結論|訪問指導記録書(参考様式第4-10号)は「月1回以上」「監理責任者の指揮の下」が法定義務。様式そのものは「参考」であり、記載事項を満たせば自団体で調整できます

  • 第1号技能実習生については、監理団体が監理責任者の指揮の下、月1回以上実習実施者に赴き、実地確認と指導を行う「訪問指導」が法定義務です(技能実習法施行規則第52条第3号)。
  • 訪問指導を行った場合は訪問指導記録書(参考様式第4-10号)を作成し事業所に備え付け、写しを毎年度の事業報告書(様式第23号)に添付して機構本部事務所へ提出します(施行規則第54条第1項第6号・第55条第3項第2号)。
  • 参考様式第4-10号は名称のとおり「参考」様式です。記載事項(対象期間・到達目標・月ごとの実施状況8項目・特記事項など)を満たせば、様式のレイアウト自体は自団体で調整できます。本記事は記入例・NG例、月1回のスケジュール設計、事業報告書への添付までの保管の流れを整理します。

根拠:出入国在留管理庁・厚生労働省「技能実習制度運用要領」第5章第2節第2(3)訪問指導に関するもの/第18節帳簿の備付け/第19節監査報告及び事業報告(最終確認日:2026-09-04)

「訪問指導記録書」で検索すると様式のダウンロードだけを紹介するページは見つかりますが、月1回という頻度をどう回すか、記録を監査や実地検査で使える水準にどう仕上げるかまで扱ったページは多くありません。本記事は監理団体の巡回・監理担当者と監理責任者を対象に、参考様式第4-10号の記載項目に沿って記入例・運用のコツ・保管の流れをまとめました。OTITから監理団体が受ける「実地検査」の対策は「監理団体の実地検査 完全対策」、実習実施者への「巡回指導」全般の日常運用は「監理団体の巡回指導対策」もあわせてご覧ください。

訪問指導と監査はどう違うか|まず用語を整理する

監理団体の実務では「巡回指導」「訪問指導」「監査」「実地検査」という似た言葉が並び、混同されがちです。法令上の整理は次のとおりです。

  • 訪問指導:監理団体が第1号技能実習生を対象に、月1回以上行うもの(施行規則第52条第3号)。本記事のテーマです。
  • 監査:監理団体が号を問わず全ての実習実施者を対象に、3か月に1回以上行うもの(施行規則第52条第1号)。監査報告書の作成ポイントも「監理団体の巡回指導対策」内で扱っています。
  • 実地検査:外国人技能実習機構(OTIT)が監理団体や実習実施者を対象に行う検査。監理団体が受入企業に行う訪問指導・監査とは主体が逆です。

この3つのうち、訪問指導と監査は根拠条文・頻度・対象・記録様式のいずれも異なります。表で比較します。

項目訪問指導監査(定期)
対象第1号団体監理型技能実習生のみ号を問わず全ての実習実施者
頻度月1回以上3か月に1回以上
根拠条文技能実習法施行規則第52条第3号技能実習法施行規則第52条第1号
実施の指揮監理責任者の指揮の下監理責任者の指揮の下
技能実習生との面談必須項目としては明記なし(実地確認と指導が主眼)技能実習生の4分の1以上との面談が必要
外部監査人の同行対象外事業所ごとに年1回以上必要
記録様式訪問指導記録書(参考様式第4-10号)監査報告書(省令様式第22号)
提出・保管事業所に備付け。写しを事業報告書に添付し年1回機構へ監査終了後遅滞なく機構の地方事務所・支所へ提出

参考様式第4-10号|訪問指導記録書の記載項目を確認する

参考様式第4-10号は日本産業規格A列4(A4)の1枚もので、次の項目で構成されています。

ヘッダー部分(1年間の実習全体にかかわる情報)

  • 訪問指導対象期間:第1号技能実習の開始日から終了日までの期間
  • 技能実習対象業種:職種・作業(または業種)名
  • 到達目標:目標・時期・確認方法の3項目。技能実習計画に記載された到達目標を転記します
  • 監理団体:名称、監理責任者印、訪問指導実施者印
  • 実習実施者:氏名または名称、技能実習責任者印

