結論|準備は「申請を早く出す」「設備と材料を協会に確認する」「受験日を勤務に組み込む」の3点。手数料は協会の定めで、全国一律ではありません

  • 技能実習の基礎級は、第1号技能実習の修了までに受けさせる技能検定です(実技試験と学科試験)。申込みは、監理団体(企業単独型は実習実施者)が外国人技能実習機構の受検手続支援サイトで、技能実習計画の認定後すぐ、遅くとも修了の6か月前までに行います。
  • 実技試験で使う設備・機器が実施要領の基準に合う会場の確保は、試験実施機関(都道府県職業能力開発協会等)から監理団体または実習実施者への協力依頼事項です。職種や都道府県で準備物が違うため、実習開始前に協会へ確認します。
  • 受検手数料は協会の定めで、学科・実技の合計です。静岡県協会の令和8年度案内では実技18,200円・学科3,100円(非課税)ですが、全国統一額は確認できていません。支払い後の返還はできません。
  • 過去問は、中央職業能力開発協会の「技能検定試験問題公開サイト」で閲覧できます。本記事は、受験させる側の段取り(申請・準備・練習計画・受験日・費用)に絞ります。

根拠:厚生労働省「技能実習生等向け技能検定の概要」、外国人技能実習機構「受検手続支援サイト(監理団体トップページ)」ほか(最終確認日:2026-10-01)

「基礎級の実技は何を揃えればよいのか」「いつまでに誰が申し込むのか」「手数料は誰が払うのか」。受験させる側の担当者から最も多く出るのは、試験の中身より先に、この段取りの疑問です。本記事は、監理団体(監理支援機関)の担当者と受入企業の人事・現場責任者に向けて、技能実習の基礎級を受けさせるまでの準備を、公表されている一次資料の範囲で整理します。基礎級に不合格だった場合の扱いは技能実習生が技能検定に不合格になったらに分けています。

なお、協会の資料は「受検」、育成就労の運用要領は「受験」と書き分けています。本記事は、技能検定は「受検」、育成就労の試験は「受験」と表記します。

基礎級とは何か|等級・対象者・試験の中身

技能実習生向けの技能検定には、基礎級・随時3級・随時2級の3つの区分があります。基礎級は「基本的な業務を遂行するために必要な基礎的な技能及びこれに関する知識の程度」とされ、対象者は技能実習生であることです(都道府県職業能力開発協会が実施する職種の場合)。試験は検定職種ごとに実技試験と学科試験で行われます(厚生労働省「技能実習生等向け技能検定の概要」)。

区分試験の程度受けさせる時期の目安
基礎級基本的な業務を遂行するために必要な基礎的な技能・知識第1号技能実習の修了まで(学科と実技)
随時3級初級の技能労働者が通常有すべき技能・知識第2号技能実習の修了まで(実技)
随時2級中級の技能労働者が通常有すべき技能・知識第3号技能実習の修了まで(実技)

試験を実施するのは、都道府県職業能力開発協会です。林業・機械保全・ビルクリーニングの3職種は指定試験機関が実施します。試験の日程は、協会等と受入企業等の間で調整したうえで決まります。受検を希望する職種が希望地の都道府県で実施されていない場合は、その都道府県の協会に相談することになります(厚生労働省・同ページ)。

申請から受検までの流れと時期

「いつ誰が何をするか」を、受検手続支援サイトの案内と厚生労働省のリーフレット(2025年3月一部更新)から並べます。目安の月数は、リーフレットが「都道府県の実情によって異なる」と注記しているため、必ず協会に確認してください。

順やること担当時期の目安(第1号・基礎級)
1受検手続支援サイトで受検者情報を登録し、本人の同意書を登録する。同意書がないと機構は承認作業に入れない監理団体(企業単独型は実習実施者)計画認定後すぐ。遅くとも修了の6か月前まで
2協会から受検日の連絡を受ける協会修了の4〜5か月前めど
3受検申請書の送付・受検手数料の納付監理団体・実習実施者受検日の連絡後
4受検票の交付、試験に用いる設備等が基準に適合しているかの確認協会・実習実施者受検前
5試験の実施。一部合格の場合は通知、学科・実技とも合格で合格証書の交付協会修了の3か月前めど

受検手続支援サイトの案内には、第1号の申込みについて次の注意点があります。受検希望期間の開始日は技能実習開始日から7か月目以降、かつ同意書の登録日から2か月以上経過後とし、受検希望期間は1か月以上3か月未満で確保します。技能実習期間には入国後講習も含めます。申請の氏名・生年月日・職種・作業は、在留カードと技能実習計画に照らして、入力者以外がダブルチェックすることが求められています(「試験実施機関からのお願い」)。

