる主な書類は次のとおりです。様式・必要部数は改定されることがあるため、提出前に必ず最新版を入手してください。

区分 主な書類
申請書 登録支援機関登録申請書(所定様式)
法人関係 定款・登記事項証明書(法人の場合)、役員の住民票の写し等
体制を示す書類 支援責任者・支援担当者の就任承諾書および履歴書、支援業務の実施体制を説明する書類
言語対応 支援に用いる言語・通訳体制を示す書類
誓約・要件 欠格事由に該当しない旨の誓約書、中立性・支援実績に関する書類
手数料 登録手数料(収入印紙)

登録手数料は、新規登録が28,400円、登録更新が11,100円です(いずれも収入印紙で納付。2026年6月時点)。金額は改定される可能性があるため、最新の案内を確認してください。書類作成を行政書士などの専門家に依頼する場合は、その報酬として別途数万円から十数万円程度(税抜・事務所により幅あり)がかかるのが一般的です。自社で申請する場合はこの専門家報酬を抑えられますが、その分、要件確認と書類整備の手間を見込む必要があります。

登録までの期間の目安

申請から登録完了までの期間は、書類の整い具合や審査状況によって変わります。一般的には2〜3か月程度を見ておくと計画が立てやすいでしょう。ただしこれはあくまで目安であり、申請が集中する時期や、書類の補正が発生した場合にはさらに時間を要することがあります。

新規参入で事業開始時期を決めている場合は、この審査期間を逆算してスケジュールを組むことが大切です。受入企業との委託契約は登録完了後でなければ実際の支援を開始できないため、「いつから支援業務を受託できるか」は登録の見込み時期に左右されます。営業活動の立ち上げと並行して、余裕をもった申請計画を立てることをおすすめします。

登録後の義務と更新

登録はゴールではなく、運営のスタートです。登録支援機関には、登録後も継続して果たすべき義務があります。

  • 義務的支援の実施:受託した特定技能外国人に対し、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・定期面談・相談対応・転職支援など、10項目の義務的支援を確実に実施する
  • 各種届出:商号・所在地・支援責任者などに変更が生じた場合の変更届、定期的な支援実施状況の届出を期限内に提出する
  • 記録の作成・保存:支援内容や面談記録などを適切に作成・保存する
  • 登録の更新:登録の有効期間は5年で、継続するには有効期間満了前に更新申請が必要

10項目の義務的支援の具体的な内容や、各支援のタイミングについては登録支援機関とは|役割・業務・費用相場の完全ガイドで一覧とともに解説しています。届出を怠ったり、義務的支援が適正に行われていなかったりすると、指導や登録の取消しの対象になり得ます。登録後の運営をいかに継続的・確実に回すかが、機関としての信用と事業の継続性を左右します。届出や面談記録、在留期限の管理は件数が増えるほど煩雑になるため、運営体制づくりは早い段階から検討しておくと安心です。

自社支援との違い・委託を受ける立場

特定技能制度では、義務的支援を受入企業が「自社で実施する」ことも認められています。登録支援機関は、その支援業務を受入企業から委託を受けて代行する立場です。つまり登録支援機関のビジネスは、自社で支援する余力やノウハウがない受入企業の存在を前提に成り立っています。

新規参入者にとって重要なのは、この「委託を受ける立場」を正しく理解することです。登録支援機関は受入企業の代わりに支援を行いますが、受入企業が負う法的責任を肩代わりするわけではありません。支援の品質が低ければ受入企業の不適正受入につながり、結果として委託契約を失います。逆に、丁寧な支援と確実な記録・届出で受入企業を安心させられれば、長期的な委託関係を築けます。

また、登録支援機関は特定技能の支援を担う機関であり、技能実習・育成就労制度の監理団体とは制度も役割も異なります。特定技能と監理団体の関係を整理したい方は特定技能と監理団体の関係|役割と違いを整理を、監理団体側の立ち上げに関心がある方は監理団体の設立|要件と手続きの流れもあわせてご確認ください。自社がどの制度のどの立場で外国人材ビジネスに関わるのかを定めることが、参入設計の最初の分岐点になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人でも登録支援機関になれますか?

はい、個人でも登録は可能です。ただし実務上は、定期面談や相談対応、記録・届出を継続的に回す必要があるため、法人として体制を整えて登録するケースが多数です。支援責任者・支援担当者の配置や言語対応体制など、要件は個人でも法人でも基本的に同じです。

Q2. 未経験から登録支援機関を始められますか?

外国人材の受入れや相談業務の経験がまったくない状態だと、「支援を適正に実施できる体制」を示す要件がハードルになります。相談業務の経験を持つ人材を支援責任者・支援担当者として迎える、または同等の体制をどう説明できるかが鍵です。最新の基準を確認したうえで、体制設計から準備しましょう。

Q3. 登録支援機関は「許可」ではなく「登録」なのですか?

そのとおりです。登録支援機関は出入国在留管理庁長官への登録制です。監理団体(監理支援機関)の「許可制」とは異なり、要件を満たして申請すれば登録を受けられます。参入のハードルは相対的に低めですが、登録後の義務は確実に履行する必要があります。

Q4. 登録までどのくらいの期間がかかりますか?

一般的な目安は申請から2〜3か月程度です。ただし書類の補正が生じた場合や申請が集中する時期にはさらにかかることがあります。事業開始時期から逆算して、余裕をもったスケジュールで申請することをおすすめします。

Q5. 登録に有効期限はありますか?

はい、登録の有効期間は5年です。継続して活動するには、有効期間が満了する前に更新申請を行う必要があります。あわせて、変更届や定期的な支援実施状況の届出などの義務も継続します。

本記事は2026年6月時点の制度をもとに、新規参入の目線で手続きの流れを整理したものです。登録の要件・必要書類・手数料・様式は改正や通知で変わり得ます。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の最新の要領・様式を必ずご確認のうえ、必要に応じて行政書士などの専門家にご相談ください。

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