結論|入国前講習は、過去6か月以内・本邦外・座学で実施したものを入国後講習の時間数に算入できます。外国の公的機関又は教育機関が実施する場合に限り、監理支援機関(単独型は育成就労実施者)が「入国後講習に相当する」と個別に認めたものであることが必要です
- 入国後講習の時間数は、申請時点のA1相当試験の合否と、入国前講習の受講状況で4通りに分かれます。未合格・入国前講習なしは320時間以上、未合格でも入国前に160時間以上受講していれば160時間以上、合格・入国前講習なしは220時間以上、合格かつ入国前に110時間以上受講していれば110時間以上です(規則第13条第2項第7号ハ・ニ、運用要領4-40〜41頁)。いずれも、1日の実施時間が8時間を超える日は8時間として計算します(規則第13条第2項第7号ハ)。
- 算入できる入国前講習は、過去6か月以内に、本邦外において、座学で行われる、日本語・本邦での生活一般に関する知識・本邦での円滑な技能の修得に資する知識(法的保護科目を除く3科目)の講習です(規則第13条第2項第7号ハ)。
- 実施主体は、単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関、またはこれらの者が委託した他の適切な者、あるいは外国の公的機関若しくは教育機関ですが、後者が実施する場合は、単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が、その内容を「入国後講習に相当する」と個別に認めたものに限り算入できます(同号ハ⑵)。
- 入国後講習の期間の途中でA1相当試験に合格しても、入国後講習の時間数を220時間へ短縮することは認められません(運用要領4-41頁)。合否は認定申請時点で確認されます。
根拠:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」、外国人育成就労機構 参考様式第4-6号(入国前講習実施記録)、育成就労計画認定申請書(別記様式第1号)(最終確認日:2026-09-08)
育成就労外国人の入国前講習は、本邦外で受講しておくことで、入国後講習の時間数を320時間から160時間、220時間から110時間へ短縮できる仕組みです。ただし、算入が認められるのは条件を満たした講習に限られ、誰が実施し、誰が「入国後講習に相当する」と認めるかという手続きを誤ると、入国後講習の必要時間数を満たせないまま就労を開始させてしまうおそれがあります。本記事は、監理団体(監理支援機関)の担当者を対象に、入国前講習が入国後講習に算入される条件、「相当すると認める」主体と確認材料、記録の残し方、申請書への記載方法を、出入国在留管理庁の一次資料に沿って整理します。本記事は制度の一般的な整理であり、個別の講習計画が要件を満たすかどうかの判断は行いません。日本語要件全体の3段階(入国前・入国後・就労開始後3年間)は「育成就労の日本語要件」で、入国後講習で行うA1相当講習(100時間)そのものの要件は「育成就労 入国後A1相当講習100時間の要件」で解説していますので、あわせてご確認ください。
入国前講習で何が短縮できるか
育成就労外国人が就労開始前までにA1相当の日本語能力を身につけたことを証明できない場合、入国後講習は原則320時間以上行う必要があります。ただし、入国前講習を受講していれば、次の表のとおり時間数が短縮されます(規則第13条第2項第7号ハ・ニ、運用要領4-40〜41頁)。
この総時間数は、規則第13条第2項第7号ハの原文で「その総時間数(実施時間が八時間を超える日については、八時間として計算する。以下このハ及びニにおいて同じ。)」と定められており、320時間・220時間・160時間・110時間のいずれも、1日の実施時間が8時間を超えた分は算入されません(運用要領4-40頁)。
| 申請時点のA1合否 | 入国前6か月以内の入国前講習 | 入国後講習の時間数 |
|---|---|---|
| 未合格 | なし | 320時間以上 |
| 未合格 | 160時間以上受講 | 160時間以上 |
| 合格 | なし | 220時間以上 |
| 合格 | 110時間以上受講 | 110時間以上 |
ここでいう「入国前講習」は、A1相当講習(日本語100時間、次のセクションで扱います)だけを指すものではありません。日本語・本邦での生活一般に関する知識・本邦での円滑な技能の修得に資する知識の3科目(法的保護科目を除く)を合わせた時間数です。なお、A1相当講習は入国前講習において行うことも認められています(運用要領4-42頁)。日本語科目単体の要件は「育成就労 入国後A1相当講習100時間の要件」をご覧ください。
