結論|日本語講習の実施記録は帳簿。保管期間は育成就労終了日から1年、様式は単独型・監理型で4種類に分かれます
- 育成就労実施者・監理支援機関は、育成就労に関する帳簿書類を作成し事業所に備えて置く義務があります(法第20条・規則第39条、法第41条・規則第70条)。入国前講習・入国後講習の実施記録もこの帳簿の1つで、保管期間は育成就労が終了した日から起算して1年間です。
- 様式は実施類型で分かれます。単独型は入国前が参考様式第4-4号、入国後が第4-5号(育成就労実施者が作成)、監理型は入国前が第4-6号、入国後が第4-7号(監理支援機関が作成)です。2026年9月8日時点で4様式とも外国人育成就労機構(OTIT)の様式一覧にWordファイルとして公表済みですが、記載例(記入例)はまだ掲載されていません。
- 様式本体には日付・時間・科目(内容)・講師(役職・氏名)・実施場所・備考を記載し、対象者は別紙「育成就労外国人一覧表」にまとめます。実施記録だけでなく、A1相当講習の受講が完了した資料(受講証明書等)とあわせて保管する必要があります。
- 本記事は制度の一般的な説明であり、個別の申請書・帳簿の作成、添削、記載内容の判断は行いません。
根拠:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」、外国人育成就労機構「育成就労制度 様式一覧」(最終確認日:2026-09-08)
育成就労の日本語講習(入国前講習・入国後講習)は、実施しただけでは終わりません。何を、いつ、誰が講師となって行ったかを記録し、育成就労が終了した日から1年間、帳簿として備え付けておく義務があります。この記録は、育成就労計画認定申請書に書いた実施予定表との突合、機構による実地検査、監査での提示対象になります。本記事は、監理団体(監理支援機関)・単独型育成就労実施者の講習・監査担当者を対象に、入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)を中心に、様式の使い分け、記録すべき列構成、実施記録だけでは足りないもの、オンライン実施時の記録の考え方、予定と実績がずれたときの届出を、出入国在留管理庁・外国人育成就労機構の一次資料に沿って整理します。本記事は制度の一般的な説明であり、個別の申請書・帳簿の作成、添削、記載内容の判断、認定可否の判断は行いません。A1相当講習の要件そのものは「育成就労 入国後A1相当講習100時間の要件」で解説していますので、あわせてご確認ください。
何のために残すか
育成就労実施者は、育成就労に関して主務省令で定める帳簿書類を作成し、事業所に備えて置かなければなりません(法第20条第1項)。この帳簿書類の中身を定めるのが規則第39条で、単独型育成就労実施者については「入国前講習及び入国後講習の実施状況を記録した書類」(規則第39条第1項第4号)が含まれます。監理型育成就労の場合は、監理支援機関が監理支援事業に関して帳簿書類を作成する義務を負い(法第41条)、その中身を定める規則第70条第1項第6号にも同じく「入国前講習及び入国後講習の実施状況を記録した書類」が挙がっています。
保管期間は、単独型・監理型のいずれも育成就労が終了した日から起算して1年間です(規則第39条第3項、規則第70条第2項)。運用要領は、この帳簿の用途として、機構が行う実地検査や主務大臣が行う立入検査の際に提示を求められることを明記しています(運用要領4-274頁)。加えて、育成就労計画認定申請書の第3面には「入国前・入国後講習実施(予定)表」を記載しますが、実施記録はこの予定表に対する実績の裏付けとしての役割も持ちます。申請書の日本語教育欄の書き方は「育成就労計画認定申請書の日本語教育欄の書き方」で解説しています。
誰がどの様式を作るか
入国前講習・入国後講習の実施記録は、実施類型(単独型・監理型)で様式番号と作成者が分かれます。
| 実施類型 | 入国前講習実施記録 | 入国後講習実施記録 | 作成者・記載する氏名等 |
|---|---|---|---|
| 単独型育成就労 | 参考様式第4-4号 | 参考様式第4-5号 | 育成就労実施者が作成。育成就労実施者の氏名又は名称・育成就労責任者の氏名を記載 |
| 監理型育成就労 | 参考様式第4-6号 | 参考様式第4-7号 | 監理支援機関が作成。監理支援機関の名称・監理支援責任者の氏名を記載 |
