【2026年最新更新】対象は17分野で確定

  • 育成就労の対象分野は、特定技能の全19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野です(分野別運用方針で確定)。
  • 2026年にリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が新たに追加決定。受入れは制度整備が整い次第、順次開始される見込みです。
  • 旧「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は「工業製品製造業」に統合されています。

出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針

育成就労制度の対象は特定技能の19分野から航空・自動車運送業を除いた17分野。分野ごとに受入れ規模が大きく異なり、監理支援機関にとっては「どの分野に注力するか」が事業戦略の核心となります。単なる分野一覧ではなく、ビジネス機会の観点から各分野を分析します。

育成就労の対象17分野と受入れ規模の目安

全17分野の一覧(分野名・区分・主な業務内容)

育成就労制度の対象分野は、特定技能制度の全19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野です(出入国在留管理庁・分野別運用方針)。分野別の受入れ見込数(上限)は各分野の分野別運用方針で順次設定されるため、ここでは分野名・区分・主な業務内容を整理し、受入れ規模の目安は表の後に解説します。

分野 区分 主な業務内容
介護従来からの分野身体介護・生活支援
ビルクリーニング従来からの分野建築物内部の清掃
リネンサプライ2026年に追加決定ホテル・病院向けリネン類のクリーニング・管理
工業製品製造業従来からの分野機械・金属・電気電子機器等の製造
建設従来からの分野型枠・内装仕上げ・電気工事等
造船・舶用工業従来からの分野溶接・鉄工・仕上げ等
自動車整備従来からの分野自動車の点検・整備
宿泊従来からの分野フロント・客室清掃・調理
鉄道2024年に追加軌道・電気設備の整備、車両整備等
物流倉庫2026年に追加決定倉庫内作業・仕分け
農業従来からの分野耕種農業・畜産農業
漁業従来からの分野漁船漁業・養殖業
飲食料品製造業従来からの分野食品・飲料・惣菜の製造
外食業従来からの分野飲食店・給食施設の調理・接客
林業2024年に追加育林・素材生産等
木材産業2024年に追加製材・合板製造等
資源循環2026年に追加決定廃棄物の収集・選別・リサイクル

※区分は特定技能制度における分野の追加時期を示します。旧「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は「工業製品製造業」に統合されています。

どの分野に注力すべきか(受入れ規模の目安)

育成就労の分野別の受入れ見込数は分野別運用方針で順次設定されますが、規模感の目安としては、育成就労と一体で運用される特定技能の在留実績が参考になります。出入国在留管理庁の速報(令和7年12月末)では、特定技能在留者が多い分野は飲食料品製造業(約9.6万人)・介護(約6.8万人)・工業製品製造業(約5.8万人)・建設(約5.1万人)・外食業(約4.5万人)・農業(約3.9万人)の順で、これらが育成就労でも主力分野になると見込まれます。自社の強みと各分野の需要を照合し、注力分野を見極めることが分野戦略の出発点となります。

新規追加3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)

リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は、2026年に特定技能・育成就労の対象として追加が決定した3つの新分野です。技能実習での対応可否は職種・作業単位で異なるため、現在技能実習を活用している場合は個別の確認が必要です。

リネンサプライ ホテル・病院・福祉施設向けにタオル・シーツ・ユニフォーム等のレンタル・クリーニングを行う分野です。少子高齢化による施設増加と労働力不足を背景に、外国人材への需要が高まっています。

物流倉庫 インターネット通販の拡大とラストマイル配送の増加を背景に、倉庫内作業人員の不足が深刻化しています。育成就労では独立した分野として正式に対象化されるため、物流企業との連携に強い監理支援機関にとって、大きなビジネスチャンスとなります。

資源循環 廃棄物の収集・分別・リサイクル業務を担う分野です。持続可能な社会への取組が社会的要請として高まる中、廃棄物処理業の人手不足は慢性化しています。地方の廃棄物処理業者と連携できる監理支援機関には新たな市場が開かれます。

除外された2分野(航空・自動車運送業)の扱い

特定技能の19分野のうち、「航空」と「自動車運送業(旅客・貨物)」の2分野は、分野別運用方針において育成就労産業分野が設定されておらず、育成就労の対象外となっています。

背景としては、航空分野は空港業務・航空機整備の専門性、自動車運送業は安全確保や制度整備に関する論点などが一般に指摘されています。いずれも現時点では制度上「育成就労の対象としない」と整理されている点が実務上の要点です。これらの分野で外国人材の受入れを検討する場合は、特定技能制度の枠組みを確認してください。

分野別の要件と特徴

製造業系(工業製品製造業など)の特徴

工業製品製造業

製造業の中でも受入れ規模が大きい分野です。機械・金属・電気・繊維・縫製・プリント配線基板製造等、多くの職種が含まれます。地方の中小製造業における人手不足が深刻であり、今後も高い需要が見込まれます。

要件のポイント:

  • 技能検定の受検・合格(育成就労計画に組み込む必要あり)
  • 3年間の業務が「育成」目的に沿った職種内容であること
  • 転籍時は同一業務区分内での移動が原則

