結論|育成就労の日本語講習は自機関で実施できます。ただし日本語科目は、登録日本語教員の資格を持つ職員が4つの要件を満たして行う必要があります

  • 監理型育成就労の入国後講習は、規則第13条第2項第7号イにより監理支援機関が「自ら又は他の適切な者に委託して」実施すると定められています。運用要領は、監理支援機関が自ら行うべき業務を講習の企画立案、委託できる業務を監理支援機関が企画した講習の講師の業務と整理しています(運用要領5-86〜87頁)。自ら実施することは制度上の原則形の1つです。
  • 日本語科目は認定日本語教育機関の「就労のための課程」が基本形ですが、当分の間の経過措置として登録日本語教員による講習も認められています。要件は講習の目標がA1相当・時間が100時間以上・登録日本語教員1人に対して同時に受講する生徒が20人以下・対面以外はオンラインで同時かつ双方向の4点です(附則規則第3条第1項)。自機関で行うには、この資格を持つ職員が講師を務める必要があります。
  • 原則として、文部科学省の日本語教員試験の合格と実践研修等の要件を満たし、登録を受けて取得します。2026年度の試験日は2026年11月8日(文部科学省公式)。2027年度からの複数回化は報道段階で、2026年9月8日時点で公式発表は確認できていません。現職の日本語教員には試験の一部や実践研修を免除する経過措置があり、平成31年4月1日〜令和11年3月31日の勤務要件と混同しないよう注意が必要です。
  • 本記事は制度の一般的な説明です。個別団体の実施体制の可否判断、日本語教員試験の受験指導、申請書の作成・添削は行いません。

根拠:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」、文部科学省「登録日本語教員の登録等について」(最終確認日:2026-09-08)

育成就労の日本語講習は、外部の教育機関や講師にすべて委託しなければならないわけではありません。監理支援機関が自機関の職員を講師として、自ら実施する道も制度上用意されています。ただし、誰でもすぐに講師になれるわけではなく、日本語科目については資格と要件があります。本記事は、自機関での実施を検討する監理支援機関の担当者と、資格取得を考える職員を対象に、自ら実施できる範囲、日本語科目を自機関で行うための4要件、職員が登録日本語教員になる道、自前で実施する場合の工数と残る事務、委託との組み合わせ方を、出入国在留管理庁・文部科学省の一次資料に沿って整理します。本記事は制度の一般的な説明であり、個別団体の実施体制が要件を満たすかどうかの判断、日本語教員試験の受験指導、申請書の作成・添削は行いません。育成就労全体の日本語要件は「育成就労の日本語要件」、A1相当講習の要件そのものは「入国後A1相当講習100時間の要件」で解説していますので、あわせてご確認ください。

そもそも自機関で実施できるのか

監理型育成就労の入国後講習は、規則第13条第2項第7号イで「監理支援機関が、自ら又は他の適切な者に委託して、座学(見学を含む。)により実施するものであること」と定められています(運用要領4-37頁)。条文の書き方自体が「自ら」を先に置いており、外部委託を経なければならないという規定ではありません。

この線引きをさらに具体的に示しているのが、運用要領の「監理支援事業において業務を委託できる範囲について」という留意事項です。ここでは、監理支援機関が自ら行うべき業務と、委託することが可能な業務が次のように整理されています(運用要領5-86〜87頁)。

  • 監理支援機関が自ら行うべき業務:入国前講習及び入国後講習の企画立案
  • 委託することが可能な業務:監理支援機関が企画した入国前講習及び入国後講習の講師の業務(適切な者が講師となっている場合に限る)

つまり、講習の目標設定・教材選定・時間割の組み立てといった企画立案は、委託の有無にかかわらず常に監理支援機関の業務です。一方、実際に教壇に立つ講師の業務は、委託することも、監理支援機関の職員が自ら担うこともできます。自機関で実施するというのは、この講師の業務を外部委託せず、企画立案とあわせて監理支援機関側が持つという選び方に当たります。

日本語科目を自機関で行うための条件

入国後講習の日本語科目(A1相当講習)は、文部科学大臣の認定を受けた認定日本語教育機関の「就労のための課程」による講習が基本形です(運用要領4-42頁)。認定日本語教育機関になる、あるいはその課程を自機関内に置くことは、監理支援機関にとって選択肢の一つですが、認定を受けるための体制整備が必要です。

そこで運用要領は、当分の間の経過措置として、文部科学大臣の登録を受けた登録日本語教員の資格を持つ者による講習も可としています(附則規則第3条第1項)。この場合、登録日本語教員による講習は、次の4つの要件を満たす必要があります(運用要領4-42〜43頁)。

  • 講習の目標がA1相当であること(分野別運用方針でA1相当を超える水準を定めている育成就労産業分野の場合は、その水準)
  • 講習の時間が100時間以上であること
  • 登録日本語教員1人に対して同時に講習を受講する生徒が20人以下であること
  • 対面以外で実施する場合は、インターネット環境を整えて、オンラインで同時かつ双方向に行われるものであること

