技能実習計画の書き方|迷いやすいポイントとNG事例を実務目線で解説

技能実習計画の作成は、監理団体の業務の中でも最も神経を使う作業の一つです。記載ミスが一つでもあれば外国人技能実習機構(OTIT)から差し戻され、認定が遅れます。認定が遅れれば在留資格認定証明書の交付も後ろ倒しになり、実習生の入国スケジュール全体に影響が及びます。

「この欄にはどこまで書けばいいのか」「比率の計算が合っているか不安」「毎回、過去の計画書を見返しながら作っている」——こうした声は、私たちが監理団体の方々からお聞きする中でも特に多い悩みです。

本記事では、技能実習計画認定申請書の記入フォームを上から順に追いかけながら、実務担当者が迷いやすいポイントに焦点を当てて書き方を解説します。よくあるNG事例と修正例も紹介しますので、次回の計画書作成にそのまま活用してください。

技能実習計画とは

技能実習計画とは、技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)第8条に基づき、技能実習を行わせようとする者(実習実施者)が作成し、外国人技能実習機構(OTIT)に認定申請する書類です。実習生1名ごとに作成し、実習の内容、期間、到達目標、報酬、生活支援体制などを具体的に記載します。この認定を受けなければ、技能実習を開始することはできません(技能実習法第9条)。

計画書の全体構成|6つのセクションを把握する

技能実習計画認定申請書は、大きく以下の6つのセクションで構成されています。まず全体像を把握してから、各セクションの書き方に入りましょう。

# セクション 主な記載内容 迷いやすさ
1 基本情報 実習実施者の名称・所在地、実習生の氏名・国籍・在留資格 ★☆☆
2 実習の内容・期間 職種・作業、必須業務・関連業務・周辺業務の内容と比率、実習期間 ★★★
3 到達目標と技能検定 技能検定の受検予定、目標の設定 ★★★
4 報酬・待遇 基本給、手当、労働時間、休日 ★★☆
5 監理体制 監理責任者、監理指導員、監査の実施体制 ★★☆
6 生活支援 住居、生活指導員、相談体制 ★☆☆

迷いやすさが★★★のセクション(実習の内容・期間、到達目標と技能検定)は、OTITからの差し戻しが最も多い部分です。以降のセクション別ガイドでは、この2つを特に手厚く解説します。

セクション別の書き方ガイド

セクション1:基本情報(実習実施者情報・実習生情報)

基本情報は、事実をそのまま転記する部分が中心です。以下の点に注意してください。

  • 実習実施者の名称・所在地: 登記簿謄本に記載されている正式名称を使います。「株式会社」を「(株)」と省略しないでください。所在地も登記上の住所と一致させます。
  • 実習生の氏名: パスポートの記載と完全に一致させます。ミドルネームの有無、スペルの揺れ(例:「NGUYEN」と「NGUYỄN」)に注意が必要です。在留カードの表記を基準にします。
  • 実習の区分: 技能実習1号イ(企業単独型)か1号ロ(団体監理型)かを正確に選択します。監理団体を通じた受入れであれば「1号ロ」です。2号・3号への移行の場合は、移行前の実習計画認定番号も記載します。

実務上のポイント: 受入企業から届く情報をそのまま転記するのではなく、登記簿謄本やパスポートの原本(コピー)と必ず照合してください。企業名の旧字体・新字体の違いで差し戻された事例もあります。

セクション2:実習の内容・期間(最も差し戻しが多い)

このセクションが技能実習計画の核心部分です。ここでの記載ミスは認定の遅延に直結します。

職種・作業の選択

まず、技能実習の職種・作業を正確に選択します。2026年3月現在、技能実習2号の移行対象職種は90職種165作業が定められています。受入企業の実際の業務内容と、選択する職種・作業が整合しているかを確認してください。

たとえば、食品製造業の企業で受け入れる場合でも、「そう菜製造業」なのか「水産練り製品製造」なのかで、求められる必須業務の内容が全く異なります。ここを曖昧にすると、後述の必須業務の記載で整合性が取れなくなります。

必須業務・関連業務・周辺業務の比率

技能実習計画で最も迷いやすいのが、この3種類の業務の記載と比率の設定です。

業務区分 定義 比率の目安
必須業務 技能実習生が必ず従事すべき業務。技能検定の試験範囲に対応する 全体の50%以上
関連業務 必須業務に関連する業務。技能の習得に資するもの 全体の50%以下
周辺業務 必須業務・関連業務に付随する業務 全体の3分の1以下

比率の計算方法: 比率は「実習期間全体の時間数」に対する割合で計算します。たとえば、1号の実習期間が12ヶ月で、月の労働時間が160時間の場合、年間の総実習時間は1,920時間です。

  • 必須業務: 1,920時間 × 50% = 960時間以上
  • 関連業務: 1,920時間 × 50% = 960時間以下
  • 周辺業務: 1,920時間 × 1/3 = 640時間以下

ここで注意すべきは、関連業務と周辺業務の合計が50%以下でなければならない点です。周辺業務だけで見れば3分の1以下という制限もあるため、両方の条件を同時に満たす必要があります。

実習の内容の具体的な書き方

各業務区分について、以下の項目を具体的に記載します。

  • 業務の名称(例:「溶接作業」「材料の準備・運搬」)
  • 業務の内容(例:「半自動溶接機を使用し、鉄骨部材の隅肉溶接を行う」)
  • 使用する素材・材料
  • 使用する機械・器具
  • 製品・成果物

よくある失敗: 「溶接作業を行う」のように、業務の名称をそのまま内容欄にも書いてしまうケースです。OTITは「何を」「どのように」「どんな機械で」行うのかを具体的に記載することを求めています。