監理支援機関の対応:製造業の取引先を多く持つ商工会議所系・事業協同組合系の監理支援機関にとっては強みを活かせる分野です。

飲食料品製造業

弁当・惣菜・食品加工の分野は、コンビニ・スーパー向け製品への需要が安定しており、継続的な受入れが見込まれます。食品衛生基準への対応が求められます。

サービス業系(介護・外食・宿泊など)の特徴

介護

介護は特定技能でも在留者数が多い主力分野の一つです。高齢化社会の進展により、2040年代に向けてさらに不足が拡大する見通しのため、長期的な成長分野といえます。

ただし、介護分野には特有の要件があります。日本語能力への要求水準が比較的高く(転籍時にN4以上が求められる等)、施設側の教育体制も重要です。また、EPA(経済連携協定)による介護福祉士候補者の受入れとの整理が必要なケースもあります。

監理支援機関の対応:介護施設との強固な関係を持つ機関にとっては有力な注力分野です。特に地方の介護施設は人手不足が深刻で、安定した受入れパートナーを強く求めています。

外食業

チェーン飲食店・個人経営の飲食店が主要な受入機関となります。都市部への集中が予想されることから、地方での受入れは相対的に少ない分野です。

宿泊

インバウンド観光の回復を背景に、宿泊業の人手不足は慢性化しています。旅館・ホテルの多い観光地に拠点を持つ監理支援機関にとってはビジネスチャンスです。多言語対応ニーズが高く、外国人材の多言語コミュニケーション支援が付加価値となります。

建設・農業系の特徴

建設

建設業は技能実習でも受入れが多く、特定技能でも在留実績が大きい分野であり、育成就労でも主力分野の一つになると見込まれます。型枠大工・鉄筋施工・内装仕上げ等の職種が対象です。建設業固有の「建設技能人材機構(JAC)」との連携が要件となる可能性があるため、制度詳細の確認が必要です。

農業

農業は季節的な繁閑差が大きく、雇用形態が多様(通年雇用・季節雇用)という特性があります。育成就労では、派遣形態による受入れも認められる方向で検討が進んでいます(農業・漁業限定)。地方の農業地帯を営業エリアとする監理支援機関の主力分野となります。

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監理支援機関にとってのビジネスチャンス分析

在留者数が多い分野=市場規模が大きい

在留者数が多い分野ほど、受入企業の母数が多く、監理支援機関としての潜在的な市場規模も大きくなります。育成就労の分野別の受入れ見込数はまだ確定していないため、ここでは育成就労と一体で運用される特定技能の在留実績(出入国在留管理庁・令和7年12月末速報)を市場規模の目安として示します。

順位 分野 特定技能在留者数(規模目安) 特徴
1位 飲食料品製造業 約9.6万人 安定需要、地方にも分散
2位 介護 約6.8万人 長期トレンド、日本語要件高め
3位 工業製品製造業 約5.8万人 地方中小企業、多品種
4位 建設 約5.1万人 都市・地方とも需要継続
5位 外食業 約4.5万人 都市部中心、回転率高め
6位 農業 約3.9万人 地方中心、繁閑差あり

ただし、在留実績だけで判断するのは早計です。規模が大きい分野は競合する監理支援機関の数も同様に多いため、自団体の強みとの相性も含めて検討が必要です。

地域特性を活かした分野選定(農業は地方、外食は都市部)

監理支援機関が所在する地域と分野の相性は事業成功の重要な要因です。地域と分野の対応を整理すると以下のようになります。

地方農村部

  • 強い分野: 農業・漁業・飲食料品製造業・工業製品製造業(地方工場)
  • 理由: これらの分野の受入企業が地方に集中しており、地元密着型の監理支援機関が競争優位を持てる

地方都市(県庁所在地クラス)

  • 強い分野: 建設・ビルクリーニング・自動車整備・宿泊
  • 理由: 建設需要の継続性と都市機能を支えるサービス業の需要

大都市圏

  • 強い分野: 外食業・介護・宿泊・物流倉庫
  • 理由: 都市集中型の産業構造と高い人件費による外国人材需要

地域の産業構造を踏まえた分野選定が、受入企業の安定確保につながります。

複数分野対応 vs 専門特化の戦略判断

監理支援機関として「複数分野に幅広く対応するか」「特定分野に専門特化するか」の戦略判断は重要です。それぞれのメリット・デメリットを整理します。

複数分野対応(多角化戦略)

メリット:

  • 特定分野の景気変動・規制変更によるリスク分散
  • 受入企業の多様なニーズに対応可能
  • 地域の様々な業種と関係構築できる

デメリット:

  • 各分野の専門知識の維持・更新にコストがかかる
  • 分野ごとに異なる申請書類・管理要件への対応が複雑
  • 「専門機関」としての差別化が難しい

専門特化戦略

メリット:

  • 特定分野の受入企業・外国人材への深い理解と信頼
  • 業界ネットワークの強化(業界団体との連携)
  • 高品質なサービス提供による価格競争からの脱却

デメリット:

  • 特定分野の受入枠縮小・規制変更で経営が直撃される
  • 受入企業の業種多様化ニーズに対応できない

推奨戦略

現時点での推奨は「コア1〜2分野への専門特化+補完的な2〜3分野への対応」というハイブリッドアプローチです。強みを持つコア分野で競争優位を確立しつつ、リスク分散のために近接分野にも対応する体制を持つことが、中規模の監理支援機関にとって現実的な選択です。

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編集部
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FRM Journal 編集部
外国人材マネジメントの専門家チーム
監理団体・登録支援機関・特定技能・育成就労の実務を専門とする編集チームです。外国人材マネジメント(FRM)の視点で、経営者・担当者がすぐに使える情報を発信しています。
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