結論

外国人採用の面接は、職務に必要な適性・能力を、応募者全員に共通の基準で評価することが基本です。国籍・本籍・家族・宗教・信条など、職務と関係のない事項を評価軸や質問にしてはいけません。一方で、職務上の就労可否は選考評価と分け、在留資格の確認が必要な応募者には、在留資格・就労制限を同じ手順で確認します。

本記事は、外国人を採用する企業の面接担当者に向けて、最初に使う重要質問、評価基準の決め方、目的別の質問例30選、深掘りの仕方、聞いてはいけない質問と安全な言い換え、5段階評価シートを掲載します。採用の全体像は外国人を採用するにはを、内定後の準備は外国人社員の受入準備チェックリストを参照してください。

30問から優先する10の確認テーマ

時間が限られる面接では、後述の30問から次の10テーマを優先します。ここでは質問数を増やさず、面接で確認すべき観点を先に整理します。

  • 応募理由と仕事への理解
  • これまでの職務経験と担当範囲
  • うまくいった経験と本人の工夫
  • 困難への対処と、そこから得た学び
  • 今後身につけたい技能や目標
  • チームで働く際の協働姿勢
  • 不明点があるときの報告・相談行動
  • 勤務時間・体力面など就業条件の合致
  • 職務に必要な日本語と支援ニーズ
  • 就業開始時期と通勤条件

後述の30問は、応募者が理解しやすい平易な日本語で聞き、必要に応じて言い換えます。評価するのは日本語の完璧さではなく、職務に必要なコミュニケーションが取れるかです。

面接前に決める職務・評価基準

面接の前に、評価基準を決めておきます。基準がないと、印象や国籍のイメージで判断がぶれます。

  • 職務要件:この仕事で必ず必要な能力・経験・資格(例:特定の作業経験、必要な日本語のやり取りの範囲)。
  • 評価項目:職務要件から、面接で見る項目を3〜5個に絞る(例:業務理解、経験の再現性、学習意欲、協働、勤務条件の合致)。
  • 評価尺度:各項目を5段階などの共通尺度で採点し、複数の面接官で合わせる。
  • 就労可否の確認:国籍ではなく職務上の就労可否を同じ手順で扱い、在留資格の確認が必要な応募者には、当該業務に就ける在留資格・就労制限かを評価点とは別枠で確認する。

職務要件は、募集する在留資格・業務によって変わります。例えば介護や建設では、業務内容や必要な確認事項が異なります(介護の採用建設の採用)。

評価項目を絞る理由は、面接時間が限られているからです。あれもこれも見ようとすると、どの項目も浅い確認で終わり、結局は印象で決めてしまいます。この仕事で本当に必要な3〜5項目に絞り、それぞれを具体的な質問で深く聞くほうが、採否の根拠が明確になります。募集要項に書いた要件と、面接で見る項目がずれていないかも、事前に確認しておきます。

目的別質問例30選

評価項目別に質問例を用意しておくと、面接官が変わっても基準がぶれません。

業務理解・経験(再現性を見る)

  1. 前の職場での1日の流れを教えてください。
  2. 担当していた作業を、具体的に説明してください。
  3. 使ったことのある道具・機械・システムは何ですか。
  4. 品質や安全のために気をつけていたことは何ですか。
  5. ミスを防ぐために工夫していたことはありますか。
  6. 一番自信のある作業は何ですか。理由も教えてください。

学習意欲・成長

  1. 新しい作業を覚えるとき、どうやって覚えますか。
  2. 最近、新しく身につけたことはありますか。
  3. 日本語や仕事の勉強で、続けていることはありますか。
  4. 3年後、どんなことができるようになりたいですか。
  5. 資格や試験に挑戦した経験はありますか。
  6. 分からない指示があったとき、どうしますか。

協働・コミュニケーション

  1. チームで意見が合わないとき、どうしますか。
  2. 周りの人に助けてもらった経験を教えてください。
  3. 逆に、人を助けた経験はありますか。
  4. 報告・連絡・相談で心がけていることはありますか。
  5. 注意や指摘を受けたとき、どう受け止めますか。
  6. 言葉が通じにくいとき、どう工夫しますか。

就業条件・定着(一律に確認)

  1. 希望する勤務時間・シフトはありますか。
  2. 通勤の方法と、通える範囲を教えてください。
  3. 就業開始できる時期はいつですか。
  4. 体力を使う作業について、確認したいことはありますか。
  5. 長く働くうえで、会社に相談したいことはありますか。
  6. 仕事以外で、生活面で助けがほしいことはありますか。

価値観・仕事への姿勢(職務に関する範囲で)

  1. 仕事で大切にしていることは何ですか。
  2. どんなときにやりがいを感じますか。
  3. 丁寧さとスピード、どちらを優先しますか。理由も教えてください。
  4. 安全のルールを守るために、どう行動しますか。
  5. 目標を達成するために、続けている習慣はありますか。
  6. この会社で挑戦してみたいことはありますか。
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自社の職務に合った評価項目や、公正な採用選考に沿った質問設計について個別相談を受け付けています。

回答を深掘りする方法

質問への答えを鵜呑みにせず、事実で確認します。深掘りの型を持っておくと、経験の再現性が見えます。

  • 具体化:「具体的にはどんな作業でしたか」「その場面をもう少し教えてください」
  • 行動:「そのとき、あなたは何をしましたか」("チーム"ではなく本人の行動を聞く)
  • 結果と学び:「結果はどうなりましたか」「そこから学んだことは何ですか」
  • 再現性:「同じ状況なら、次はどうしますか」