根拠は、単独型が規則第39条第1項第4号、監理型が規則第70条第1項第6号です。2026年9月8日時点で、4様式(第4-4号・第4-5号・第4-6号・第4-7号)はいずれも外国人育成就労機構(OTIT)の様式一覧ページにWordファイルとして公表されています。ただし、様式一覧ページ・関連ページのいずれにも「記載例」「記入例」に当たる記述は見当たらず、記載例(記入例)はまだ掲載されていません。他の帳簿様式(育成就労外国人の管理簿=参考様式第4-1号、育成就労計画の履行状況に係る管理簿=第4-2号、育成就労日誌=第4-3号)とあわせて、帳簿書類の全体像は運用要領4-273〜274頁(育成就労実施者)、5-121〜124頁(監理支援機関)に一覧表があります。
実施記録の中身
入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)の様式本体は、冒頭に「実施期間 年 月 日から 年 月 日まで」という記載欄があり、対象者は「別紙『育成就労外国人一覧表』のとおり」として別紙にまとめます。本体の表は、1回の実施ごとに次の6項目を記載する構成です。
- 日付
- 時間(開始〜終了)
- 科目(内容)
- 講師(役職・氏名)
- 実施場所
- 備考
別紙「育成就労外国人一覧表」は、番号・育成就労外国人氏名・入国日・備考の4項目で、講習を受けた育成就労外国人を一覧にする様式です。この列構成は、単独型(第4-4号・第4-5号)、監理型(第4-6号・第4-7号)のいずれも共通です。
様式には注意書きが2点あります。1点目は様式本体に付されたもので、「育成就労外国人ごとに入国後講習の開始日、内容等が異なる場合は分けて作成すること」です。育成就労外国人が入国時期や講習の進み方によって別の集団になっている場合、1枚の記録にまとめず分けて作成する必要があります。2点目は別紙に付されたもので、「育成就労計画の履行状況に係る管理簿及び育成就労日誌と併せて保存すること」です。実施記録は単独で完結する書類ではなく、参考様式第4-2号(育成就労計画の履行状況に係る管理簿)・第4-3号(育成就労日誌)とセットで保存することが前提になっています。
実施記録だけでは足りないもの
運用要領は、A1相当講習の受講が完了した場合、当該講習の受講が完了した旨の資料(認定日本語教育機関からの受講証明書等)を、入国前講習実施記録・入国後講習実施記録とともに、育成就労実施者又は監理支援機関において保管するよう求めています(運用要領4-43頁)。実施記録の表に「実施した」と書くだけでなく、受講が完了したことを示す資料そのものをあわせて残す必要があるということです。
もう1つ、実施記録には表れにくいのが講師の資格の裏付けです。A1相当講習は、認定日本語教育機関の「就労のための課程」が基本形で、当分の間の経過措置として登録日本語教員による講習も認められています。育成就労計画認定申請書の第3面には、講習実施者の資格・免許、専門知識の経歴を記載する欄があり、登録日本語教員の登録番号や、認定日本語教育機関である旨といった裏付けを、委託前・委託後を通じて講師・教育機関から集めておく必要があります。認定校ルートと登録日本語教員ルートの要件の違いは「育成就労 入国後A1相当講習100時間の要件」に、講師・教育機関の探し方は「日本語講習の講師が見つからないとき」にまとめています。
オンライン講習の記録の取り方
入国後講習は座学(見学を含む)で行う必要がありますが、運用要領は、講師と育成就労外国人が音声と映像を伴うシステムを用いて同時に双方向で意思疎通する方法であれば、オンラインでの実施も認めています。そのうえで「このような方法で入国後講習を行う場合であっても、実施方法や実施した事実が客観的に確認できるよう、適切に記録を行うことが必要」としています(運用要領4-64頁)。
ここで一次資料の範囲では確定できない点があります。実施場所欄に使用した会議システム名をどう書くか、出席をどう確認したと記録するか、通信不良が起きた場合にどう扱うかといった、オンライン実施時の具体的な記録手順は、運用要領・様式のいずれにも明記がありません。実務上は、実施記録の実施場所欄・備考欄を使って、使用したシステムと出席確認の方法を書き添えておくといった対応が考えられますが、これは一般的な備えであり、機構が定めた手順ではないため断定は避けます。
あわせて注意したいのが、録画教材やeラーニングの視聴です。A1相当講習を登録日本語教員による経過措置ルートで実施する場合、要件の1つに「対面以外で実施する場合は、インターネット環境を整えて、オンラインで同時かつ双方向に行われるものであること」があります(規則附則第3条第1項)。録画したものを視聴させるだけの方法は、この「同時かつ双方向」に当たりません。録画視聴や非同期のeラーニングの時間は、同時かつ双方向という要件を満たす講習時間として計上できません。補助的な学習の履歴とは分けて管理します。
