結論|書類を作って備えるのは受入企業、確認して報告するのは監理団体です

  • 技能実習日誌などの帳簿書類を作成して事業所に備え置き、毎年の実施状況報告を出すのは実習実施者(受入企業)です(技能実習法第20条・第21条)。
  • 監理団体は、3か月に1回以上の監査と、第1号技能実習生について1か月に1回以上の訪問指導を行い、その記録を残します(施行規則第52条第1号・第3号、第54条)。
  • 帳簿書類の保存期間は、受入企業が「技能実習を終了した日から1年間」、監理団体が「団体監理型技能実習の終了の日から1年間」です(施行規則第22条第2項・第54条第2項)。

根拠:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)、同法施行規則(いずれもe-Gov法令検索で2026年9月23日に原文確認)。本記事は団体監理型の技能実習を前提にしています。

技能実習生の「管理」には、受入企業(法令上の呼び方は「実習実施者」)が行う業務と、監理団体が行う業務があります。どちらが担当するかは、技能実習法と施行規則に書かれています。ところが現場では「監理団体がやってくれると思っていた」「受入企業が出しているはずだった」という思い込みから、届出や記録が漏れることがあります。

本記事では、技能実習の主な管理業務を「誰が・何を・どの頻度で・何を記録し・何年保存するか」という観点で1つの表にまとめ、条文の番号を添えました。お手元の運用と見比べて、担当があいまいな業務がないかを確認する際にお使いください。個々の業務の詳しい進め方は、各項目で紹介する解説記事をご覧ください。

技能実習の管理業務 役割マトリクス(法令根拠つき)

次の表は、団体監理型の技能実習について、受入企業と監理団体の役割を条文ごとに整理したものです。「頻度・期限」の欄は、法令に書かれている表現をそのまま短く記載しています。「遅滞なく」のように日数が決まっていないものは、日数を補わずにそのまま載せています。

管理業務 担当(誰が) 頻度・期限 記録・保存 根拠
技能実習計画の作成・認定申請 受入企業が技能実習生ごとに作成・申請します。監理団体は作成を指導します 計画の期間は第1号が1年以内、第2号・第3号が2年以内 認定を受けた計画(認定計画)に従って実習を行います 技能実習法第8条第1項・第4項、第9条第3号
計画の変更 受入企業が変更の認定申請または軽微な変更の届出を行います。届出は監理団体の指導に基づいて行います 変更しようとするとき(軽微な変更は変更があった旨を届出) 変更を証する書類を添えて届け出ます 技能実習法第11条第1項、施行規則第17条
実習開始の届出 受入企業 技能実習を開始したとき、遅滞なく 別記様式第7号 技能実習法第17条、施行規則第20条
入国後講習(第1号) 監理団体(自ら、または他の適切な者に委託して実施) 総時間数は第1号技能実習の予定時間全体の6分の1以上(過去6か月以内に、日本国外で、1か月以上かつ160時間以上の座学による入国前講習を受けた場合は12分の1以上)。講習期間中は業務に従事させません 監理団体が講習の実施状況を記録した書類を備え置きます 施行規則第10条第2項第7号、第52条第7号、第54条第1項第5号
帳簿書類の作成・備付け(技能実習日誌を含む) 受入企業 技能実習を行わせている間、継続して作成します 技能実習生の管理簿、認定計画の履行状況に係る管理簿、業務と指導の内容を記録した日誌など。技能実習を終了した日から1年間、事業所に備え置きます 技能実習法第20条、施行規則第22条
訪問指導(第1号) 監理団体(監理責任者の指揮の下) 1か月に1回以上、計画どおりに実習が行われているかを実地で確認し、必要な指導を行います 指導の内容を記録した書類。団体監理型技能実習の終了の日から1年間保存 施行規則第52条第3号、第54条第1項第6号・第2項
定期監査 監理団体(監理責任者の指揮の下)。受入企業は監査を受けます 3か月に1回以上。法第16条第1項各号に該当する疑いがあるときは直ちに監査します 監査に係る書類。団体監理型技能実習の終了の日から1年間保存 施行規則第52条第1号・第2号、第54条第1項第4号・第2項
監査報告書の提出 監理団体 監査の終了後、遅滞なく 別記様式第22号 技能実習法第42条第1項、施行規則第55条第1項
技能検定・技能実習評価試験 受入企業が計画に目標として定めます。監理団体は技能等の評価について受入企業に必要な指導・助言を行います 第1号:基礎級相当(実技・学科)の合格など。第2号:3級相当(実技)の合格。第3号:2級相当(実技)の合格 第2号・第3号の計画認定には、前の段階の計画で定めた合格の目標が達成されていることが必要です 施行規則第10条第1項、技能実習法第9条第4号、第39条第2項
相談対応 監理団体が相談に応じ、助言・指導を行います。受入企業は生活指導員を1名以上選任します 相談を受けたとき 監理団体は、受けた相談の内容と対応を記録した書類を備え置き、団体監理型技能実習の終了の日から1年間保存 施行規則第52条第14号、第54条第1項第7号・第2項、第12条第1項第3号
実施状況報告 受入企業が作成・提出します。作成は監理団体の指導に基づいて行います 技能実習事業年度(4月1日から翌年3月31日)ごとに、翌年度の5月31日まで 別記様式第10号 技能実習法第21条、施行規則第23条
事業報告書 監理団体(監理事業を行う事業所ごと) 技能実習事業年度ごとに、翌年度の5月31日まで 別記様式第23号。貸借対照表・損益計算書(または収支計算書)、訪問指導の記録の写しなどを添付 技能実習法第42条第2項、施行規則第55条第2項・第3項
実習が続けられなくなったとき(困難時の届出) 受入企業は監理団体へ通知し、監理団体が届け出ます いずれも遅滞なく 困難となった事由・発生時期・原因、技能実習生の現状、継続のための措置など(監理団体は別記様式第18号) 技能実習法第19条第2項、第33条第1項、施行規則第21条第2項、第48条

