結論|就労課程の認定校はまだ全国3校、登録日本語教員ルートを含めても「提供可能」は322校中63校です

  • 出入国在留管理庁が2026年6月時点で全国の日本語教育機関に照会した結果、就労のための課程を置く認定日本語教育機関は全国でわずか3校(すべて東京都内)で、即応できるのは実質1校です。登録日本語教員による経過措置ルートを含めた調査対象322校のうち「提供可能」は63校(約20%)、過半数の179校(56%)は「提供する方向で検討」中にとどまります。
  • 委託先を探すときは、一覧表で自団体の都道府県→オンライン提供の可否→受入れ可能人数→対象レベルの順に絞り込みます。「オンライン」表記が全面オンラインを意味するかは一覧表だけでは判別できず、個別確認が必要です。
  • 登録日本語教員は2026年8月21日時点で全国20,075名と、1年前の約1万名から倍増しています(文部科学省)。教育機関経由・求人媒体・講師紹介サービス・地域の窓口など、直接探す経路もあります。
  • 委託できるのは監理支援機関が企画した講習の講師の業務のみで、講習の企画立案(目標・内容・時間割の決定)は監理支援機関自身が行う必要があります(運用要領5-86〜87頁)。講師探しの前に、自団体で決めておくことがあります。

根拠:出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」、文部科学省「登録日本語教員の登録等に関すること」、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」(最終確認日:2026-09-07)

この記事の時点情報

講習提供状況一覧の数字:出入国在留管理庁 2026年6月時点/登録日本語教員数:文部科学省 2026年8月21日時点/本記事の最終事実確認:2026年9月7日/次回確認予定:2026年10月1日。制度は変化が速いため、数字には必ず時点の日付を付けて記載しています。

「委託先の講師や教育機関が決まらないまま、申請の時期が近づいている」という状態は、多くの監理団体(監理支援機関)に共通する悩みです。育成就労の入国後講習には、一般分野ではA1相当講習100時間以上という日本語科目の要件があり(介護等の上乗せ分野は水準・時間数が異なります)、その担い手である認定日本語教育機関・登録日本語教員の数はまだ限られています。日本語講習の要件そのものは「育成就労の日本語要件」と「入国後A1相当講習100時間の要件」で解説していますので、本記事ではその前提を踏まえたうえで、委託先の探し方、一覧表の読み方、委託前に自団体で決めること、少人数で組めないときの考え方を、地方の監理団体の担当者を主な読者として整理します。特定の民間サービスの推奨や当社の関係先の案内は行いません。

2026年6月時点の供給の全体像

出入国在留管理庁は2026年6月時点で、全国の日本語教育機関に「日本語講習を提供できるか」を照会し、その結果を一覧表として公表しています。まず全体の数字を押さえます。

区分調査対象内訳
認定日本語教育機関「就労のための課程」3校すべて東京都内。「提供可能」1校(AJALT)、「提供する方向で検討」2校(JICE、AOTS)
認定日本語教育機関(就労課程以外)45校提供可能15校・検討26校・提供不可の方向で検討2校・提供不可1校・2027年度から提供可能1校
告示日本語教育機関274校提供可能46校・検討151校・提供不可の方向で検討34校・提供不可25校・未回答18校
合計322校提供可能63校(約20%)・検討179校(56%)・提供しない方向62校(19%)・未回答18校

認定日本語教育機関(就労課程以外)・告示日本語教育機関は、後述する登録日本語教員による経過措置ルートで日本語講習を担う機関です。都道府県別に見ると偏りが大きく、告示校の「提供可能」46校は東京57・大阪30・福岡23・兵庫18・愛知17・千葉16(検討中を含めた回答数)が上位を占め、認定校(就労課程以外)も東京10・大阪5・愛知4・埼玉3・京都3が中心です。地方では回答校が1校あるかないかという都道府県も少なくありません。委託先の候補が都市部に集中しているという事実は、地方の監理団体が最初に直面する壁になります。

出典は、出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」に掲載されている3つのExcelファイルです。就労課程の認定校の一覧は001467156.xlsx、認定校(就労課程以外)は001467157.xlsx、告示校は001467158.xlsxに収録されています。この表は今後の照会で更新されるため、委託先を探す際は必ず最新版をダウンロードして確認してください。