セクション3:到達目標と技能検定の計画

到達目標は、実習期間の終了時に技能実習生がどのレベルに到達するかを示すものです。技能検定の受検計画と整合させる必要があります。

技能検定との整合性

実習区分 到達目標 技能検定
1号 基本的な業務を安全に遂行できる 技能検定基礎級(実技・学科)への合格
2号 一定の専門性をもって業務を遂行できる 技能検定3級(実技)への合格
3号 熟練した技能をもって業務を遂行できる 技能検定2級(実技)への合格

技能実習法第9条第2号により、技能実習計画には「技能実習の目標」を記載しなければなりません。この目標は、対応する技能検定等の合格を含む必要があります。

受検スケジュールの記載

技能検定の受検スケジュールは、実習期間と整合させます。具体的には以下の点に注意します。

  • 1号の場合: 実習期間の終了の6ヶ月前までに基礎級の受検を行うことが推奨されます。不合格の場合に再受検の時間を確保するためです。
  • 2号への移行時: 1号の技能実習計画に、2号移行のための技能検定基礎級の受検予定時期を明記します。
  • 受検予定時期の書き方: 「2026年10月(入国後8ヶ月目)」のように、具体的な年月と入国後の月数の両方を記載すると、審査がスムーズです。

実務上のポイント: 技能検定の試験日程は都道府県の職能能力開発協会が管轄しており、職種によっては年1〜2回しか実施されない場合があります。試験日程を確認してから受検スケジュールを記載してください。試験日程と実習期間がずれていると、計画の修正を求められます。

セクション4:報酬・待遇

報酬の記載は、労働基準法および最低賃金法との整合性が厳しくチェックされる部分です。

基本給の書き方

技能実習法第9条第9号により、技能実習生の報酬は日本人が従事する場合の報酬と同等以上でなければなりません。具体的な記載項目は以下の通りです。

  • 基本給の額: 月給制の場合は月額、時給制の場合は時間額を記載します。
  • 計算根拠: 「同社の同種の業務に従事する日本人従業員の賃金テーブルに基づき設定」のように、同等報酬であることの根拠を明記します。
  • 最低賃金との関係: 受入企業の所在地の最低賃金を下回っていないことを確認します。2026年度の地域別最低賃金は改定されている可能性があるため、申請時点の最新の金額を必ず確認してください。

手当の記載方法

手当は、その名称・金額・支給条件を明確に記載します。

手当の種類 記載例 注意点
固定残業手当 「月20時間分の時間外労働に対し30,000円」 固定残業代を超える時間外労働が発生した場合は別途支給する旨も記載
住宅手当 「月額20,000円」 社宅提供の場合は控除額との関係を明確にする
食事手当 「月額10,000円」 現物支給の場合はその旨を記載
通勤手当 「実費支給(上限月額15,000円)」 支給条件を明確に

注意: 報酬から住居費や食費を控除する場合は、控除額の根拠(近隣の相場など)を示す必要があります。技能実習法施行規則第10条第2項第7号により、不当な控除は認定基準に反します。控除後の手取り額が最低賃金を下回らないことも確認してください。

労働時間・休日の記載

  • 所定労働時間: 1日の労働時間と1週間の労働時間を記載します(例:「1日8時間、1週40時間」)。
  • 休日: 週休日数と年間休日数を記載します(例:「毎週日曜日および土曜日、年間休日105日」)。
  • 時間外労働: 36協定(労働基準法第36条に基づく労使協定)の範囲内であることを確認し、その上限を記載します。

セクション5:監理体制

監理体制の記載は、監理団体側が主に担当する部分です。

監理責任者・監理指導員の記載

  • 監理責任者: 氏名、役職、経験年数、過去3年以内に監理責任者講習を受講した日付と実施機関名を記載します。技能実習法施行規則第52条第10号に基づき、3年ごとの講習受講が義務付けられています。
  • 監理指導員: 実際に受入企業への巡回指導を行う担当者の氏名と役職を記載します。実習実施者の事業所の数に対して十分な人数を配置していることが求められます。

実務上のポイント: 監理責任者の講習受講証の有効期限が切れていないかを必ず確認してください。有効期限切れの状態で申請すると、差し戻しの対象になります。また、監理責任者と監理指導員を兼任する場合は、その旨を明記します。

監査の実施計画

  • 監査頻度: 3ヶ月に1回以上の監査を実施することを記載します(技能実習法第39条第3項)。
  • 監査の方法: 「受入企業への訪問による実地監査」「技能実習日誌の確認」「実習生への個別面談」など、具体的な方法を列挙します。
  • 臨時監査の条件: 失踪や法令違反の疑いがある場合の臨時監査についても記載が求められます。

巡回指導の実施体制については、関連記事「巡回指導対策チェックリスト」もあわせてご確認ください。

セクション6:生活支援

生活支援の記載は、実習生の日常生活をどのようにサポートするかを示す部分です。

住居の確保

  • 住居の形態: 社宅、民間アパート、寮など、住居の種類を記載します。
  • 住所: 住居の所在地を記載します。
  • 居住面積: 技能実習生1人あたり4.5平方メートル以上の居室面積が必要です(技能実習法施行規則第10条第2項第5号)。
  • 設備: 寝具、家電、Wi-Fi環境など、提供する設備の一覧を記載します。

生活指導員の配置

  • 生活指導員の氏名: 実習生の生活面を指導する担当者の氏名と連絡先を記載します。
  • 相談体制: 母国語で相談できる体制があるかどうかを記載します。通訳の配置や、母国語対応可能な相談窓口の利用など、具体的な方法を示します。
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