表のうち、法令が日数を定めていない「遅滞なく」の業務は、社内で「発生から何日以内に誰へ連絡するか」を決めておかないと漏れやすくなります。社内ルールを決める際は、監理団体とすり合わせたうえで文書にしておくと安心です。

受入企業(実習実施者)が担う業務

受入企業の業務は、大きく「計画を作って守る」「帳簿に記録して備える」「報告・届出をする」の3つに分けられます。

日本語が通じないときの現場での対応は「日本語ができない技能実習生への対応」を参照してください。

計画の作成と変更

技能実習計画は、技能実習を行わせようとする企業が技能実習生ごとに作成し、認定を受けます(技能実習法第8条第1項)。団体監理型の場合は、監理団体の指導に基づいて作成しなければなりません(同条第4項)。認定後に内容を変える場合、技能実習の目標や職種・作業の変更など実質的な影響のある変更は変更の認定が必要で、それ以外の軽微な変更は届出で足ります(同法第11条第1項、施行規則第17条)。「この変更はどちらに当たるか」は、変更前に監理団体へ相談するのが確実です。

帳簿書類の作成と保存

受入企業は、次の帳簿書類を作成し、技能実習を行わせる事業所に備え置きます(技能実習法第20条、施行規則第22条第1項)。

  • 技能実習生の管理簿
  • 認定計画の履行状況に係る管理簿
  • 技能実習生に従事させた業務と、技能実習生に対する指導の内容を記録した日誌(技能実習日誌)

備え置く期間は、技能実習生が技能実習を終了した日から1年間です(施行規則第22条第2項)。日誌の記載項目や監理団体の確認方法は「技能実習日誌のチェックポイント」で詳しく解説しています。

実施状況報告と各種届出

受入企業は、技能実習事業年度(毎年4月1日から翌年3月31日)ごとに実施状況を報告書にまとめ、翌年度の5月31日までに提出します(施行規則第23条第1項、第1条)。団体監理型の場合、この報告書は監理団体の指導に基づいて作成します(同条第2項)。また、実習を開始したときは遅滞なく届け出ること(技能実習法第17条)、実習を続けることが難しくなったときは遅滞なく監理団体へ通知すること(同法第19条第2項)も受入企業の義務です。

社内の指導体制

受入企業は、技能実習を行わせる事業所に所属する常勤の役職員の中から、修得させる技能について5年以上の経験を持つ技能実習指導員を1名以上、生活の指導を担当する生活指導員を1名以上選任します(施行規則第12条第1項第2号・第3号)。技能検定などの受検に向けた指導は、この体制の中で計画的に進めることになります。

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監理団体が担う業務

監理団体の業務は「受入企業を確認・指導する」「技能実習生を支える」「国へ報告する」の3つが中心です。

定期監査と訪問指導

監理団体は、受入企業に対して3か月に1回以上の頻度で監査を行います(施行規則第52条第1号)。監査では、次の5つの方法を用いることが定められています。

  • 技能実習の実施状況を実地で確認すること
  • 技能実習責任者と技能実習指導員から報告を受けること
  • 技能実習生の4分の1以上(技能実習生が2人以上4人以下の場合は2人以上)と面談すること
  • 事業所の設備を確認し、帳簿書類などを閲覧すること
  • 技能実習生の宿泊施設その他の生活環境を確認すること

これとは別に、第1号技能実習については1か月に1回以上、計画どおりに実習が行われているかを実地で確認し、必要な指導を行います(同条第3号)。監査を行ったときは、監査の終了後遅滞なく監査報告書を提出します(技能実習法第42条第1項)。監査と訪問指導の違いや記録の書き方は「訪問指導記録書の書き方」と「監査報告書の書き方と記入例」で解説しています。

入国後講習

第1号の団体監理型技能実習では、監理団体が入国後講習を実施します(施行規則第10条第2項第7号イ、第52条第7号)。科目は日本語、日本での生活一般に関する知識、法的保護に必要な情報などで、総時間数は第1号技能実習の予定時間全体の6分の1以上(過去6か月以内に、日本国外で、1か月以上かつ160時間以上の座学による入国前講習を受けた場合は12分の1以上)です。講習期間中は、技能実習生を業務に従事させてはいけません。講習の組み立て方は「技能実習の入国後講習ガイド」をご覧ください。

