特定技能制度には「1号」と「2号」の2区分が存在します。一見似た名称ですが、在留期間・対象分野・家族帯同の可否・求められる技能水準など、実務上の違いは非常に大きい。特に2023年の制度改正で2号の対象分野が2分野から11分野に大幅拡大されたことで、長期就労を視野に入れた人材戦略が現実的な選択肢になりました。本記事では、1号と2号の違いを比較表付きで体系的に解説し、受入企業・登録支援機関が押さえるべき実務上の判断ポイントを整理します。
特定技能1号と2号の違い【比較表】
まずは主要な違いを一覧表で確認しましょう。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 原則として通算5年以内(一部例外あり) | 3年・2年・1年・6か月(更新回数の上限なし) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子。家族滞在の許可が必要) |
| 対象分野数 | 19分野(新3分野は受入開始を段階的に整備) | 11分野 |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 日本語能力要件 | 原則JFT-BasicまたはN4以上(分野別の例外あり) | 分野別要件に加え、2027-04-01以降の認定証明書交付申請はB1相当以上 |
| 登録支援機関 | 支援計画に基づく義務的支援(自社実施または委託) | 1号特定技能外国人支援計画の対象外 |
| 転籍 | 所属機関変更時は在留資格変更許可申請が必要 | 所属機関変更時は在留資格変更許可申請が必要 |
比較表の要点:2号への移行可否は、在留期間だけでは決まりません。1号の対象は19分野、2号の受入れ対象は11分野であり、必要な技能試験・実務経験・日本語要件の有無は分野ごとに確認します。移行時に確認する条件を見る
在留期間(原則通算5年 vs 更新回数の上限なし)
特定技能1号は、受入企業が変わっても原則として通算5年以内です。一部に5年を超えて在留できる取扱いがあるため、例外の適用可否は出入国在留管理庁の案内で確認してください。転職すれば通算期間がリセットされるわけではありません。
一方、特定技能2号には在留期間の通算上限がありません。1回の在留期間は3年・2年・1年・6か月のいずれかで、更新を受ければ上限なく在留できます。永住許可への変更は別の要件に基づく手続であるため、個別に確認が必要です。
対象分野(19分野 vs 11分野)
特定技能1号の制度上の対象は19分野です。従来の対象分野に物流倉庫・資源循環・リネンサプライが加わりました。ただし、新3分野は分野別運用方針・省令・技能評価試験等の整備状況に応じて受入開始時期が異なるため、申請前に所管省庁の最新案内を確認してください。
特定技能2号の対象分野は11分野です。2023年の拡大前は建設と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、9分野が追加されました。1号の対象19分野すべてで2号を受け入れられるわけではないため、対象分野と業務区分を申請前に確認してください。
家族帯同(不可 vs 可能)
特定技能1号では、家族(配偶者・子)の帯同は原則として認められていません。ただし、別の在留資格(定住者・家族滞在など)を持つ家族が日本にいる場合は別途在留が可能です。
特定技能2号では、在留資格「特定技能2号」を持つ本人の配偶者および子の帯同が認められています。家族帯同の可否は、外国人材が長期就労・定住を決意する上での重要な判断要素であり、2号取得が定着促進に大きく寄与します。
日本語能力要件の違い
特定技能1号では、原則として日本語能力試験(JLPT)N4以上または日本語基礎テスト(JFT-Basic)で日本語能力を確認します。技能実習2号を良好に修了した場合には日本語試験が免除されますが、分野・業務区分による追加要件や免除の取扱いは別途確認してください。
現在の分野別の日本語要件も確認してください。例えば外食業では「外食業特定技能2号技能測定試験」に加え、日本語能力試験N3以上と、店舗管理を補助する者としての実務経験が求められます。自社の分野に同じ条件を当てはめず、所管省庁の分野別運用要領を確認してください。
出入国在留管理庁のB1相当以上の確認開始時期の案内では、特定技能2号と、特定技能1号の自動車運送業(バス・タクシー運送業区分)・鉄道分野(運輸係員区分)について、2027-04-01以降の在留資格認定証明書交付申請からB1相当以上が必要とされています。在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請の開始時期は検討中です。下記の1号から2号への移行は在留資格変更許可申請に当たるため、認定証明書交付申請の開始日をそのまま適用せず、続報を確認してください。