月次の記録表(1か月目〜12か月目、各月1行)

対象月ごとに、訪問指導実施日を記入したうえで、次の8項目を評価記号で記入します。

  • 技能実習計画の進捗状況:実習進捗、修得度合、時間配分
  • 技能実習生の実習状況:実習態度、実習意欲、日本語理解
  • 技能実習生の生活一般状況:生活態度、規律違反
  • 特記事項:上記8項目だけでは書ききれない事実を自由記載

評価記号は○=良好(指導なし)、△=不良ではないが指摘事項あり、×=不良(指導あり)の3種類です(様式の注意書きより)。第1号技能実習の1年間で最大12行を埋める構成で、第2号・第3号技能実習生には使用しません。

多くの監理団体では、この月次の1行だけでは訪問時の詳細(対応者、打ち合わせ内容、軽微変更の有無など)を記録しきれないため、訪問1回ごとの詳細ワークシートを別途使い、内容を参考様式第4-10号の月次欄にまとめる二段階の運用も行われています。詳しくは後述の「現場で記録を『その場で残す』ための運用の工夫」で扱います。

記入例とNG例|項目ごとに何を書くか

参考様式第4-10号は「参考」様式で、記載の詳しさに法令上の一律の基準はありませんが、実地検査で確認される帳簿書類である以上、訪問指導の実施状況を説明できるよう、記号だけでなく事実が読み取れる記載を残すことをおすすめします。以下は実習実施者を仮に「A社」とした記入例です(実際の記録書には正式名称を記載してください)。

項目記入例(OK)NG例
到達目標目標:「溶接の基本姿勢と安全確認手順を習得する」/時期:入国後6か月目/確認方法:技能実習責任者による実技確認認定計画からの転記を省略し空欄のまま提出
実習進捗○(型枠組立ての基本工程を一人で完了できるようになった)記号のみで特記事項欄が常に空欄
修得度合△(安全確認の声出しに一部抜けがあり、その場で再指導した)「問題なし」の一言だけで、何を確認したか記載がない
時間配分○(実習実施予定表と実際の従事時間が一致していることを確認)実習実施予定表と照合せず記号のみ記入
実習態度・実習意欲○(積極的に質問し、指導内容をメモに残していた)毎月同じ定型文をコピー&ペースト
日本語理解△(指示を復唱できず、図解を追加して再説明した)「理解している様子だった」とだけ記載
生活態度・規律違反○(宿舎の使用状況、門限の遵守をA社担当者に確認)軽微なトラブルを「特に問題なし」として処理
特記事項A社の技能実習責任者と打ち合わせた内容を記載毎月「特になし」のみが12か月分続く
印(監理責任者・訪問指導実施者・技能実習責任者)訪問当日または帰社後速やかに押印押印欄が空欄のまま年度末まで放置

特に注意したいのは、評価記号が「○」であっても、何を確認して「○」と判断したかが分かる特記事項を残すことです。技能実習制度運用要領は、監査における確認の水準について「『行きました』『問題ありませんでした』だけでは不十分」という考え方を示しており、この考え方は訪問指導の記録にも参考になります(法令上の一律の記載義務ではなく、検査対応上の推奨です)。

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月1回をどう回すか|起算月とスケジュール設計

「月1回以上」の起算点は、実習実施者における技能実習を開始した日が属する月です。技能実習制度運用要領は、次のように具体例を示しています。

  • 実習実施者における技能実習開始日が4月16日の場合、4月30日までに1回目の訪問指導を実施する必要があります。
  • 次回は、5月1日から5月31日までの期間に訪問指導を実施することになります。

