結論|登録支援機関の役割は「制度で定義された2つ」と「実務上の分担にすぎない2つ」に分かれる
- 支援責任者と支援担当者は、特定技能基準省令および運用要領が定義する制度上の役割です。事務担当・営業担当は法令上の定義がなく、各機関が実務の都合で分担している実務上の役割にすぎません。
- 義務的支援10項目のうち、頻度や時間が数値で示されているものとして、生活オリエンテーション(8時間以上)・相談苦情対応(勤務日週3日以上+休日1日以上)・定期面談(3か月に1回以上)があります。事前ガイダンスなど他の項目は一律の最低時間ではなく「本人が十分に理解できるまで」実施することが求められています(十分に理解しないまま数十分で終える実施は不適切とされています)。
- 届出は随時届出(事由発生から14日以内)と定期届出(年1回、5月31日までに受入企業と連名で提出)の2系統があり、期限の起算点が異なります。
根拠:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和8年8月/同「1号特定技能外国人支援に関する運用要領(運用要領別冊1)」令和7年4月1日一部改正版(最終確認日:2026-09-04)
「登録支援機関 業務内容」で検索すると、義務的支援10項目を一覧にしたページは見つかりますが、それぞれの支援を「誰が」「いつ」「どの順番で」行うかまで整理したページは多くありません。10項目そのものの解説は「登録支援機関とは?登録要件・業務内容・費用相場を完全ガイド」に譲り、本記事では支援責任者・支援担当者・事務・営業の役割別に、1日・1週間・1か月・四半期・年間の業務フローを時系列で整理します。新任者のオンボーディング資料としても使えるように構成しました。特定技能制度そのものの全体像は「特定技能とは|対象19分野と受入機関の義務」もあわせてご覧ください。
登録支援機関に「誰が」いるか|制度上の役割と実務上の分担を分ける
登録支援機関の業務は、法令が定義する役割と、各機関が実務上で分けている役割が混在しています。まずこの2つを区別します。
制度上の役割(特定技能基準省令が定義)
- 支援責任者:登録支援機関の役員又は職員(常勤であるかどうかは問わない)で、支援担当者を監督する立場にある者です。支援担当者等の管理、支援の進捗状況の確認、支援状況の届出、帳簿の作成・保管、関係機関との連絡調整を統括管理する立場と定められています。
- 支援担当者:登録支援機関の役員又は職員で、支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者です。「常勤であることが望まれる」とされていますが義務ではありません。支援業務を行う事務所ごとに最低1名の選任が必要ですが、委託契約先ごとに1名選任する必要はなく、1名で複数社・複数人を担当できます。
- 兼任:支援責任者が支援担当者を兼任することも可能ですが、その場合であっても両方の基準に適合している必要があります。人員配置の詳細は「登録支援機関になるには|要件・申請の流れ・費用」でも解説しています。
実務上の分担(法令上の定義なし)
- 事務担当:変更届出(14日以内)・定期届出(年1回)の取りまとめ、帳簿の維持等を担うことが多い役割ですが、法令上の呼称・選任義務はありません。他人の依頼を受け、報酬を得て官公署提出書類を業として作成する行為には従来から行政書士法上の制限があり、2026年1月施行の改正で報酬の名目を問わないことが明確化されました。自機関が義務として作成する届出・帳簿と、外国人本人の在留資格申請書類の作成とを分けて役割を設計する必要があります。
- 営業担当:受入企業(特定技能所属機関)の新規開拓、支援委託契約の締結交渉を担うことが多い役割ですが、法令上の定義はありません。委託手数料の料金表を周知することが「望まれる」とされていますが、義務ではありません。
本記事では以下、この4つの実務上の呼称(支援責任者・支援担当者・事務・営業)で業務フローを整理しますが、制度上の役職は支援責任者・支援担当者の2つだけである点にご注意ください。小規模な機関では1〜2名が兼務している場合もあります。
役割別・時間軸フロー表|1日から年間まで
各表の「根拠」列は、法令上の義務(運用要領・省令に明記された基準)か、実務上の推奨(法令に頻度・時期の定めがなく、円滑な運用のための一般的な整理)かを区別しています。実際の運用は機関の規模・体制によって異なります。
1日の流れ
| 時間帯の目安 | 役割 | やること | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 始業時 | 支援担当者 | 相談専用窓口(電話・メール等)の確認、前日からの持ち越し案件の把握 | 実務上の推奨 |
| 午前 | 事務 | 前日までの支援実施状況を支援実施管理簿に反映 | 実務上の推奨(帳簿の備付け自体は法令上の義務) |
| 日中 | 支援担当者 | 相談・苦情対応(当番制)、必要に応じて公的手続への同行 | 法令上の義務(相談苦情対応は勤務日週3日以上+休日1日以上の体制が必要) |