通訳が入る場合も、深掘りは同じ型で行います。答えが抽象的なときは、責めずに具体例を促します。

質問と評価の型をそろえることには、もう一つの狙いがあります。面接官によって聞くことが違うと、無意識の思い込み(この国の人はこうだ、この学歴ならこうだ、といった先入観)が入り込み、評価がぶれます。全員に同じ質問をして、同じ尺度で採点する「構造化」された面接は、こうした思い込みの影響を減らし、応募者を職務適性で公平に比べるのに役立ちます。面接後は、点数の理由を一言メモに残しておくと、複数の面接官ですり合わせるときに、印象論ではなく事実で議論できます。国籍や見た目の印象で加点・減点していないかを、面接官どうしで確認する習慣も有効です。

聞いてはいけない質問と安全な言い換え

公正な採用選考の観点から、本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項を、質問・評価してはいけません。厚生労働省は、公正な採用選考についてのQ&Aで、応募者の適性・能力に関係のない事項を採否の判断に用いないよう求めています。

聞いてはいけない(例)安全な言い換え・確認方法
本籍・出生地はどこですか(尋ねない)在留資格が必要な応募者の就労可否は、国籍ではなく同じ手順で確認する
ご家族の職業・収入・続柄は(尋ねない)緊急連絡先は内定後に必要範囲で確認する
宗教・信条・支持政党は(尋ねない)職務に必要な就業条件のみ確認する
住まいの家庭環境・資産は(尋ねない)通勤方法・通勤時間のみ確認する
(国籍を理由に)その国の人は〜ですか(尋ねない)職務要件に沿った経験・行動を全員同じ基準で聞く
結婚・出産の予定は(尋ねない)勤務可能な時期・シフトのみ確認する

ポイントは、「その質問は職務の適性・能力の評価に必要か」を基準にすることです。勤務時間・就業開始時期などの就業条件は共通の手順で確認し、在留資格の確認が必要な応募者には、当該業務に就けるかを別枠で確認します。国籍や文化を理由に、能力を一般化したり、特定の応募者だけに不利な質問をしたりしてはいけません。

言い換えの基本は、「知りたいのは職務に必要なことか」を自問することです。例えば「どこの出身ですか」ではなく「通勤にかかる時間はどのくらいですか」、「家族は何をしていますか」ではなく「緊急時に連絡が取れる方はいますか(内定後に確認)」のように、目的を職務・就業条件に置き換えます。就労可否は国籍で判断せず、在留資格の確認が必要な応募者に同じ手順で在留資格・就労制限を確認します。面接官が複数いる場合は、事前にこの方針を共有し、うっかり不適切な質問が出ないようにしておきます。

5段階評価シートとオンライン・通訳同席の注意点

評価は、面接官の記憶ではなく、その場の採点で残します。次のシートを面接官の人数分用意し、終了後にすり合わせます。

評価項目5(優れる)3(標準)1(不足)
業務理解・経験の再現性具体的で再現性が高い一定の経験がある具体性・再現性が乏しい
学習意欲・成長性自ら学び続けている指示があれば学ぶ学習の姿勢が見えない
協働・コミュニケーション相談・報告が的確基本的なやり取りは可能意思疎通に不安が大きい
就業条件の合致条件が合い、継続の意欲が高いおおむね合致条件に大きな相違
安全・ルール意識安全行動を具体的に語れる基本を理解安全意識の確認が必要

オンライン面接では、通信環境・本人確認・静かな環境を事前に案内します。表情や反応が伝わりにくいため、質問はゆっくり一つずつ行い、理解を確認します。通訳同席のときは、通訳に「要約せず訳す」よう依頼し、評価は応募者本人の回答に対して行います。通訳の力量で評価がぶれないよう、質問は短く区切ります。外国人材の活躍・育成の考え方は経済産業省の高度外国人材の採用・活躍支援も参考になります。

よくある質問

Q. 在留資格や国籍は、面接で確認してよいですか?

国籍そのものを評価軸にしたり、国籍を理由に扱いを変えたりしてはいけません。職務上の就労可否は共通の手順で扱い、在留資格の確認が必要な応募者には、当該業務に就ける在留資格・就労制限かを確認します。就労可否の確認と能力評価は分けて行います。

Q. 日本語能力はどこまで求めるべきですか?

職務に必要なやり取りができるかを基準にします。求める水準は業務によって異なり、完璧な日本語を一律に求める必要はありません。安全や品質に関わる指示が伝わるかを、具体的な場面で確認してください。

Q. 家族構成や宗教を聞いてはいけないのはなぜですか?

本人の適性・能力に関係がなく、本来自由であるべき事項だからです。公正な採用選考では、これらを採否の判断に用いないことが求められます。緊急連絡先などが必要な場合は、内定後に必要な範囲で確認します。

Q. 評価がばらつくのを防ぐには?

面接前に評価項目と尺度を決め、その場で採点し、複数の面接官ですり合わせます。印象で語らず、質問への具体的な回答を根拠にすることで、ばらつきを抑えられます。

Q. 通訳を入れると評価しにくいのですが。

通訳には要約せず訳すよう依頼し、質問を短く区切ります。評価は通訳の日本語ではなく、応募者本人の回答内容に対して行います。オンラインの場合は、通信と本人確認を事前に整えておきます。

参考にした公式情報(一次資料)

最終事実確認:2026年7月21日。本記事の制度・手続に関する記述は、上記の公式一次情報に基づいて整理しています。法定義務と推奨対応、公的手数料と民間相場、施行済み制度と2027年4月施行の育成就労など将来施行の制度は分けて記載しています。制度運用は更新されるため、届出・申請の前に最新の公式情報をご確認ください。内容の誤りにお気づきの場合は編集部までご連絡ください

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