実習生ごとに起算月がずれるため、複数の実習実施者を担当する巡回担当者は、次のようなスケジュール設計が実務上有効です。

  • 実習生ごとの起算月一覧を作る:入国後講習の修了日(実習開始日)を基準に、各実習生の「今月中に訪問すべき期限」を一覧化します。入国後講習の実施記録は「技能実習の入国後講習ガイド」もご覧ください。
  • 月内を週割りで消化する:月末に訪問が集中しないよう、事業所ごとに訪問日を週単位で分散させます。
  • 移動効率も考慮する:地理的に近い事業所を同じ週にまとめつつ、各実習生の起算月内(1日〜末日)に収まるよう調整します。
  • 未実施の可視化:月の後半になっても記録が未入力の実習生を一覧で確認し、期限超過を防ぎます。

訪問指導が義務づけられているのは第1号技能実習の期間(最長1年)のみで、参考様式第4-10号も「1か月目」〜「12か月目」の12行構成です。第2号に進んだ後は訪問指導は不要になり、3か月に1回以上の監査のみが求められます。

記録書を事業報告書に添付するまでの保管・整理の流れ

訪問指導記録書は、法律上「監理事業に関する帳簿書類」の一つです。保管と提出のルールは次のとおりです。

  • 備付け:施行規則第54条第1項第6号(「第五十二条第三号の規定による指導の内容を記録した書類」)に基づく帳簿書類として、監理事業を行う事業所に備え付けます(技能実習法第41条)。
  • 保存期間:技能実習が終了した日から1年間です(施行規則第54条第2項)。第2号まで実習した場合は第2号終了時から1年間ですが、実務上は第1号開始時からの記録一式を保有します。
  • 事業報告書への添付:監理団体は毎年度、事業所ごとに事業報告書(省令様式第23号)を作成し、訪問指導の内容を記録した書類の写しを添付して、翌技能実習事業年度の5月31日までに機構本部事務所の審査課へ提出します(技能実習法第42条第2項、施行規則第55条第2項・第3項第2号)。技能実習事業年度は4月1日〜翌年3月31日です。

年間を通じてこの流れを漏れなく回すには、次の整理が実務的です。

  1. 月次:訪問指導の都度、記録書に記入・押印し、実習生のファイルに綴じる。
  2. 四半期ごと:監査記録とあわせて抜け・押印漏れを確認する。
  3. 年度末(3月31日):在籍する第1号技能実習生全員の記録が揃っているかを棚卸しする。
  4. 事業報告書提出時(5月31日まで):写しを事業報告書に添付して提出する。

事業報告書全体の記載項目・提出期限については「監理団体の巡回指導対策」のチェックリストでも取り上げていますので、あわせてご確認ください。

監査・実地検査で記録書のどこを見られるか

技能実習制度運用要領は、帳簿書類全般について「機構が行う実地検査や主務大臣が行う立入検査の際にも提示できるよう適切に作成して備えておく必要があります」としています。訪問指導記録書もこの帳簿書類の一つです。実地検査の全体像は「監理団体の実地検査 完全対策」の「領域3:監査・訪問指導の実施記録」で解説していますが、訪問指導記録書に限れば次の点が確認されやすいポイントです。

  • 印の有無:監理責任者・訪問指導実施者・技能実習責任者の押印が揃っているか
  • 実施日の記載:毎月の訪問指導実施日が抜けなく記入されているか(「まとめ書き」の形跡がないか)
  • 特記事項の具体性:評価記号だけで、確認した内容や指導内容が読み取れない記載になっていないか
  • 前月からの継続性:前月に指摘(△・×)があった場合、翌月にその改善状況が確認されているか
  • 到達目標との整合:ヘッダー欄の到達目標が、認定を受けた技能実習計画の内容と一致しているか

訪問指導記録書は、監理団体が実習実施者に行う監査でも、認定計画どおりに技能実習が行われているかを確認する材料になり得ます。両方の記録を突き合わせて矛盾がないようにしておくと、実地検査への対応もスムーズです。

現場で記録を「その場で残す」ための運用の工夫

ここからは法令上の義務ではなく、実務上の工夫(推奨事項)です。記録が「後日まとめ書き」になりやすい背景には、訪問先で書ききれず、帰社後の記憶に頼って清書する運用があります。次の工夫で、その場での記録を増やせます。