| 日中 | 支援担当者 | その日が予定日の定期面談(3か月ローテーションの該当者) | 法令上の義務(3か月に1回以上) |
| 日中 | 営業 | 受入企業候補への訪問・商談 | 実務上の推奨 |
| 終業前 | 支援責任者 | その日の相談記録・面談記録の確認、進捗状況の把握 | 実務上の推奨(支援状況の進捗確認自体は支援責任者の統括管理事項として制度上求められる) |
1週間の流れ
| 役割 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 支援担当者 | 今月・来月に定期面談が予定される対象者のスケジュール調整、通訳の手配 | 実務上の推奨 |
| 事務 | 氏名・住所・支援業務内容等の変更事由の有無を確認(発生から14日以内の届出に備える) | 実務上の推奨(届出義務自体は法令、週次の確認は運用の工夫) |
| 営業 | 商談中の受入企業との支援委託契約の条件交渉 | 実務上の推奨 |
| 支援責任者 | 相談・苦情対応の週間体制(勤務日週3日以上+休日1日以上)が維持できているかの確認 | 法令上の義務の充足確認 |
1か月の流れ
| 役割 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 支援担当者 | その月が対象の支援対象者への定期面談の実施と、面談報告書の作成(本人用・監督者用) | 法令上の義務(3か月に1回以上) |
| 事務 | 支援委託契約の締結・変更・終了の有無を確認し、受入企業が行う支援委託契約に関する届出(事由発生から14日以内)に必要な情報を連携 | 法令上の義務(届出義務者は受入企業) |
| 支援責任者 | 委託料の請求・入金状況、支援担当者の稼働状況の確認 | 実務上の推奨 |
| 営業 | 委託手数料の標準料金表の見直し検討 | 実務上の推奨(料金表の周知自体は「望まれる」と留意事項に記載) |
四半期の流れ
| 役割 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 支援担当者 | その期間に入社した特定技能外国人への事前ガイダンス・生活オリエンテーション(8時間以上)の実施 | 法令上の義務(入社の都度発生。四半期はまとめて把握する際の目安) |
| 支援責任者 | 帳簿(支援実施体制管理簿・委託契約管理簿・支援対象者管理簿・支援実施管理簿)の整備状況の内部チェック | 実務上の推奨(帳簿の備付け・保存自体は法令上の義務) |
| 事務 | 特異事案報告(発生から14日以内)が必要な事案が生じていないかの確認 | 実務上の推奨(報告義務自体は法令) |
年間の流れ
| 役割 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 事務・支援責任者 | 定期届出(対象4月1日〜翌年3月31日分、翌年5月31日までに受入企業と連名で提出)の取りまとめと提出 | 法令上の義務 |
| 支援責任者・経営層 | 登録更新の要否確認(有効期間満了日の6か月前の月初から4か月前の月末までに申請) | 法令上の義務 |
| 支援責任者 | 養成講習の受講計画の策定(2027年4月1日施行の受講義務化に向けた準備) | 法令上の義務化予定(現時点は準備段階) |
| 支援担当者 | 日本人との交流促進の年間行事計画の作成 | 実務上の推奨(「年間を通じて行うことが望まれる」と留意事項に記載) |
| 支援担当者 | 非自発的離職が発生した場合の転職支援(求人情報の提供・紹介等。求職活動のための有給休暇付与は受入企業に働きかける) | 法令上の義務(発生の都度) |
定期面談・相談対応・届出の期限をどう一元管理し、属人化を防ぐか、御機関の体制に当てはめてご相談いただけます。外国人材の管理業務そのものをどう管理するかを相談できます。
義務的支援10項目を時間軸に配置する|どの工程で何をするか
特定技能基準省令が定める義務的支援10項目は、支援対象者の受入れ時期を軸に並べ直すと、次のように「入社前」「入社直後」「継続中」「随時発生」の4つの時期に整理できます。
| 項目 | 実施タイミングの目安 | 頻度・時間の定め |
|---|---|---|
| 1. 事前ガイダンスの実施 | 入社前(在留資格認定証明書交付申請等の前) | 一律の最低時間の定めはなく、本人が十分に理解できるまで実施する必要(数十分で終える実施は不適切とされる) |
| 2. 出入国する際の送迎 | 入国日・帰国日(都度) | 頻度の定めなし |
| 3. 住居確保・生活に必要な契約支援 | 入社直前〜直後 | 頻度の定めなし |
| 4. 生活オリエンテーションの実施 | 入社後、速やかに(初回) | 少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられると明記 |
| 5. 公的手続等への同行 | 入社後、速やかに(住民登録・社会保険手続等) | 頻度の定めなし |
| 6. 日本語学習の機会の提供 | 入社後・継続 | 頻度の定めなし |