技能水準の要件(試験内容の違い)
特定技能1号は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」が求められます。各分野で設定された技能評価試験に合格することで証明されます。試験は分野ごとに実施機関・内容・頻度が異なります。
特定技能2号は「熟練した技能」が求められます。1号よりも高度な技能試験への合格が必要であり、試験内容は管理・監督的な業務への理解を問う問題が含まれることが多いです。分野によっては一定期間以上の実務経験も要件となっています。
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特定技能2号の対象分野拡大【2023年→2026年】
2023年の拡大で11分野に(従来2→11)
2023年6月、政府は特定技能2号の対象分野を従来の2分野(建設・造船舶用工業)から9分野追加し、11分野に拡大することを閣議決定しました。追加された9分野は以下のとおりです。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
この拡大により、日本での長期就労・定住が事実上可能な在留資格の選択肢が大幅に広がりました。受入企業にとっては、1号で採用した外国人材を2号に移行させることで人材の長期定着を図る戦略が現実的になっています。
分野別の試験情報を確認する
2号への変更に必要な試験・実務経験・日本語要件は、同じ2号対象分野でも一律ではありません。受入れ実績や将来の追加見込みではなく、申請時点で有効な分野別運用方針と試験案内に基づいて確認します。
各分野の技能評価試験の実施状況は分野所管省庁・業界団体のウェブサイトで最新情報を確認することを推奨します。試験の実施頻度・場所・費用は分野によって大きく異なります。
1号の対象分野すべてが2号対象ではない
特定技能1号の対象19分野と、2号の受入れ対象11分野は一致しません。2号を前提に採用・育成計画を立てる場合は、将来の追加見込みを前提にせず、申請時点で有効な分野別運用方針・試験案内を確認してください。
1号から2号への移行ルート
移行に必要な試験と実務経験
特定技能1号から2号へ移行するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
- 分野別の特定技能2号評価試験(または技能検定1級等)への合格: 各分野の運用方針で定める2号水準の試験・資格を確認すること
- 分野別の追加要件: 実務経験や日本語能力の要件は分野ごとに異なる。例えば外食業ではN3以上と、店舗管理を補助する者としての実務経験が必要
- 在留資格変更申請: 現在の「特定技能1号」から「特定技能2号」への在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁に提出する
技能実習・育成就労など他の在留資格からの移行可否や必要書類も、現在の在留資格と分野別の要件によって異なります。個別の申請は出入国在留管理庁の提出書類一覧と分野別運用要領で確認してください。
分野ごとの移行難易度
2号への移行難易度は分野によって大きく異なります。一般的に難易度を左右する要因は以下のとおりです。
| 要因 | 難易度が上がる条件 | 難易度が下がる条件 |
|---|---|---|
| 試験実施頻度 | 年1〜2回のみ | 年複数回・随時実施 |
| 試験会場 | 都市部のみ・海外未実施 | 全国複数会場・海外でも受験可 |
| 実務経験要件 | 管理・指導等の実務経験を求める分野 | 分野別の要件が比較的少ない場合 |
| 試験内容 | 管理・監督レベルの専門知識 | 熟練技能の実技中心 |
受入企業は採用した外国人材が将来2号移行を目指す場合、入社後早い段階から試験スケジュールを確認し、OJTで必要なスキルを計画的に習得できる環境を整えることが重要です。
移行を支援する企業・機関の役割
特定技能2号への移行は、外国人材個人の努力だけでなく、受入企業・登録支援機関のサポートが大きく影響します。具体的には以下のような支援が効果的です。
- 試験情報の定期的な共有(実施日・会場・申込方法)
- 業務の割り当て調整(試験に必要な経験を積める業務への配置)
- 学習費用の補助(受験料・教材費の一部負担)
- 試験前の模擬試験・勉強会の実施
- 在留資格変更申請の手続き支援(行政書士との連携含む)
受入機関が知っておくべき実務上の違い
登録支援機関の関与(1号は支援義務、2号は支援計画の対象外)
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、10項目の義務的支援を自社または登録支援機関に委託して実施する義務があります。支援計画を作成し、3か月に1回以上の定期面談を実施するほか、その状況を含む定期届出を出入国在留管理庁に提出します(定期届出は2026年から年1回)。