  • 訪問前の準備:前月の特記事項と、実習実施者から事前提出を受けた技能実習日誌を確認してから訪問します。運用要領も、日誌を事前に電子提出させて確認することで「訪問指導の効率化を図ることは差し支えない」としています。
  • 訪問中の記録:発見した事実はその場でメモ(音声やスマートフォンのテキスト入力)に残します。参考様式第4-10号の1行だけでは書ききれない対応者・打ち合わせ内容・軽微変更の有無などを、訪問1回ごとの詳細ワークシートに書き留める運用が広く行われています。
  • 訪問後の清書:記憶が鮮明なうちに、詳細ワークシートの内容を月次欄に転記し、押印まで完了させる期限(例:訪問から48時間以内)を決めておきます。

手段は監理団体ごとにさまざまですが、共通するのは「現場で一次情報を残し、あとから思い出して書く工程を減らす」という考え方です。

よくある質問

訪問指導は誰が行う必要がありますか?

監理責任者の指揮の下、監理団体の役職員が行います(技能実習法施行規則第52条第3号)。技能実習制度運用要領は、技能実習計画の作成指導を担当した者が実施するのが望ましいとしつつ、実習実施者の数や所在地の関係で対応が難しい場合は、他の役職員が事前に必要な説明を受けた上で実施することも認めています。

訪問指導は第2号・第3号技能実習生にも必要ですか?

施行規則第52条第3号は「第一号団体監理型技能実習にあっては」と定めており、訪問指導が法的に義務付けられているのは第1号技能実習生のみです。第2号・第3号技能実習生には、訪問指導とは別建ての監査(3か月に1回以上、施行規則第52条第1号)が適用されます。

訪問指導記録書はどこに保管し、いつ機構に提出しますか?

訪問指導を行った都度、記録書(参考様式第4-10号)を作成し、監理事業を行う事業所に備え付ける必要があります(技能実習法第41条・施行規則第54条第1項第6号)。保管期間は当該技能実習が終了した日から1年間です。提出義務としては、記録書の写しを毎年度の事業報告書(様式第23号)に添付し、翌技能実習事業年度の5月31日までに機構本部事務所の審査課へ提出します(施行規則第55条第2項・第3項第2号)。

訪問指導と監査はどう違いますか?

訪問指導は第1号技能実習生を対象に月1回以上、監理責任者の指揮の下で実地確認と指導を行うものです(施行規則第52条第3号)。監査は号を問わずすべての実習実施者を対象に3か月に1回以上行い、認定計画との適合や法令違反の有無を確認し、技能実習生の4分の1以上との面談が求められます(施行規則第52条第1号)。根拠条文・頻度・対象・記録様式(訪問指導記録書と監査報告書)のいずれも別のものです。

訪問指導記録書は「特に問題なし」とだけ書いても大丈夫ですか?

法令上の様式そのものには評価記号(○・△・×)を記入する欄しかありませんが、実地検査でこの記録書を含む帳簿書類が確認される際は、何を確認してその評価に至ったかが読み取れることが重要とされています。特記事項欄が毎月空欄のまま、または記号だけで終わっている記録は、訪問指導が形骸化していると見られるリスクがあります。到達目標に対する具体的な進捗や、確認した業務内容を特記事項欄に残すことをおすすめします。

公式出典と未確定事項

本記事は、2026年9月4日時点で確認できた以下の一次資料を基に整理しています。

未確定・個別確認が必要なもの

訪問指導と監査を同日に実施できるかどうかについて、今回確認した運用要領の該当箇所に明確な可否規定は見当たりませんでした。記録書の記載を訂正する際の具体的な方法(訂正印の要否など)についても、今回確認した資料には記載がなく未確定です。実際の運用は、機構の地方事務所・支所への確認をおすすめします。また、本記事は「訪問指導記録書に自団体で作成するための記入例と手順」を扱うものであり、在留資格・入管への提出書類に関する個別の判断が必要な場合は、行政書士など専門家にご相談ください。

この記事の確認情報

公開日:2026-09-04/最終事実確認日:2026-09-04/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は一般的な制度情報であり、個別案件の法律・行政手続に関する助言ではありません。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください

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FRM Journal 編集部
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