つまり、監理支援機関が自機関で日本語科目を行うには、認定日本語教育機関になるのではなく、職員が登録日本語教員の資格を持ち、この4要件を満たして講習を組み立てるという形は、自機関が認定日本語教育機関でない場合に用いることができる経過措置の一つです。運用要領は、この経過措置ルートで実施する場合、「令和7年度育成就労制度における日本語講習モデルカリキュラム開発等事業」により開発される日本語講習モデルカリキュラム(令和8年度中に公表予定)も参照するよう求めています。このモデルカリキュラムは2026年9月8日時点で未公表です。

職員が登録日本語教員になる道

登録日本語教員の資格は、文部科学省が実施する日本語教員試験に合格したうえで、実践研修等の要件を満たし登録するという流れで取得します。令和8年度(2026年度)日本語教員試験の試験日は2026年11月8日(日曜日)、出願期間は2026年7月13日(月)から8月21日(金)までと、文部科学省の公式ページに明記されています。本記事の公開時点(2026年9月8日)では、この回の出願は既に締め切られています。自機関での実施を職員の資格取得から検討する場合、次回以降の試験のスケジュールを文部科学省の公式ページで確認してください。

ここで区別しておきたいのが2つの経過措置です。1つは、育成就労の入国後講習でA1相当講習を登録日本語教員による講習として認める経過措置(附則規則第3条)で、期間は「当分の間」とされています。もう1つは、登録日本語教員の資格取得ルートに関する経過措置で、文部科学省は平成31年4月1日から令和11年3月31日までの間に、告示機関・大学・認定日本語教育機関等で日本語教員として1年以上勤務した現職者等に対して、条件に応じて基礎試験・応用試験・実践研修の一部を免除しています。この2つはどちらも「経過措置」と呼ばれますが、対象も期限の考え方も別の制度です。自機関で講習を行うために職員が資格を取る場合、通常の受験ルート(試験合格+実践研修)に当たるのか、現職者としての経過措置ルートに当たるのかを、文部科学省の該当ページで個別に確認する必要があります。

なお、2027年度から日本語教員試験を年複数回にする方針が報道されていますが、2026年9月8日時点で文部科学省の公式発表としては確認できていません。試験回数を前提に人員計画を立てる場合は、公式発表を待って確認してください。

自機関で実施するときの現実的な工数

入国後講習の総時間数は、育成就労外国人がA1相当の日本語能力の試験に合格していない場合で320時間以上、合格している場合で220時間以上です(入国前講習の受講時間に応じて短縮あり)。このうち日本語科目に必要な時間は、未合格の場合は100時間以上(必須)、合格している場合は個別に必要とする時間数です。自機関で日本語科目を担う場合、この時間を登録日本語教員1人につき20人以下という枠で確保する必要があり、受講者数が多い期には複数の教員またはクラスの分割が必要になります。

日本語科目以外にも、入国後講習は「本邦での生活一般に関する知識」「法的保護科目」「本邦での円滑な技能の修得に資する知識」の3科目が必要です。このうち法的保護科目(8時間以上)は、育成就労実施者及び監理支援機関に所属していない外部講師が担当する必要があります(運用要領4-48頁。具体例として地方公共団体の職員・弁護士・社会保険労務士・行政書士等)。つまり、日本語科目を自機関の職員が担っても、法的保護科目は、育成就労実施者及び監理支援機関に所属しない、専門的な知識を有する者による講義が必要です。この点は、自機関で実施すればすべての科目を内製できるという誤解を避けるために明記しておきます。

自機関で行う場合も残る事務

講師を自機関の職員が務めても、記録・保管の義務は変わりません。監理型育成就労の場合、入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)に日付・時間・科目・講師・実施場所・備考を記載し、育成就労が終了した日から1年間保管する必要があります(規則第70条)。講師の資格の裏付け(登録日本語教員の登録番号等)も、委託の有無にかかわらず整理しておく必要があります。A1相当講習の受講が完了した場合は、受講が完了した旨の資料もあわせて保管します。記録の様式・保管期間の詳細は「日本語講習の記録と証跡」で解説しています。また、育成就労計画認定申請書の第3面には、講習実施者の資格・実施方法を記載する欄があり、自機関の職員が講師を務める場合はその旨と資格の裏付けを記載します。申請書の日本語教育欄の書き方は「育成就労計画認定申請書の日本語教育欄の書き方」にまとめています。

自前と委託の組み合わせ

自機関での実施と外部委託は、どちらか一方を選ぶものではありません。実務では次のような組み合わせが考えられます。

  • 日本語科目の講師業務を外部の登録日本語教員や認定日本語教育機関へ委託し(企画立案は監理支援機関が行う)、他の科目(生活知識・技能修得知識)は自機関の職員が担当する
  • 講師の業務だけを委託し、企画立案(目標設定・時間割)と記録の管理は自機関が持つ
  • まず1つの期だけ自機関で試し、体制が整うまでは他の期を委託にする

