登録支援機関の採算は、支援人数だけでは決まりません。支援委託契約の範囲、面談・通訳・移動の実費、職業紹介を行う場合の業務量、担当者配置を同じ月次の数字で確認する必要があります。

支援委託費に一律の公定価格はありません。価格相場を探す記事ではなく、御機関の見積・契約・実績を使って損益分岐点を確かめるための記事として整理します。一般的な見積比較は登録支援機関の費用相場をご覧ください。

以下の金額は、全て税抜の計算方法を示す仮定です。市場平均、推奨価格、実在機関の実績ではありません。請求・契約では消費税の扱いを別途明記してください。

収入の考え方:支援委託費と、許可を得た場合の紹介手数料

登録支援機関の基本となる収入は支援委託費です。人材紹介の手数料は、登録支援機関の登録とは別に有料職業紹介の許可を受け、許可された取扱職業の範囲内で紹介を行う場合に限り、別の収入として見込みます。

収入源1: 支援委託費(月額ストック型)

支援委託費は、受入企業から毎月受け取る継続収入です。特定技能外国人1人あたり月額で課金する契約の場合、支援人数・契約期間・解約条件を月次計画に反映できます。収益の安定性は、追加業務、担当者配置、解約の状況も含めて確認してください。

月額単価、対象人数、追加業務の請求方法を契約書と実績から入力します。義務的支援に要する費用と登録支援機関への委託費は、特定技能外国人に直接又は間接に負担させられません。受入れ機関が支援委託費として負担する前提で、本人負担の費用と混同せず契約・請求を分けてください(出入国在留管理庁「特定技能における主な費用とその負担者について」)。

1人当たりの損益分岐計算(仮定:支援委託費は月額2万円/人、税抜)

項目 月額 計算上の位置付け
支援委託費 20,000円 受入れ機関からの収入
移動・交通費 約2,000円 定期面談・生活支援に伴う変動費の仮定
限界利益 約18,000円 支援委託費から変動費を引いた額。固定費の回収に使う
固定費の参考配賦 10,000円 固定費100万円を100人支援時に配賦した参考値。限界利益から重ねて控除しない

損益分岐点は、固定費を月額単価から変動費を引いた限界利益で割って計算します。固定費の参考配賦は規模感をみるための値であり、限界利益から二重に控除しません。支援人数が増減する場合は、面談・通訳・移動・管理体制の実数を反映してください。

人材紹介手数料(有料職業紹介の許可を受けた場合)

特定技能外国人のマッチング・紹介による成功報酬は、登録支援機関であることだけでは得られません。別に有料職業紹介の許可を受け、取扱職業の範囲内で紹介を行い、採用が成立した場合に受入企業から受け取る収入です(厚生労働省「職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―」)。

手数料の定め方は、許可に基づく手数料表と受入企業との紹介契約で確認します。支援委託費と紹介手数料を同じ見積に含める場合は、業務範囲と請求先を分けて記載し、二重計上がないか確認してください。

紹介手数料を収入に見込む場合は、採用成立の時期、返戻条件、紹介にかかる工数を月次計画に反映します。支援委託費とは別に、実績と見込みを分けて管理してください。

その他の収入(コンサルティング・教育研修等)

支援委託費に加え、許可を得た紹介手数料や別料金の業務を扱う場合は、契約に含める業務と分けて整理します。

  • 入国前ガイダンス: 実施者、対応言語、交通・通訳を誰が負担するか
  • 日本語学習の支援: 情報提供、受講費、継続支援の範囲
  • 受入企業向けの運用支援: 月次報告、相談、研修などの提供範囲
  • 書類作成の補助: 行政書士等の資格が必要な業務との境界と責任者

書類作成を収益化する場合は、書類の種類と作成主体を個別に確認してください。行政書士法その他の資格業務に当たるかは、一般的な収益モデルだけでは判断できません。

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収益構造の詳細分析

単価と内訳を確認する

支援委託費は、対象人数、対応言語、面談場所、通訳・交通・緊急対応の扱いでコストが変わります。市場の相場を前提にせず、見積・契約・実績の各段階で、基本料金に含むものと実費・追加料金になるものを対応表にしてください。