一覧表の読み方

一覧表は3つのシート(Excelファイル)に分かれており、性格が異なります。1つ目の「就労課程」シートは、文部科学大臣の認定を受けた認定日本語教育機関の「就労のための課程」で、A1相当講習の基本形です。2つ目・3つ目の「認定校(就労課程以外)」「告示校」は、当分の間の経過措置として認められている登録日本語教員による講習の担い手です。3校しかない基本形よりも、この2つのシートに載る322校のほうが、実際に委託先を探すときの検討範囲になります。

各シートで確認すべき列は次の4つです。

  • 提供可否:「提供可能」「提供する方向で検討」「提供不可の方向で検討」「提供不可」の回答区分
  • 受入れ可能人数:同時に受け入れられる目安の人数
  • 対面/オンライン:実施方法の回答
  • 対象レベル:A1・A2のどちらに対応可能か

絞り込みの順番は、まず都道府県で自団体の所在地・受入企業の所在地に近い機関を抽出し、次にオンライン提供の可否で対面が難しい地域でも候補に残るものを確認し、そのうえで受入れ可能人数が自団体の受講予定人数を満たすか、最後に対象レベル(A1/A2、一般則の場合。介護等の上乗せ分野は水準が異なります)が必要な水準に対応しているかを確認する、という順が効率的です。

ここで注意が必要なのは、一覧表の「オンライン」という表記が、対面時間ゼロの全面オンラインで完結できることまでを意味するかどうかです。これは一覧表の記載だけからは判別できません。オンラインの扱いは3区分で、(a)認定日本語教育機関の「就労のための課程」は通常、同時双方向の遠隔授業を総授業時数の4分の3までとされています。(b)ただし、同基準第23条に基づく「特別の日本語教育課程」として実施する場合は、講習の全部を対面以外の方法で受講することも可能です(運用要領4-42頁)。(c)登録日本語教員による経過措置ルートは、対面以外で実施する場合はオンラインで同時かつ双方向に行うことが要件で、4分の3のような割合の上限は一次資料に明記がありません。「オンライン」に丸がついている機関でも、実際に何時間まで対面を求められるかは、問い合わせの段階で個別に確認する事項として扱ってください。

登録日本語教員を直接探す経路

一覧表に掲載された教育機関を通す以外に、登録日本語教員に直接あたる方法もあります。登録日本語教員の登録者数は、文部科学省の公式ページで20,075名(2026年8月21日時点)と公表されており、1年前(2025年8月末時点、約10,095名)からほぼ倍増しています。ただし、この人数のうち実際に育成就労の講習に稼働できる人数は分かっていません。

日本語教員試験は年1回の実施で、2026年度(令和8年度)の試験日は2026年11月8日と文部科学省の公式ページで確定しています。2027年度から複数回実施にする方針が報道されていますが、2026年9月7日時点で文部科学省の公式発表としては確認できていません。今後供給が増えるとしても、当面は限られた人数を取り合う状況が続くと見ておく必要があります。

登録日本語教員を直接探す経路としては、日本語教育機関からの紹介、求人媒体への掲載、講師紹介を行う事業者の利用、地域の日本語教育推進に関わる自治体・団体の窓口への相談などがあります。特定の事業者名は本記事では挙げません。依頼を検討する段階では、次の点を確認することをおすすめします。

  • 登録番号と登録年(登録日本語教員であることの確認)
  • 稼働可能な曜日・時間帯
  • 同時双方向のオンライン指導の経験
  • 受講者の母語への対応可否
  • 就労分野を対象とした講習の実施経験

なお、入国後講習には法的保護に必要な情報(8時間以上)という科目もあり、これは、法的保護に必要な情報について十分な知識を有する、育成就労実施者・監理支援機関に所属しない者が講義する必要があり、例として地方公共団体の職員、弁護士、社会保険労務士、行政書士等が挙げられています(運用要領4-48頁)。日本語講習の講師とは別に確保すべき人材である点に注意してください。

委託するときに団体側が先に決めること

講師や教育機関を探し始める前に、監理支援機関側で決めておくべきことがあります。運用要領は、監理支援事業で業務を委託できる範囲について、「監理支援機関が自ら行うべき業務は入国前講習及び入国後講習の企画立案、委託することが可能な業務は監理支援機関が企画した講習の講師の業務」と整理しています(運用要領5-86〜87頁)。規則13条2項7号イそのものは「自ら又は他の適切な者に委託して」実施すると定めるのみで委託先を講師に限定した文言ではありませんが、運用要領はこの範囲をこのように具体的に定めています。