公表資料に基づく制度要件と準備論点の一般的な整理(記入見本(一般例)、講習実施計画の整理シート、証跡のチェックリスト)を1冊にまとめた無料資料をご用意しています。公表資料の一般的な読み方や制度要件、社内で集めておく情報の整理を30分でご希望の方は、日本語講習の相談もご利用ください。個別案件への当てはめ、書類の作成・添削は行いません。
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申請書の予定と実績がずれたとき
育成就労計画認定申請書の第3面に書いた実施予定と、実際の実施内容がずれることは起こり得ます。育成就労計画に記載した事項を変更する場合、変更の程度に応じて「変更認定申請」「軽微な変更の届出」「届出・申請とも不要な細かな変更」のいずれかに当たります。規則第33条は、育成就労の目標の変更、育成就労の期間の延長、これら以外で認定育成就労計画に従った育成就労の実施に実質的な影響を与える変更、の3つを除いた変更を「軽微な変更」と定めています。
軽微な変更に当たる場合は、変更に係る事由が発生した日から1か月以内に、育成就労計画軽微変更届出書(別記様式第7号)を機構の地方事務所・支所の認定課に提出しなければなりません。運用要領には、変更事項ごとに変更認定申請と届出のどちらが必要かを整理した表(表1)が置かれており、講習の実施方法や時間数に関する変更が軽微な変更の届出で足りるかどうかも、この表で変更事項ごとに確認する必要があります。一律に「届出をすれば足りる」とは限らないため、断定は避けます。一方、育成就労の目標そのものを変更する場合は、届出ではなく変更認定申請(省令様式第8号)が必要です。
記録が分散すると何が起きるか
実務では、出席の記録は紙や表計算ソフト、時間数の集計は担当者ごとの手元メモ、講師の資格を示す資料は別のファイルやメールの添付、といった形でばらばらに残っていることが少なくありません。この状態から、申請書第3面の実施予定表、入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)、機構への提示資料、受入企業への説明資料へと転記していく過程で、転記漏れや数値の不一致がないかを確認する工程が積み重なります。
一度入力した実施記録(日付・時間・科目・講師・実施場所)を、様式の表や別紙、申請書の予定表へそのまま転記できる形にしておくと、この確認にかかる手間を減らせます。これは特定の製品や仕組みを前提とした話ではなく、記録の持ち方を一元化しておくという一般的な考え方です。
実施記録の証跡チェックリスト
- 実施類型(単独型・監理型)に合った様式(第4-4号〜第4-7号)を選んでいるか
- 様式本体の冒頭に実施期間を記載しているか
- 別紙「育成就労外国人一覧表」を作成し、対象の育成就労外国人を一覧にしているか
- 講習を委託する講師・教育機関の資格(登録日本語教員の登録番号、認定日本語教育機関である旨等)の裏付けを保管しているか
- A1相当講習の受講が完了した旨の資料(受講証明書等)を実施記録とあわせて保管しているか
- オンライン実施分について、実施方法・実施した事実が確認できる記録(使用システム、出席確認の方法等)を残しているか
- 保管期間(育成就労終了日から1年間)が経過するまで、事業所に備え付けているか
- 育成就労計画の履行状況に係る管理簿(第4-2号)・育成就労日誌(第4-3号)と併せて保存しているか
技能実習の記録様式との違い
監理団体・監理支援機関は、技能実習と育成就労の双方を並行して扱う移行期にあります。ここで扱っている入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)は育成就労の様式で、技能実習の記録様式とは番号も名称も異なります。技能実習制度の日誌(参考様式第4-2号)は「技能実習日誌(参考様式第4-2号)を監理団体はどうチェックする?」で、技能実習生への月1回の訪問指導を記録する訪問指導記録書(参考様式第4-10号)は「訪問指導記録書(参考様式第4-10号)の書き方と記入例」でそれぞれ解説しています。同じ「実施記録」「日誌」という呼び方でも制度が違えば様式番号が異なりますので、技能実習と育成就労の様式を取り違えないよう、様式名と根拠条文をあわせて確認してください。
よくある質問
入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)は何のために作りますか?