| 7. 相談・苦情への対応 | 通年・毎日(当番制で対応) | 1週間当たり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応できる体制が必要 |
| 8. 日本人との交流促進 | 年間を通じて | 「年間を通じて行うことが望まれる」(努力目標に近い記載) |
| 9. 転職支援(非自発的離職時) | 受入側都合による契約解除の発生時(随時) | 発生の都度、次の受入先が決まるまで可能な限り継続 |
| 10. 定期的な面談の実施・通報 | 通年(3か月ローテーション) | 3か月に1回以上。詳しい記入例は「特定技能 定期面談報告書の書き方」で解説 |
10項目のうち、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談の4項目は、外国人本人が十分に理解できる言語で実施することが基準省令第4条第3号で明文化されています。この4項目は言語対応の準備(通訳の手配、多言語資料の用意)を伴うため、担当者のスケジュールに組み込む際は余裕を持った時間設計が実務上有効です。
新任者が最初の1か月で覚えるべき順序|オンボーディング設計
ここからは法令上の義務ではなく、実務上の工夫(推奨事項)です。新任の支援担当者・事務担当が、いきなり単独で相談対応や面談を担当するのは負担が大きいため、次のような段階的な順序が実務上有効です。
- 1週目:制度の全体像(義務的支援10項目、登録支援機関と受入企業の関係)を理解する。帳簿4種(支援実施体制管理簿・委託契約管理簿・支援対象者管理簿・支援実施管理簿)の保管場所と保存ルール(当該外国人の特定技能雇用契約が終了した日から1年間)を確認する。
- 2週目:相談・苦情対応の当番にベテラン担当者と同席し、対応の型を観察する。定期面談に同行し、本人用・監督者用それぞれで問う視点が異なることを確認する。
- 3週目:事前ガイダンス・生活オリエンテーションの実施現場に同行する。参考様式(面談報告書、相談記録書等)への記入を練習する。
- 4週目:支援責任者の確認を前提に、単独での相談対応・面談記録の作成に着手する。
この順序は法令が定めたものではなく、新任者の負担と記録の質を両立させるための一つの型です。機関の規模や委託契約の形態によって調整してください。
属人化・抜け漏れが起きやすい工程と、その検知方法
次の4つは、法令上の義務そのものは明確でも、運用が特定の担当者に依存すると抜け漏れが起きやすい工程です。検知方法は実務上の推奨です。
- 定期面談の期限超過:支援対象者ごとに入社時期が異なるため起算月がずれ、一覧管理をしていないと「気づいたら4か月経過していた」という抜け漏れが起きやすくなります(義務は3か月に1回以上)。検知方法:対象者ごとの次回面談予定日と超過者を一覧で可視化する運用が実務上有効です。
- 相談・苦情対応の当番の偏り:特定の担当者の連絡先に電話・メッセージが集中し、休日対応(週3日以上+休日1日以上の体制)が形骸化するリスクがあります。検知方法:対応記録を担当者別・曜日別に集計し、偏りを確認します。
- 変更届出・特異事案報告の起算日の把握漏れ:どちらも「事由が生じた日から14日以内」が義務ですが、事務担当が事由発生日を正確に把握できないと届出が遅延するリスクがあります。検知方法:事由を認識した時点で期限日を記録し、期限が近い案件を一覧で確認する運用が実務上有効です。
- 帳簿への記録の後回し:支援実施管理簿への日々の記録が「後でまとめて入力」になりやすく、実施日と記録日にずれが生じがちです(帳簿の備付け・保存自体は法令上の義務)。検知方法:実施日と記録日の乖離を定期的にチェックします。
2027年4月からの変化|支援責任者等の人数上限と養成講習
2027年4月1日施行予定の改正で、支援責任者・支援担当者の要件が次のとおり厳格化されます(一次資料に基づく予定情報です)。
- 支援責任者・支援担当者は、支援を行う事業所ごとに、それぞれ常勤の役員又は職員の中から1人以上選任する(兼務は可)。現行は支援責任者について常勤であることを問わず、支援担当者についても「常勤であることが望まれる」との位置づけにとどまるため、常勤要件化は実質的な強化です。
- 支援業務に従事できる者を支援責任者等に限定する(現行は限定されていません)。
- 支援責任者に養成講習の受講を義務付ける。
- 登録支援機関が受託できる特定技能所属機関数は支援責任者等1人当たり10機関未満。
- 支援責任者等が支援できる1号特定技能外国人数は支援責任者等1人当たり50人未満。
この改正により、現在は支援責任者1名・非常勤スタッフのみで多くの受入企業・多数の外国人を担当している機関は、常勤の支援責任者等の増員か、受託機関数・支援人数の絞り込みが必要になります。まずは現状の「誰が何機関・何人を担当しているか」を可視化しておくことが、増員判断や養成講習の受講計画を立てるうえでの出発点になります。経営面からの収益構造の見直しは「登録支援機関の経営戦略ガイド」もあわせてご覧ください。
よくある質問
支援責任者と支援担当者は兼任できますか?