つまり、講習の目標水準、科目と時間配分、教材、時間割、出席と記録の取り方、受講証明の出し方といった講習の設計そのものは、委託先を決める前に監理支援機関が固めておく事項です。これを先に決めておかないと、委託先の候補と話をしても何を依頼したいのかが定まらず、見積りや日程の調整が進みません。

計画認定申請書の第3面「入国前・入国後講習実施(予定)表」には、科目ごとに「講習実施者の氏名、職業及び所属機関」「講習実施者の資格・免許、専門知識の経歴」を記載する欄があり、日本語講習については資格・経歴の詳細を必ず記載するよう注意書きがあります(別記様式第1号 第3面)。委託先の講師が決まったら、この記載に必要な情報を先方から集めることになります。申請書の記入方法は「育成就労計画認定申請書の日本語教育欄の書き方」にまとめています。監理支援機関の許可要件そのものについては「監理支援機関とは」をご覧ください。

中間支援団体経由の合同スキーム

供給が限られる中で、商工会議所や中小企業団体中央会といった中間支援団体が仲介役になり、複数の監理団体・企業向けに講習を用意する動きが公的な事業として報告されています。文部科学省の「認定日本語教育機関活用促進事業」(2026年3月公表)から、2つの事例を紹介します。

岡山県の事例:岡山外語学院が岡山県中小企業団体中央会と連携し、9つの監理団体・6つの企業の協力を得てA1・A2レベル各100時間のオンラインカリキュラムを新規に開発し、監理団体経由で企業向けに一部展開しました。同事業の報告資料は、現場の声として次のように記しています。

「監理団体・企業は価格・導入負担に非常に敏感なため、説明会やアンケートで『最低限の義務対応』『自前指導希望』『トライアル導入』等、ニーズに応じた柔軟なメニュー設計が肝要」

画一的な講習メニューではなく、負担感に応じた複数の選択肢を用意することが、現場で受け入れられる条件になっているとわかります。

愛知県の事例:一般社団法人国際パートナーシップセンター(IPC)が中間支援団体として仲介し、愛知商工連盟協同組合・愛知県経営者協会と連携して、形式・頻度が異なる3つのコース(オンライン月1回の個別対応型、対面週1回でキャリア教育を重視する型、対面週1回の型)を用意し、それぞれのコースを企業1社ずつで試行しました。同資料は連携の理由として「同組合は雇う側や監理団体が責任を持った取組を行うべきという考えがあった」と記しており、教育の実施を自団体の責任として捉える監理団体・企業の存在もうかがえます。

両事例に共通するのは、監理団体・企業が個別に委託先を探すのではなく、地域の中小企業団体中央会や商工団体が情報の窓口・仲介役になっている点です。自団体の地域に同様の窓口があるかを確認することは、一覧表を1校ずつ当たるより早く候補にたどり着く方法になり得ます。出典:文部科学省「認定日本語教育機関活用促進事業 広報資料」(2026年3月公表、17〜18頁・23〜24頁)。

少人数の入国でクラスにならないとき

登録日本語教員による講習は、教員1人に対して同時に受講する生徒が20人以下という上限の中で運用します。自団体で入国予定の人数が数名にとどまり、単独ではクラスを組みにくいケースが想定されます。この場合、複数の監理支援機関が講師業務だけを共同で委託し、20人以下の枠の中で1つのクラスを組むという考え方があります。

ここで押さえておきたいのは、共同で委託できるのはあくまで講師の業務であり、講習の企画立案(目標・内容・時間割の決定)、実施状況の記録、計画認定申請書への記載といった責任は、各団体がそれぞれ自団体分について負うという整理です。講師業務だけを共同で委託する形であれば、この制度上の線引きに沿った運用がしやすくなります。合同クラスの具体的な組み方については、今後公開する記事で解説します。