注意が必要なのは、入国後講習の期間の途中でA1相当の日本語能力の試験に合格しても、入国後講習の時間数を220時間とすることは認められないという点です(運用要領4-41頁)。A1相当の合否は、育成就労計画の認定申請時点で確認されるものであり、認定後・入国後に合格した場合は、入国後講習の日本語科目(A1相当講習)の受講が不要になるだけで、全体の時間数区分(320時間または220時間)自体は変わりません。
入国後講習に算入できる入国前講習の条件
入国前講習として入国後講習に算入できるのは、次の条件をすべて満たす講習です(規則第13条第2項第7号ハ)。
- 過去6か月以内に受講したものであること(過去6か月より前に受けた講習は算入されません)
- 本邦外で行われたものであること
- 座学により実施されるものであること
- 科目が、日本語・本邦での生活一般に関する知識・本邦での円滑な技能の修得に資する知識(規則第13条第2項第7号ロ⑴・⑵・⑷)のいずれかであること。法的保護科目(同号ロ⑶)は入国前講習の対象科目に含まれません
- 1日の実施時間が8時間を超える日は、超えた時間分を算入しません(規則第13条第2項第7号ハ「実施時間が八時間を超える日については、八時間として計算する」)
実施主体について、規則の条文(第13条第2項第7号ハ)は次のように定めています。
「⑴ 単独型育成就労に係るものである場合にあっては申請者が、監理型育成就労に係るものである場合にあっては監理支援機関が、自ら又は他の適切な者に委託して実施するもの
⑵ 外国の公的機関又は教育機関が行うものであって、単独型育成就労に係るものである場合にあっては申請者において、監理型育成就労に係るものである場合にあっては監理支援機関において、その内容が入国後講習に相当すると認めたもの」(規則第13条第2項第7号ハ)
つまり、実施主体は大きく2通りです。1つは、育成就労実施者(単独型)または監理支援機関(監理型)が、自ら、または委託先を通じて実施する講習です。もう1つは、外国の公的機関や教育機関が実施する講習で、この場合に限り、次のセクションで解説する「相当すると認める」手続きが必要になります。委託先となる教育機関や登録日本語教員の探し方は「日本語講習の講師が見つからないとき」をご覧ください。
「入国後講習に相当する」と認めるのは誰か
外国の公的機関や教育機関が実施する入国前講習を算入するには、その内容が「入国後講習に相当する」と単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が個別に認める必要があります(規則第13条第2項第7号ハ⑵)。これは、第三者機関による事前認定の制度ではありません。日本側の受入れ実施者が、自らの入国後講習の内容と照らして個別に判断する仕組みです。
混同しやすい点として、監理型育成就労では、送出機関としての適格性を送出国政府が審査・認定する仕組みが別に存在します。しかしこれは、送出機関(あっせん事業者)としての適格性の話であり、「入国前講習の内容が入国後講習として認められるか」の判定とは別問題です。送出機関の適格性が認められていることは、その送出機関が実施する入国前講習の内容を自動的に「相当する」と認めたことにはなりません。
一次資料の範囲では、「相当すると認める」際にどのような基準で判断するかという明文の定めは確認できませんでした。実務上は、少なくとも次の材料を確認し、記録に残しておくことが考えられます。
- 実施される科目と内容(日本語・生活一般知識・技能修得知識のいずれに対応するか)
- 時間数(過去6か月以内の実施分が160時間または110時間の基準を満たすか)
- 実施期間(過去6か月以内であること)
- 講師・実施機関の情報
- 出席・履修の記録
入国前講習を外国の公的機関または教育機関が実施した場合、確認対象の書類として、その機関が作成した「育成就労外国人が所定の科目を履修したことを証する文書」を保管する必要があります(運用要領4-45頁)。この文書が、「相当すると認める」判断の主な材料になると考えられます。
記録の残し方
入国前講習の実施状況は、入国前講習実施記録として記録し、保管する必要があります。様式は、監理型育成就労では参考様式第4-6号、単独型育成就労では参考様式第4-4号です。いずれも別紙「育成就労外国人一覧表」を含みます。
参考様式第4-6号(入国前講習実施記録)の記載欄は、日付・時間・科目(内容)・講師(役職・氏名)・実施場所・備考の6項目です。様式の注意書きには「育成就労外国人ごとに入国前講習の開始日、内容等が異なる場合は分けて作成すること」とあります。別紙の育成就労外国人一覧表には、番号・育成就労外国人氏名・入国日・備考を記載します。
この記録の保管は、帳簿書類の備付け義務の一部でもあります。単独型育成就労実施者は、規則第39条に基づき、入国前講習及び入国後講習の実施状況を記録した書類(参考様式第4-4号・第4-5号)を事業所に備えて置く必要があります(運用要領4-273頁)。監理型では、監理支援機関が規則第70条に基づき、入国前講習実施記録(参考様式第4-6号)・入国後講習実施記録(参考様式第4-7号)を含む帳簿書類を、監理支援事業を行う事業所に備えて置く必要があります(運用要領5-120頁・5-124頁)。保管期間は、いずれも育成就労の終了日から起算して1年間です。