兼任は可能です。ただし兼任する場合であっても、支援責任者・支援担当者双方の基準に適合している必要があります。運用要領は「支援責任者が支援担当者を兼任することも可能ですが、その場合であっても双方の基準に適合しなければなりません」と明記しています。
事務担当や営業担当は法令上の役職ですか?
いいえ。支援責任者・支援担当者は特定技能基準省令および運用要領が定義する制度上の役割ですが、事務担当・営業担当という区分は法令上の定義や選任義務があるものではなく、各機関が実務上の都合で分担しているものです。本記事内でも「制度上の役割」と「実務上の分担」を分けて説明しています。
支援担当者は必ず常勤でなければなりませんか?
現行制度では、支援担当者が常勤であることは要件ではなく「常勤であることが望まれる」という位置づけです。支援責任者は現行制度上、常勤であるかどうかを問われません。ただし2027年4月1日施行予定の改正で、支援責任者・支援担当者はいずれも常勤の役員又は職員から選任することが要件化される予定です。
支援担当者は1人で何社・何人まで担当できますか?
現行制度に人数上限の規定はありません。ただし2027年4月1日施行予定の改正で、登録支援機関が委託を受けられる特定技能所属機関の数は支援責任者等1人当たり10機関未満、支援できる1号特定技能外国人の数は支援責任者等1人当たり50人未満という上限が新設される予定です。
支援計画書に関する書類の作成は、登録支援機関が行ってよいですか?
1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施自体は、登録支援機関が委託を受けて行う法定業務です。一方で、在留資格に関する入管への提出書類(申請書等)を報酬を得て作成する業務には行政書士法上の制限があり、2026年1月施行の改正で名目を問わず違反であることが明確化されています。個別案件については行政書士・弁護士等にご確認ください。
公式出典と未確定事項
本記事は、2026年9月4日時点で確認できた以下の一次資料を基に整理しています。
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和8年8月(支援責任者・支援担当者の定義、登録拒否事由、登録有効期間、定期届出・変更届出の期限、2027年4月施行の要件厳格化に関するもの)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領(運用要領別冊1)」令和7年4月1日一部改正版(義務的支援10項目の内容・頻度、生活オリエンテーション8時間、相談苦情対応週3日+休日1日、定期面談3か月に1回に関するもの)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点(令和9年4月1日から施行)」(2027年4月施行の常勤化・人数上限・養成講習義務化に関するもの)
未確定・個別確認が必要なもの
事務担当・営業担当という呼称や役割分担は法令上の定義がなく、本記事で示した業務フロー・時間軸の割り付けは一般的な実務パターンとしての整理です。実際の分担は機関の規模・母体(人材紹介兼業、行政書士事務所、監理団体兼業等)によって大きく異なります。2027年4月施行の常勤化・人数上限・養成講習の具体的な実施スケジュール(講習の実施主体・回数・受講期限等)は、今回確認した資料に詳細な記載がなく未確定です。実際の運用は、出入国在留管理庁の最新公表情報をご確認ください。また、本記事は「登録支援機関が自ら行う支援業務の実務フロー」を扱うものであり、在留資格・入管への提出書類に関する個別の判断が必要な場合は、行政書士など専門家にご相談ください。
この記事の確認情報
公開日:2026-09-05/最終事実確認日:2026-09-04/編集・事実確認:FRM Journal編集部
本記事は一般的な制度情報であり、個別案件の法律・行政手続に関する助言ではありません。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください。
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支援責任者・支援担当者・事務・営業の役割分担や、定期面談・相談対応・届出の期限をどう管理しているかを伺い、確認すべき論点を整理します。その場で導入を決める必要はありません。
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