結論|日誌を書くのは実習実施者、監理団体は「確認・照合」の立場です

  • 技能実習日誌(参考様式第4-2号)は、実習実施者(受入企業)が作成する法定の帳簿書類です(技能実習法第20条、施行規則第22条第1項第3号)。
  • 監理団体の役割は、巡回指導・監査の際に日誌を確認し、技能実習計画どおりの業務が行われているかを照合することです(技能実習制度運用要領)。
  • 監査で指摘される書き方には、①同じ文言の繰り返し、②実習予定表にない業務、③まとめ書き・記入漏れ、という3つの類型があります。本記事は公式記載例と運用要領の原文に基づき、記載項目からチェック観点まで整理します。

根拠:外国人技能実習機構「技能実習日誌(参考様式第4-2号)」「技能実習日誌(参考様式第4-2号)記載例」/出入国在留管理庁・厚生労働省「技能実習制度運用要領」(令和8年4月1日改正版)

技能実習日誌の「書き方」を解説する記事は複数のサイトが公開していますが、いずれも日誌を実際に書く受入企業の担当者向けです。監理団体の事務局・巡回担当者が知りたいのは、書き方そのものより「受入企業が書いた日誌をどう確認すればよいか」という照合・指導の視点ではないでしょうか。本記事は監理団体側の目線で整理します。巡回指導全般の準備は「監理団体の巡回指導対策」、実地検査への備えは「監理団体の実地検査 完全対策」もあわせてご確認ください。

技能実習日誌とは何か。誰が書き、監理団体は何をするのか

技能実習日誌は、技能実習法第20条に基づき実習実施者が作成する帳簿書類の一つです。施行規則第22条第1項では、実習実施者が備え置くべき帳簿書類として次の4種類が列挙されており、日誌はその第3号にあたります。

  • 第1号:技能実習生の管理簿
  • 第2号:認定計画の履行状況に係る管理簿(参考様式第4-1号)
  • 第3号:技能実習生に従事させた業務及び技能実習生に対する指導の内容を記録した日誌(参考様式第4-2号)
  • 第4号:企業単独型実習実施者の入国前・入国後講習の実施状況記録

つまり日誌の作成義務者は監理団体ではなく、実習実施者(受入企業)です。監理団体は日誌を代筆・代行する立場ではありません。監理団体の役割は、第1号技能実習生に対する月1回以上の訪問指導や、号を問わず行う3か月に1回以上の監査(施行規則第52条第1号・第3号)の際に日誌を確認し、実習実施者が技能実習計画に沿って業務を行わせているかを照合することです。運用要領は、監査で事業所の設備・帳簿書類を確認する際の観点として「技能実習生に対する業務内容・指導内容を記録した日誌から、技能実習生が技能実習計画に記載された業務を行っていること」を確認する、と明記しています。日誌は受入企業の作成物であると同時に、監理団体にとっては計画と実態のズレを見抜くための照合資料という位置づけになります。

参考様式第4-2号の記載項目と記載例

様式は「( 年 月分)」として月単位で作成し、対象は別紙「技能実習生一覧表」(氏名・技能実習区分・実習期間を記載)に掲げる実習生です。日誌本体の記載欄は4項目です。

記載する内容
日付「/ ( )」の形式で日付と曜日を記載。休日も「休日」と明記する(記載例より)
技能実習生に従事させた業務実際に行わせた業務名。右欄には実習予定表(技能実習計画の実習実施予定表)の技能実習の内容欄の番号を記載する(様式の注意書き2)
技能実習生に対する指導の内容その日に行った具体的な指導内容。安全衛生教育・特別教育を実施した際は必ず記入する(記載例より)
指導者氏名登録している技能実習指導員の氏名

外国人技能実習機構が公表する記載例(2025年5月分の溶接職種の例)では、次のような記入がされています。

日付従事させた業務指導の内容
5/1(木)設計図書の読図作業(3、5)不明点は日本人に確認する
5/2(金)半自動溶接作業(1、2)前進溶接と後進溶接
5/7(水)半自動溶接(1、2)防風対策をとる
5/9(金)溶接仕上げ作業(3、5)グラインダの使用方法
5/26(月)年次有給休暇(休暇取得の旨を記入)

この記載例のポイントは、業務名がほぼ同じ「半自動溶接作業」であっても、指導内容は「前進溶接と後進溶接」「防風対策をとる」「クレータ処理を十分に行う」「磁気吹きの防止」など日によって具体的に書き分けられていることです。次のH2で説明する「同じ文言の繰り返し」というNGパターンと対照的な、良い記載の粒度感がここに表れています。なお様式の注意書きには、技能実習の区分・期間・従事させる業務等が異なる技能実習生については、日誌を分けて作成することも明記されています。