一方、特定技能2号は1号特定技能外国人支援計画に基づく義務的支援の対象外です。したがって、同計画の作成・提出や、その実施を登録支援機関に委託する制度上の必要はありません。任意の生活支援やキャリア支援を行うかは、雇用契約やサービス内容に応じて整理します。
登録支援機関にとっては、担当する外国人材が2号に移行した後、1号支援計画に基づく委託関係は前提ではなくなります。必要に応じて、制度上の義務と任意の継続支援を分けて合意しておくことが実務上重要です。
受入企業の支援計画の作成要否
特定技能1号では、受入企業は支援計画を作成し、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請の際に提出する必要があります。支援計画には10項目の支援内容それぞれについて具体的な実施方法を記載します。
特定技能2号では支援計画の作成・提出は不要です。受入企業の事務負担は1号と比べて大幅に軽減されます。ただし、在留期間更新申請は引き続き必要であり、更新ごとに雇用契約内容の確認が行われます。
転職の自由度の違い
特定技能1号・2号ともに、許可された活動の範囲で転職できます。ただし、所属機関を変更する場合は在留資格変更許可申請が必要です。従事する業務が分野・業務区分に適合するかも含めて、申請前に確認してください。
実際の転職市場では、特定技能2号の取得者は希少かつ熟練度が高いため、引き合いが強くなる傾向があります。受入企業が長期的に確保するためには、処遇・キャリアパス・職場環境の継続的な改善が不可欠です。
特定技能と育成就労の接続
育成就労→特定技能1号→2号のキャリアパス
2027年4月に育成就労制度が施行されると、外国人材のキャリアパスはより明確な段階構造を持つようになります。
- 育成就労(1〜3年): 入国し、受入企業・監理支援機関のサポートのもと特定技能1号水準の技能を習得
- 特定技能1号(原則通算5年以内): 育成就労修了後、技能評価試験・日本語試験を経て移行。即戦力として幅広い業務に従事
- 特定技能2号(更新回数の上限なし): 対象分野で、分野別の試験・実務経験等の要件を満たした場合に変更申請を検討
育成就労から特定技能1号への移行要件や時期は分野別の制度運用に従います。企業は、2号への移行を一律に約束するのではなく、対象分野・試験・実務経験の条件を本人に説明したうえで、段階的なキャリアパスを示すことが重要です。
外国人材の長期定着を実現するFRMの考え方
育成就労から特定技能2号まで、外国人材への支援は長期に及びます。支援履歴、技能習得状況、キャリア希望を組織で共有し、本人の成長と定着を継続的に支えるのがFRM(Foreigner Relationship Management)の考え方です。
外国人材の在留状況・技能習得の進捗・生活状況・キャリア希望——これらを継続的に把握し、適切なタイミングで次のステップ(試験申込・在留更新・2号移行申請)をサポートすることが、外国人材の長期定着と企業の人材力強化につながります。
FRMプラットフォームは、こうした制度横断・長期にわたる外国人材管理を効率化するために設計されています。在留期限アラート・定期面談の記録・試験スケジュール管理・書類の自動生成まで、担当者の負担を最小化しながら外国人材との関係を深める仕組みを提供します。
特定技能1号と2号の違いを改めてまとめます。
- 在留期間: 1号は原則通算5年以内(一部例外あり)、2号は更新回数の上限なし
- 家族帯同: 1号は原則不可、2号は可能
- 対象分野:1号19分野・2号11分野。2号の可否は分野・業務区分ごとに確認
- 登録支援機関の関与: 1号は義務的支援の実施義務あり、2号は1号支援計画の対象外
- 2023年の2号拡大で長期就労・定着への道が現実的になった
- 育成就労施行(2027年)で育成就労→特定技能1号を軸とするキャリアパスがより描きやすく
受入企業・登録支援機関・監理支援機関のいずれの立場でも、外国人材を「1号で終わり」とするのではなく、2号移行・長期定着を見据えた関与が今後の差別化につながります。
この記事の確認情報
公開日:2026-04-13/比較表・移行条件の基礎情報確認日:2026-09-22/B1案内の確認日:2026-10-09/編集・事実確認:FRM Journal編集部
一次資料:出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」、同庁「受入れ機関の方」、同庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」、同庁「外食業分野」。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください。
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