外国の公的機関または教育機関が実施した入国前講習については、その機関が作成した「育成就労外国人が所定の科目を履修したことを証する文書」もあわせて保管します(運用要領4-45頁)。A1相当講習を入国前講習として実施した場合は、受講が完了した旨の資料(受講証明書等)も、入国前講習実施記録とともに保管してください(運用要領4-43頁)。
申請書にどう書くか
入国前講習を実施した場合、育成就労計画認定申請書(別記様式第1号)の第2面「5 育成就労の内容」の②入国前講習の有無で「有」を選び、第3面「入国前・入国後講習実施(予定)表」に詳細を記載します。第3面は、入国前講習を行った事実について「有」に該当する場合は1及び2を、「無」の場合は2のみを記載する構成です。
「1 入国前講習の実施(予定)状況」の記載欄は、科目(内容)・実施機関の氏名又は名称及び所在地・外部委託の有無・実施場所(媒体・施設名・所在地等)・実施期間・実施時間数の各項目です。様式の注意書きには次の2点があります。
「外国の公的機関若しくは教育機関又は外国の公私の機関が講習を実施した場合、以下のうち該当する機関に丸印を付すこと。」(該当なし・公的機関・教育機関・外国の公私の機関)
「実施機関が認定日本語教育機関又は登録日本語教員である場合、『実施機関の氏名又は名称及び所在地』の欄にその旨を、『実施時間数』の欄に当該講習の目標(水準)をそれぞれ記載すること。」
入国後講習の実施(予定)状況は、別欄の「2 入国後講習の実施予定状況」に記載します。申請書全体の日本語教育欄の読み方、第2面・第4面との関係、記入時に迷いやすい点は「育成就労計画認定申請書の日本語教育欄の書き方」で詳しく解説していますので、実際に記入する際はあわせてご確認ください。
入国前講習をオンラインで行う場合
入国前講習は「本邦外において」「座学により」実施される講習です。座学の実施方法として、対面のほか、オンラインでの実施を想定する団体もあると考えられます。ここで、A1相当講習(日本語100時間)を経過措置ルート(登録日本語教員による講習)として実施する場合は、教員1人に対して同時に受講する生徒が20人以下であること、対面以外で実施する場合はインターネット環境を整えてオンラインで同時かつ双方向に行われるものであることが要件です(規則附則第3条第1項)。
一方で、入国前講習そのものをオンラインでどこまで実施できるかについては、一次資料の範囲では明文の定めを確認できていません。認定日本語教育機関の「就労のための課程」には、同時双方向の遠隔授業を総授業時数の4分の3までとする上限がありますが(認定基準第25条第2項・第3項)、これは認定日本語教育機関の課程に対する遠隔授業の上限であり、入国前講習全体への適用関係は一次資料で確認できていません。同様に、育成就労法(2027-04-01施行)の施行日より前に受けた授業を、施行後の入国前講習の時間数として算入できるかについても、一次資料に明記はありません。
実施を検討する際は、断定せず、委託予定の教育機関・登録日本語教員、または外国人育成就労機構に個別に確認することをおすすめします。
入国前講習を活用する実務上の意味
入国前講習を活用して入国後講習を160時間または110時間に短縮できれば、入国後、就労を開始するまでの期間を短くできます。特に、A1相当の試験にすでに合格している人材であれば、入国前講習110時間以上の受講とあわせて、入国後講習を110時間に抑えられる可能性があります。来日前にA1相当に合格させる方針そのものの検討は「来日前にA1相当の試験に合格させるルート」で解説しています。
また、入国前講習を送出国側で計画的に組み込んでおけば、本邦入国後の講習は、入国前の学習内容を前提として設計できます。入国時期が異なる複数の育成就労外国人が生じる場合でも、本国での講習をあらかじめ標準化しておくことで、入国後の講習編成がしやすくなるという実務上の利点があります。
なお、監理型育成就労における送出機関との金銭のやり取りには、監理支援費の負担禁止に関する規定など、別途の制度上の論点があります。本記事では、入国前講習の算入条件そのものに絞って解説しており、費用の設計には踏み込みません。
入国前講習の算入条件、実施機関の選び方、記録の残し方(記入見本(一般例)、講習実施計画の整理シート、証跡のチェックリスト)を1冊にまとめた無料資料をご用意しています。入国前からの講習設計を30分で整理したい方は、日本語講習の相談もご利用ください。
育成就労アップデート便に登録する
二国間取決めの締結状況、日本語講習の提供機関、登録日本語教員数、様式の公表などの時点情報を、一次資料の日付付きで月1回お届けします。
よくある質問
入国前講習をどれだけ受ければ、入国後講習が短縮されますか?