技能実習計画の実習予定表との対応関係

日誌の「従事させた業務」欄の右側に書く番号は、技能実習計画の実習実施予定表(技能実習計画認定申請書の第4面〜第6面)に記載された「技能実習の内容」欄の通し番号です。実習予定表には、必須業務・関連業務・周辺業務ごとに番号が振られ、各業務について月ごとの実施時間の目安が記載されています。たとえば溶接職種の実習予定表サンプルでは、「1:半自動溶接作業」「2:安全衛生業務」が必須業務として番号付けされ、それぞれに月別の予定時間が示されています。日誌に「1、2」と記入された行は、この必須業務に従事したことを意味します。つまり日誌と実習予定表は、番号という共通言語でつながっている形式です。監理団体が日誌を確認する際は、記載された番号が実習予定表のどの業務に対応するかを照合できる状態にしておくことが、次のH2で扱う「実習予定表にない業務」という指摘を防ぐ前提になります。実習予定表の番号体系をあらかじめ把握しておくことが、日誌確認の出発点になります。

監査で指摘される書き方3類型と、その場での指導の仕方

監理団体の巡回指導・監査で日誌を確認する際、実務上よく指摘される書き方には、大きく3つの類型があります。

類型1:同じ文言の繰り返し

「特になし」「順調」「指導した」など、指導の内容欄が毎日ほぼ同一の文言で埋まっているケースです。公式記載例が「前進溶接と後進溶接」「防風対策をとる」のように日ごとに具体的な指導内容を書き分けていることと対照的で、実際に指導が行われているかどうかの裏付けとして弱いと見なされやすい書き方です。指導の仕方としては、その日に実際に起きた出来事(工程の変化、注意した安全動作、失敗しやすいポイントなど)を一言添えるよう、指導員に具体的に依頼することが有効です。

類型2:実習予定表にない業務

従事させた業務欄に記載された番号が、実習予定表の技能実習の内容欄に存在しない、または番号自体が空欄になっているケースです。これは技能実習計画に定めのない業務を行わせている可能性、あるいは単に番号の記載を怠っている可能性のいずれかを示唆します。監理団体としては、まず番号の記載漏れなのか、計画外の業務が実際に発生しているのかを実習実施者に確認し、後者であれば技能実習計画の変更届出・変更認定の要否を検討するよう助言することになります。

類型3:まとめ書き・記入漏れ

数日分・数週間分をまとめて後日記入している、あるいは空欄のまま放置されているケースです。様式が「月分」でまとまっているため、月末に慌ててまとめて書くという運用に陥りやすい点は、監理団体側でも起こりやすい実務上の落とし穴として認識しておく価値があります。指導の仕方としては、日誌を実習実施者内でその日のうちに記入する運用ルールを設けてもらい、巡回指導の際に直近の記入日を確認することが有効です。巡回指導全体の指摘事例・チェックリストは「監理団体の巡回指導対策」で詳しく解説しています。

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受入企業ごとの日誌確認状況、巡回指導・監査の実施記録、指摘事項のフォローアップをどう管理するかを、御団体の体制に当てはめてご相談いただけます。

必須・関連・周辺業務の割合を日誌からどう確認するか(月次の集計手順)

技能実習計画の認定基準(施行規則第10条第2項第2号ハ)では、移行対象職種・作業について、業務に従事させる時間全体に占める割合が、必須業務は2分の1以上、関連業務は2分の1以下、周辺業務は3分の1以下となることが求められています。あわせて、必須・関連・周辺業務のそれぞれについて、従事させる時間の10分の1以上を安全衛生に係る業務に充てることも求められます(同号ニ)。日誌からこの割合を確認する実務上の手順は、次のようになります。

  1. 日誌の「従事させた業務」欄に記載された番号を、月ごとに1件ずつ書き出す
  2. 実習予定表の技能実習の内容欄と照合し、それぞれの番号が必須・関連・周辺のどの区分かを特定する
  3. 区分ごとの実施日数(または記載された作業時間があればその時間数)を積算する
  4. 必須業務が全体の2分の1以上、関連業務が2分の1以下、周辺業務が3分の1以下になっているか、月次で確認する

ここで注意が必要なのは、日誌の様式自体は業務の実施時間まで記録する欄を持っていないという点です。日単位の従事業務は分かっても、時間配分までは日誌だけでは厳密に確認できません。運用要領は監査時の帳簿確認について「賃金台帳、タイムカードなどから確認できる技能実習生に対して支払われた報酬や労働時間が技能実習計画に記載された内容と合致していること」を確認する観点を挙げており、日誌単独ではなく複数の帳簿を組み合わせて確認する前提であることがうかがえます。この点は断定を避け、あくまで実務上の工夫として案内します。

巡回指導・監査で日誌のどこを見るか|チェック観点10項目

  • 1. 日付・曜日に抜けがなく、休日は「休日」と明記されているか
  • 2. 従事させた業務欄に、実習予定表の内容欄の番号が記載されているか
  • 3. 記載された番号が実習予定表の技能実習の内容欄と一致しているか(計画外の業務がないか)
  • 4. 指導の内容欄が、日によって具体的に書き分けられているか(同一文言の繰り返しになっていないか)
  • 5. 指導者氏名が、実際に登録されている技能実習指導員と一致しているか
  • 6. 技能実習の区分・期間・従事させる業務が異なる実習生について、日誌が分けて作成されているか
  • 7. 同日入国・同一作業の実習生をまとめて記載している場合、業務やシフトが異なる実習生は別に作成されているか
  • 8. 記入日と実際の作業日が近く、月をまたぐまとめ書きになっていないか
  • 9. 必須業務の割合がおおむね2分の1以上になっているか、月次で確認した記録が残っているか
  • 10. 履行状況管理簿(参考様式第4-1号)の記載内容と矛盾していないか