職業紹介手数料を分けて把握する

有料職業紹介の許可を受けて職業紹介を行う場合は、支援委託費とは別に、取扱職業の範囲、紹介契約、返戻条件、採用後の支援範囲を確認します。手数料表、紹介契約、受入企業への請求記録を同じ案件単位で照合すると、売上だけでなく紹介にかかった工数も確認できます。

損益分岐点の計算

登録支援機関として黒字を確保するためには、どの程度の支援人数が必要か。事業規模別のモデルを示します。

小規模モデル(代表1名 + スタッフ1名)

項目 月額
人件費(代表+スタッフ) 80万円
家賃・光熱費 10万円
ツール・通信費 3万円
その他 7万円
固定費合計 100万円

支援委託費を月額2万円/人、変動費(面談・交通費等)を月額2,000円/人とする場合、限界利益は1人あたり1万8,000円です。損益分岐点 = 固定費100万円 ÷ 限界利益1万8,000円 = 55.56人のため、56人以上となります。

この数値は、固定費100万円・月額単価2万円・変動費2,000円/人という架空の税抜前提だけで算出した結果です。面談・交通費等は御機関の実数に置き換え、そこに含めていない生活支援、通訳、紹介業務等の変動費だけを追加してください。同じ費用を二重に計上しないよう、各費用の範囲を確認します。

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収益モデル3パターンの比較

登録支援機関の収益モデルは、主に3つのパターンに分類できます。

パターンA: 支援委託型(ストック型収益を重視)

紹介業務は行わず、受入企業から支援委託費のみで収益を確保するモデルです。

特徴

  • 契約期間と支援人数を月次計画に反映しやすい
  • 支援人数の増加に伴い、必要な人員・通訳・移動費を見直す必要がある
  • 初期の受入企業開拓に注力が必要

検討する事項: 受入企業の開拓方法、対応言語、面談・生活支援に必要な人員、資格業務に当たる可能性がある業務の連携先

損益シミュレーション(100人支援、月額2万円、全て税抜の架空前提)

  • 売上: 200万円/月
  • 固定費: 100万円/月
  • 変動費(面談・交通費等、2,000円×100人): 20万円/月
  • 営業利益: 80万円/月(40%)

パターンB: 紹介+支援のハイブリッド型(有料職業紹介の許可がある場合)

有料職業紹介の許可を受け、許可された取扱職業の範囲で紹介業務と支援業務を扱うモデルです。紹介時の手数料収入で資金を確保しながら、支援委託費でストック収益を積み上げます。

特徴

  • 紹介契約と支援委託契約の収益・工数を案件単位で照合できる
  • 紹介から支援までを受託する場合は、業務範囲と責任分界を契約で明確にする必要がある
  • 採用成立の時期と返戻条件によって、紹介手数料の計上額が変わる

損益シミュレーション(月5人紹介、支援50人、全て税抜の架空前提)

  • 紹介手数料収入: 125万円(25万円×5人)
  • 支援委託費: 100万円(2万円×50人)
  • 固定費: 150万円
  • 変動費: 30万円(支援の交通費等10万円+紹介業務の案件別費用20万円という仮定)
  • 営業利益: 45万円/月

パターンC: 業種特化型(介護・建設・外食等)

特定の業種に特化し、その業種特有のニーズに応えることで差別化を図るモデルです。

特徴

  • 対象業種で必要になる支援内容、連携先、対応時間を事前に整理する
  • 業種別の書類・教育・通訳の追加コストを、契約条件に反映する
  • 単一業種への売上集中を、受入企業数・支援人数と併せて確認する

業種特化型では、対象業種で必要になる支援、連携先、対応時間を先に定義し、その追加コストを単価で回収できるかを確認します。単価の水準そのものではなく、受入企業との契約に記載した支援範囲と実績工数の差を月次で追うことが重要です。

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編集部
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FRM Journal 編集部
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監理団体・登録支援機関・特定技能・育成就労の実務を専門とする編集チームです。外国人材マネジメント(FRM)の視点で、経営者・担当者がすぐに使える情報を発信しています。
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