法第41条・規則第70条に基づき監理支援機関が備え付けるべき帳簿の1つで、監理型育成就労の入国後講習の実施状況を記録するものです。単独型の場合は法第20条・規則第39条に基づき育成就労実施者が参考様式第4-5号で記録します。保管期間はいずれも育成就労が終了した日から起算して1年間です。
単独型と監理型で様式は違いますか?
はい。入国前講習実施記録は単独型が参考様式第4-4号、監理型が参考様式第4-6号です。入国後講習実施記録は単独型が参考様式第4-5号、監理型が参考様式第4-7号です。4-5号には育成就労実施者の氏名又は名称と育成就労責任者の氏名を、4-7号には監理支援機関の名称と監理支援責任者の氏名を記載します。2026年9月8日時点で4様式ともOTIT(外国人育成就労機構)の様式一覧にWordファイルとして公表されていますが、記載例(記入例)は掲載されていません。
実施記録に何を書きますか?別紙は何ですか?
様式本体には日付・時間・科目(内容)・講師(役職・氏名)・実施場所・備考を1回の実施ごとに記載し、冒頭に実施期間を記載します。対象者は別紙「育成就労外国人一覧表」(番号・育成就労外国人氏名・入国日・備考)にまとめます。様式の注意書きには「育成就労外国人ごとに入国後講習の開始日、内容等が異なる場合は分けて作成すること」「(別紙は)育成就労計画の履行状況に係る管理簿及び育成就労日誌と併せて保存すること」とあります。
オンラインで実施した講習はどう記録しますか?
運用要領は、講師と育成就労外国人が音声と映像を伴うシステムで同時に双方向に意思疎通する方法であればオンライン実施を認めており、その場合も実施方法や実施した事実が客観的に確認できるよう適切に記録することを求めています(運用要領4-64頁)。ただし、実施場所欄への媒体名の書き方や通信不良時の扱いなど具体的な記録手順は一次資料に明記がありません。録画やeラーニングの視聴は同時かつ双方向に当たらないため、講習時間として計上できません。補助的な学習の履歴とは分けて管理してください。
実施予定と実際の実施内容がずれた場合はどうしますか?
規則第33条により、育成就労の目標の変更・期間の延長・実質的影響を与える変更以外は「軽微な変更」に当たり得ます。軽微な変更に当たる場合は、事由発生から1か月以内に育成就労計画軽微変更届出書(別記様式第7号)を機構へ届け出ます。ただし変更対象ごとに届出が必要かどうかは運用要領の表で個別に確認する必要があり、一律に届出で足りるとは限りません。育成就労の目標そのものを変更する場合は変更認定申請が必要です。
公式出典と未確定事項
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」(法第20条・規則第39条、法第41条・規則第70条、規則第33条・第34条、4-40〜46頁、4-64頁、4-228〜232頁、4-273〜274頁、5-121〜124頁)
- 外国人育成就労機構(OTIT)「育成就労制度 様式一覧」(参考様式第4-4号・第4-5号・第4-6号・第4-7号)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
未確定・個別確認が必要なもの
- 参考様式第4-4号・4-5号・4-6号・4-7号の記載例(記入例)は2026-09-08時点で未掲載
- オンライン実施時の具体的な記録手順(実施場所欄の書き方、通信不良時の扱い等)は一次資料に明記なし
- 講習の実施方法・時間数の変更が軽微な変更の届出対象になるかどうかは変更事項ごとに運用要領の表で確認が必要で、一律の基準ではない
この記事の確認情報
公開日:2026-09-08/最終事実確認日:2026-09-08/編集・事実確認:FRM Journal編集部
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