地方の団体の現実的な順番

ここまでの内容を踏まえ、地方の監理支援機関が委託先を探す際の現実的な順番を整理します。

  1. 一覧表(3つのExcelファイル)で、自団体・受入企業の所在する都道府県内の機関を確認する
  2. 県内に候補がなければ、オンライン提供が可能な機関を都道府県を問わず確認する
  3. 登録日本語教員を直接手配する経路(教育機関からの紹介、求人媒体、講師紹介の事業者、地域の窓口)を検討する
  4. 地域の商工会議所・中小企業団体中央会等の中間支援団体に、講習に関する情報や仲介の有無を相談する
  5. 単独でクラスを組めない場合は、複数団体での合同実施を検討する

この順番をいつまでに終えるかは、育成就労計画の施行日前申請の推奨期間から逆算します。運用要領は、施行日前申請について「原則として育成就労開始予定日の7か月前から5か月前まで」を推奨期間としています(運用要領4-3頁)。委託先の確定は、この推奨期間に入る前、すなわち開始予定日から逆算して7か月より前の時期に着手しておくほうが、候補が限られている現状では余裕を持てます。

講師の当てがまだない、一覧表の見方に迷う

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よくある質問

日本語講習の委託先が見つからないときは、まず何を確認すればよいですか?

出入国在留管理庁が2026年6月時点で公表した「日本語教育機関の講習提供状況一覧表」で、自団体の都道府県にある機関の提供可否を確認します。就労課程を置く認定日本語教育機関は全国3校(すべて東京都内)のみですが、登録日本語教員による経過措置ルートの認定校(就労課程以外)・告示校を合わせると調査対象は322校で、うち63校(2026年6月時点)が「提供可能」と回答しています(出入国在留管理庁)。

一覧表の「オンライン」という表記は、全面オンラインで完結できることを意味しますか?

一覧表の記載だけでは判別できません。オンラインの扱いは3区分です。(a)認定日本語教育機関の「就労のための課程」は通常、同時双方向の遠隔授業を総授業時数の4分の3までとされています。(b)ただし、同基準第23条に基づく「特別の日本語教育課程」として実施する場合は、講習の全部を対面以外の方法で受講することも可能です(運用要領4-42頁)。(c)登録日本語教員による経過措置ルートは、対面以外で実施する場合はオンラインで同時かつ双方向に行うことが要件で、4分の3のような割合の上限は一次資料に明記がなく、(a)の基準が準用されるかも確認できていません。委託を検討する機関・教員に個別に確認する事項です。

登録日本語教員を直接探すにはどうすればよいですか?

登録日本語教員は2026年8月21日時点で全国20,075名に達し、1年前の約1万名から倍増しています(文部科学省)。日本語教育機関からの紹介、求人媒体、講師紹介サービス、地域の日本語教育推進に関わる窓口などの経路があります。依頼前には、登録番号と登録年、稼働可能な曜日・時間帯、同時双方向オンラインの指導経験、母語対応の可否、就労分野での講習経験を確認します。

日本語講習を委託する前に、監理支援機関が先に決めておくべきことは何ですか?

監理支援機関が自ら行うべき業務は入国前講習・入国後講習の企画立案であり、委託できるのは監理支援機関が企画した講習の講師の業務に限られます(運用要領5-86〜87頁)。委託先を探す前に、講習の目標水準、科目と時間配分、教材、時間割、出席と記録の取り方、受講証明の出し方を団体側で決めておく必要があります。

自団体だけでは受講対象者が少なく、クラスを組めない場合はどうすればよいですか?

登録日本語教員1人につき同時に受講する生徒が20人以下という上限の範囲内で、複数の監理支援機関が講師業務だけを共同で委託し、1つのクラスを組む考え方があります。各団体が自団体分の講習計画・証跡を個別に持つ形が制度上の整理に沿います。中間支援団体(商工会議所・中央会等)が仲介役になっている事例も公表されています。

公式出典と未確定事項

未確定・個別確認が必要なもの

  • 一覧表の「オンライン」表記が、対面時間ゼロの全面オンラインでの完結を意味するか
  • 登録日本語教員20,075名のうち、育成就労の講習に実際に稼働できる人数
  • 就労課程を置く認定日本語教育機関の次回認定(令和8年度2回目)の発表時期
  • 日本語教員試験の2027年度からの複数回実施(日本経済新聞が報じているが、2026-09-07時点で文部科学省の公式発表は確認できていない)

この記事の確認情報

公開日:2026-09-07/最終事実確認日:2026-09-07/編集・事実確認:FRM Journal編集部

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