相談対応と記録

監理団体は、技能実習生からの相談に適切に応じ、受入企業と技能実習生への助言・指導などを行います(施行規則第52条第14号)。受けた相談の内容と対応は書類に記録し、監理事業を行う事業所に備え置きます(同規則第54条第1項第7号)。

監理団体の帳簿書類と保存期間

監理団体が備え置く帳簿書類には、受入企業と技能実習生の管理簿、監理費に係る管理簿、監査に係る書類、入国前講習・入国後講習の実施状況の記録、訪問指導の内容の記録、相談の内容と対応の記録などがあります(施行規則第54条第1項)。保存期間は団体監理型技能実習の終了の日から1年間です(同条第2項)。年1回の事業報告書(翌年度の5月31日まで)の書き方は「監理団体の事業報告書の書き方」で整理しています。

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技能検定・技能実習評価試験の目標と移行の関係

技能実習計画には、技能検定または技能実習評価試験の合格などの目標を記載します(技能実習法第8条第2項第6号)。区分ごとの目標は、施行規則第10条第1項で次のように定められています。

  • 第1号:基礎級の技能検定またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験と学科試験の合格、または、具体的な業務ができるようになることと関連知識の修得
  • 第2号:3級の技能検定またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格
  • 第3号:2級の技能検定またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格

第2号・第3号の計画が認定されるには、前の段階の計画で定めた技能検定などの合格の目標が達成されていることが必要です(技能実習法第9条第4号)。監理団体は、受入企業が技能等の評価を行うに当たって必要な指導・助言を行います(同法第39条第2項)。試験日程から逆算した受検時期の確認は、監理団体と受入企業の双方で共有しておくと漏れを防げます。不合格となった場合の扱いは「技能検定に不合格になったら」で解説しています。

担当があいまいになりやすい業務の確認項目

役割マトリクスを社内の運用と照らし合わせる際は、次の項目を確認してください。いずれも「誰がやるか」を文書で決めておくと、担当者が替わっても引き継ぎやすくなります。

  • 軽微な変更の届出が必要な変更が起きたとき、受入企業から監理団体へ誰がいつ連絡するか決まっているか
  • 技能実習日誌・管理簿を、技能実習の終了日から1年間保存する置き場所と担当者が決まっているか
  • 第1号技能実習生の訪問指導(1か月に1回以上)と定期監査(3か月に1回以上)の予定が、受入企業にも共有されているか
  • 実施状況報告(5月31日まで)の作成について、監理団体の指導を受ける時期が決まっているか
  • 実習を続けることが難しくなったときの連絡先と連絡方法を、受入企業の担当者が把握しているか
  • 相談を受けたとき、内容と対応を記録する様式と保管場所が決まっているか

2027年4月1日の育成就労施行で何が変わるか

出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」によると、育成就労制度の運用開始日は2027年4月1日です。施行後も技能実習を続けられるのは、2027年4月1日時点ですでに来日している技能実習生、または2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請がされ、原則として2027年6月30日までに技能実習を開始する技能実習生とされています。

また同Q&Aでは、技能実習制度では第1号から第3号の各段階で計画の認定が必要なのに対し、育成就労制度では当初から3年間の計画を作成して認定を受けること、監理団体が育成就労の業務を行うには新たに監理支援機関の許可が必要であることが示されています。育成就労での帳簿や監査の具体的な頻度・保存期間は本記事の対象外とし、確認できた内容は次の記事で整理しています。

よくある質問

技能実習日誌は受入企業と監理団体のどちらが作成しますか。

受入企業(実習実施者)が作成し、技能実習を行わせる事業所に備え置きます(技能実習法第20条、施行規則第22条第1項第3号)。監理団体は、監査や訪問指導の際に日誌などの帳簿書類を確認する立場です。

監理団体の監査と訪問指導の頻度はどのくらいですか。

定期監査は受入企業ごとに3か月に1回以上、訪問指導は第1号技能実習について1か月に1回以上です(施行規則第52条第1号・第3号)。

技能実習の帳簿書類は何年保存しますか。

受入企業の帳簿書類は技能実習生が技能実習を終了した日から1年間(施行規則第22条第2項)、監理団体の帳簿書類は団体監理型技能実習の終了の日から1年間(同規則第54条第2項)です。

実施状況報告と事業報告書の提出期限はいつですか。

どちらも技能実習事業年度(4月1日から翌年3月31日)ごとに作成し、翌年度の5月31日までに提出します。実施状況報告は受入企業が監理団体の指導に基づいて作成し(施行規則第23条)、事業報告書は監理団体が事業所ごとに作成します(同規則第55条第2項)。

公式出典と確認日

本記事の条文は、2026年9月23日にe-Gov法令検索で原文を確認しました。育成就労に関する記載は、同日に出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」で確認しています。

この記事の確認情報

公開日:2026-03-15/最終更新日:2026-09-23/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は一般的な制度情報であり、個別案件の法律・行政手続に関する助言ではありません。特定の職種・作業には告示で追加の基準や書類が定められている場合があります。実際の手続は外国人技能実習機構・出入国在留管理庁の最新情報でご確認ください。

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