A1相当の試験に未合格の場合、入国後講習は原則320時間以上ですが、入国前過去6か月以内に160時間以上の入国前講習を受講していれば160時間以上に短縮されます。A1相当の試験に合格している場合は、原則220時間以上のところ、入国前過去6か月以内に110時間以上の入国前講習を受講していれば110時間以上に短縮されます(規則第13条第2項第7号ハ・ニ、運用要領4-40〜41頁)。いずれの時間数も、1日の実施時間が8時間を超える日は8時間として計算するため、8時間を超えた分は算入されません(規則第13条第2項第7号ハ、運用要領4-40頁)。
入国前講習は誰が実施すれば、入国後講習への算入が認められますか?
単独型育成就労実施者または監理支援機関が自ら、あるいは委託した他の適切な者が実施する講習のほか、外国の公的機関又は教育機関が実施する講習も対象になります。ただし後者は、単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が、その内容を「入国後講習に相当する」と個別に認めたものに限られます(規則第13条第2項第7号ハ)。
入国前講習の内容が入国後講習に相当するとは、誰がどうやって認めるのですか?
単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が個別に認めます。第三者機関による事前認定の制度ではありません。送出機関としての適格性を送出国政府が審査する仕組みとは別問題です。判断基準の明文の定めは一次資料に確認できませんが、外国の公的機関又は教育機関が作成した「育成就労外国人が所定の科目を履修したことを証する文書」を確認材料として保管する必要があります(運用要領4-45頁)。
入国前講習の記録はどの様式に残せばよいですか?
監理型育成就労では入国前講習実施記録(参考様式第4-6号)、単独型育成就労では同(参考様式第4-4号)です。日付・時間・科目(内容)・講師(役職・氏名)・実施場所・備考を記載し、別紙「育成就労外国人一覧表」を添付します。保管は帳簿書類の備付け義務(規則第39条・規則第70条)の一部で、育成就労の終了日から1年間保管します。
入国後講習の途中でA1相当試験に合格したら、320時間を220時間に短縮できますか?
できません。A1相当の日本語能力の試験の合否は育成就労計画の認定申請時点で確認されるものであり、入国後講習期間の途中で合格しても、入国後講習の時間数を220時間とすることは認められません(運用要領4-41頁)。この場合、日本語科目(A1相当講習)の受講が不要になるだけで、時間数の区分自体は変わりません。
公式出典と未確定事項
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」(規則第13条第2項第7号、規則附則第3条、規則第39条、規則第70条、4-37〜46頁、4-273〜274頁、5-86〜87頁、5-120頁・5-124頁)
- 外国人育成就労機構「様式一覧」(参考様式第4-4号・第4-5号・第4-6号・第4-7号)
- 育成就労計画認定申請書(別記様式第1号)第2面・第3面
未確定・個別確認が必要なもの
- 「入国後講習に相当する」と認める際の具体的な判断基準は一次資料に明記なし
- 入国前講習をどこまでオンラインで実施できるかは一次資料に明記なし
- 育成就労法の施行日(2027-04-01)より前に受けた授業を、入国前講習の時間数として算入できるかは一次資料に明記なし
- 参考様式第4-4号・第4-6号(入国前講習実施記録)の記載例(記入例)は2026-09-08時点で確認できていない
この記事の確認情報
公開日:2026-09-08/最終事実確認日:2026-09-08/編集・事実確認:FRM Journal編集部
本記事は制度の一般的な説明であり、報酬を得て業として官公署に提出する書類を作成すること等には行政書士法その他の法令による制限があります。当編集部(当社)は個別の申請書の作成・添削・記載内容の判断を行いません。個別案件については行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください。
入国前からの講習設計について相談する
公表資料に基づく制度要件と準備論点の一般的な整理(入国前講習の算入条件、実施機関の選び方、記録の残し方の当て)を30分で行います。その場で導入を決める必要はありません。
オンライン/無理な営業はしません/個別の申請書の作成・添削・記載内容の決定・認定可否の判断は行いません。必要な場合は行政書士等をご案内します
無料資料・個別相談などのご案内を開く
日本語講習 計画・証跡キット(無料PDF)
育成就労計画認定申請書 第3面「入国前・入国後講習実施(予定)表」の記入見本(一般例)、講習実施計画 整理シート、証跡チェックリスト、受入企業向けA2講習説明1枚をまとめたPDFです。出入国在留管理庁・外国人育成就労機構の公表情報に基づき作成。フォーム送信後、すぐにダウンロードできます。営業電話は一切しません。