どの組み合わせを選んでも、講習の企画立案と実施の責任は監理支援機関に残ります(運用要領5-86〜87頁)。委託先の講師・教育機関の資格の裏付けを集める、実施記録を確認する、といった監理支援機関としての役割は、講師を自前にしても委託にしても変わりません。講師・教育機関の探し方は「日本語講習の講師が見つからないとき」で解説しています。

自機関で実施するかどうかの判断チェック項目

  • 登録日本語教員の資格を持つ職員がいるか、あるいは資格取得を計画できるか
  • 資格取得を計画する場合、次回以降の日本語教員試験のスケジュールを確認したか
  • 登録日本語教員1人につき同時に受講する生徒を20人以下に収められる人数構成か
  • オンラインで実施する場合、同時かつ双方向の環境(音声・映像を伴うシステム)を整えられるか
  • 法的保護科目(8時間以上)を担当する外部講師の当てがあるか
  • 入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)等の記録・保管の様式を用意できるか
  • 講師を務める職員が異動・退職した場合の代替体制があるか
  • 受入企業への実施方法・費用の説明をどう行うか
  • 従事させる育成就労産業分野に、一般則より高い水準の日本語要件(分野別運用方針)がないか
自機関で実施する場合の記録と事務を、整理する

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よくある質問

監理支援機関は日本語講習を自機関の職員だけで実施できますか?

監理型育成就労の入国後講習は、規則第13条第2項第7号イにより監理支援機関が「自ら又は他の適切な者に委託して」実施すると定められています。運用要領5-86〜87頁は、監理支援機関が自ら行うべき業務を入国前講習及び入国後講習の企画立案、委託できる業務を監理支援機関が企画した講習の講師の業務と整理しています。つまり自ら実施すること自体は制度上の原則形の1つで、企画立案の責任は委託の有無にかかわらず常に監理支援機関に残ります。

自機関で日本語科目を行うには、どんな要件が必要ですか?

A1相当講習は認定日本語教育機関の「就労のための課程」が基本形ですが、当分の間の経過措置として登録日本語教員による講習も認められています(附則規則第3条第1項)。要件は、講習の目標がA1相当であること、講習の時間が100時間以上であること、登録日本語教員1人に対して同時に受講する生徒が20人以下であること、対面以外で実施する場合はインターネット環境を整えてオンラインで同時かつ双方向に行われるものであることの4点です。つまり自機関で日本語科目を行うには、この4要件を満たしたうえで、登録日本語教員の資格を持つ職員が講師を務める必要があります。

職員はどうすれば登録日本語教員になれますか?

文部科学省が実施する日本語教員試験に合格し、実践研修等の要件を満たしたうえで登録する流れです。令和8年度(2026年度)試験の試験日は2026年11月8日(日曜日)、出願期間は2026年7月13日から8月21日までと文部科学省公式ページに明記されており、2026年9月8日時点でこの回の出願は既に締め切られています。2027年度から試験を年複数回にする方針は報道されていますが、2026年9月8日時点で文部科学省の公式発表は確認できていません。

現職の日本語教員向けの経過措置と、育成就労の講習の経過措置は同じものですか?

別の制度です。文部科学省は、平成31年4月1日から令和11年3月31日までの間に告示機関・大学・認定日本語教育機関等で日本語教員として1年以上勤務した現職者等に対して、条件に応じて試験の一部や実践研修を免除する経過措置を設けています。これは登録日本語教員の資格取得ルートに関する経過措置です。一方、育成就労の入国後講習でA1相当講習を登録日本語教員による講習として認める経過措置は附則規則第3条に基づくもので、期間は「当分の間」とされ、現職者向け経過措置の期限とは別の枠組みです。両者を混同しないよう注意してください。

自前と委託を組み合わせることはできますか?

できます。日本語科目の講師業務を外部の登録日本語教員や認定日本語教育機関へ委託し(企画立案は監理支援機関が行う)、他の科目は自機関で行う、講師業務だけを委託して企画立案と記録は自機関が持つ、一部の期からまず自機関で試すといった組み合わせが考えられます。法的保護科目は、育成就労実施者及び監理支援機関に所属しない、専門的な知識を有する者による講義が必要です。どの組み合わせを選んでも、講習の企画立案と実施の責任は監理支援機関に残ります。

公式出典と未確定事項

未確定・個別確認が必要なもの

  • 日本語教員試験の年複数回実施(2027年度から)は報道段階で、2026-09-08時点で文部科学省の公式発表は確認できていない
  • 「令和7年度育成就労制度における日本語講習モデルカリキュラム開発等事業」による日本語講習モデルカリキュラム(令和8年度中公表予定)は2026-09-08時点で未公表
  • 認定日本語教育機関の「就労のための課程」に定められたオンライン実施の時間上限が、登録日本語教員による経過措置ルートにも準用されるかどうかは一次資料に明記なし

この記事の確認情報

公開日:2026-09-08/最終事実確認日:2026-09-08/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は制度の一般的な説明であり、個別団体の実施体制が要件を満たすかどうかの判断、日本語教員試験の受験指導、申請書・帳簿の作成・添削は行いません。個別案件については行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください

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FRM Journal 編集部
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