実地検査における帳簿確認全般の準備は「監理団体の実地検査 完全対策」でチェックリスト化しています。日誌単体の確認観点として、あわせてご活用ください。

保存期間と履行状況管理簿(参考様式第4-1号)との関係

技能実習日誌を含む帳簿書類の保存期間は、施行規則第22条第2項により技能実習生が技能実習を終了した日から1年間と定められています。3年間の実習を行った場合は、最終区分の終了時から1年間、第1号開始時からの帳簿をあわせて保存しておく必要があります。また日誌の様式自体の注意書きには「認定計画の履行状況に係る管理簿と併せて保存すること」と明記されており、履行状況管理簿(参考様式第4-1号)とセットで保存・管理することが前提になっています。履行状況管理簿は計画の履行状況を記録する帳簿であり、日誌はそれを裏付ける日々の記録という位置づけです。両者の記載内容に矛盾がないかも、チェック観点の一つになります。

育成就労移行後の扱い(未確定)

育成就労制度(2027年4月施行予定)に移行した場合、技能実習日誌に相当する帳簿書類の様式・記載項目・保存ルールがどうなるかについては、本記事執筆時点(2026年9月4日)で確認できる一次資料がなく、未確定です。育成就労関連の分野別運用要領・様式は分野ごとに順次公表されている段階であり、日誌に相当する帳簿の具体的な取扱いが判明した場合は、本記事の内容を見直します。育成就労計画の認定申請の実務は「育成就労計画の認定申請ガイド」で解説しています。

よくある質問

技能実習日誌は誰が作成しますか。監理団体が作成することはありますか。

技能実習日誌(参考様式第4-2号)は、実習実施者(受入企業)が作成する法定の帳簿書類です(技能実習法第20条、施行規則第22条第1項第3号)。監理団体は作成主体ではなく、巡回指導や監査の際に日誌を確認し、技能実習計画どおりの業務が行われているかを照合する立場です。

技能実習日誌の記載頻度はどのくらいですか。毎日書く必要がありますか。

様式は「( 年 月分)」として月単位で作成する形式で、日付ごとに1行を記入します。公式記載例では休日も「休日」と明記されており、休日を含めて日付を連続して記載する運用が、記録の連続性を示すうえで参考になります。まとめて後日記入することは、監査で指摘される書き方の1類型です。

技能実習日誌の「指導の内容」欄には具体的に何を書けばよいですか。

公式記載例では「前進溶接と後進溶接」「クレータ処理を十分に行う」「保護具の正しい着用方法」など、その日に実際に指導した内容が業務ごとに具体的に記載されています。安全衛生教育や特別教育を実施した際は必ず記入する旨も記載例に明記されています。毎日同じ文言で埋めることは、監査で指摘される書き方の1類型です。

必須業務・関連業務・周辺業務の割合が守られているかは、日誌だけで確認できますか。

日誌の従事業務欄は、実習予定表(技能実習計画)の内容欄の番号を記載する形式のため、月ごとに番号を集計すれば必須・関連・周辺の内訳のおおよそは把握できます。ただし日誌は時間数まで記録する様式ではないため、時間単位での厳密な確認には賃金台帳やタイムカードなど他の帳簿もあわせて照合するのが実務上の一般的なやり方です。

技能実習日誌の保存期間はどれくらいですか。育成就労に移行したらどうなりますか。

施行規則第22条第2項により、技能実習生が技能実習を終了した日から1年間の保存が必要です。育成就労制度に移行した場合の日誌に相当する帳簿の様式・保存ルールは、本記事執筆時点(2026年9月4日)で確認できる一次資料がなく未確定です。制度施行後の公式情報を確認してください。

公式出典と未確定事項

本記事は、2026年9月4日時点で確認できた以下の一次資料を基に整理しています。

未確定・個別確認が必要なもの

法定の割合(必須2分の1以上・関連2分の1以下・周辺3分の1以下)は、施行規則第10条第2項第2号ハのとおり従事させる時間を基準に判定します。本記事で紹介した日数ベースの集計は月次の異常検知に使う参考値であり、法定割合の判定に用いるものではありません。育成就労移行後の日誌に相当する帳簿の扱いも未確定です。実際の運用は必ず外国人技能実習機構・出入国在留管理庁の最新情報でご確認ください。

この記事の確認情報

公開日:2026-09-04/最終事実確認日:2026-09-04/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は一般的な制度情報であり、個別案件の法律・行政手続に関する助言ではありません。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください

FRM
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FRM Journal 編集部
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