混雑にも注意が必要です。同じ資料に「申請から4か月以内の受検予約不可の試験実施機関もあり、特に1号生は期間が短い」と書かれています。入国したらすぐ登録し、同意書を添付して機構の承認を受ける、という運用が求められています。

再受検の余地も限られます。技能実習の期間中の再受検は1回に限り認められます(技能実習制度運用要領・令和8年4月)。申請が遅れて受検日が修了直前になると、不合格のときに再受検の日程を確保できないおそれがあります。

受入企業がやること|設備・材料・練習計画・受験日

1. 実習開始前に、協会へ「実施の有無」と「準備物」を確認する

協会側の依頼は、2点に集約されています。①実技試験の実施に必要な設備・機器(実施要領に適合したもの)が確保できる試験会場の準備、②受検者が所属する企業以外の方による技能検定委員の推薦(愛知県協会の案内など)です。厚生労働省のリーフレットにも同じ趣旨の記載があります。

一部の都道府県・職種では、基礎級(1号生向け)は実施していても、随時3級・随時2級を実施していない場合があります。設備・機器がそろわないと受検できないこともあるため、実習開始前までに協会へ問い合わせて確認することが求められています(受検手続支援サイト「試験実施機関からのお願い」)。

2. 準備物の洗い出しは、実施要領と過去問から始める

何を揃えるかは職種・作業ごとに決まっているため、一般論では書けません。順序は次のとおりです。

  1. 技能実習計画の職種・作業名を、協会の検定職種・作業名と一致させる(似た名称の作業が存在するため要注意)。
  2. 協会が公表している試験基準・実技試験の実施要領で、設備基準を確認する。
  3. 公開されている過去問(後述)で、課題の種類・使う工具・材料・所要時間を確認する。
  4. 自社にあるもの、借りるもの、会場側が用意するものを分けて、協会に書面または電話で確認する。

材料を誰が用意するかは、今回確認した一次資料では確認できていません。「材料は誰が用意するのか」も、協会への確認事項に含めてください。

3. 練習計画は「試験の日から逆算」で組む

運用要領は、技能実習を行わせる前に、職種・作業、受検すべき技能検定の種類、受検時期を明らかにして計画的に準備することを求めています。実習内容は、技能検定の合格に必要な技能が修得できるものとする必要があります。現場では次のように落とし込めます。

  • 受検日が決まった時点から逆算して、課題ごとの練習回数と時間を決める。
  • 同じ作業を指導する指導員を固定し、評価の観点(寸法・手順・安全・後片付け)を揃える。
  • 過去問の課題を、本番と同じ設備・時間で1回は通して練習する。
  • 学科試験の準備(用語・安全衛生)も、業務の合間に確保する。基礎級は学科と実技の両方が試験です。

4. 受験日の勤務扱いを決めておく

技能実習(現行)で、受検日の出勤扱い・休暇扱いを直接定めた記載は、今回確認した一次資料では見つかっていません。育成就労の運用要領は、受験に要する時間は労働時間であり、「受験日を欠勤扱いとすることや有給休暇を取得させた上で受験させることは認められません」と定めています。技能実習でも、受検日を欠勤や有給休暇で処理しない前提で、就業規則・雇用条件と照らして社内で決めておくと、制度移行後との差が小さくなります(これは編集部の実務上の提案であり、現行制度の規定ではありません)。

監理団体(監理支援機関)がやること

  • 受検手続支援の申込み: 認定後すぐ、本人の同意書を取り、受検手続支援サイトで登録する。修正・キャンセルは、必ず先に試験実施機関に連絡する。
  • 受検時期の調整・指導助言: 技能実習法第39条第2項は、監理団体に、実習実施者が技能等の評価を行うに当たっての指導・助言を義務づけています。受検時期の調整はその一環として、受検手続支援サイトの案内にも明記されています。
  • 初めての職種の確認: 試験実施機関によっては、サイトで承認された後に、メール連絡や別の登録が必要な場合があります。初めての職種は、協会に手続きを直接確認します。
  • 変更の連絡: 実習実施者や監理団体が変わった場合は、サイト修正に加えて試験実施機関への直接連絡が必要です。
  • 受検結果の把握: 受検日をサイトに入力しないと、機関が合否を入力できない場合があります。

監理団体の側で、受検者ごとの申請状況・受検日・結果を一覧管理しておくと、期限の見落としを防げます。管理の考え方は育成就労の技能試験・日本語試験 進捗管理にまとめています。

過去問の見方|公開サイトと注意点

基礎級の過去問は、中央職業能力開発協会が運営する「技能検定試験問題公開サイト」で閲覧できます。厚生労働省のリーフレットにも、都道府県が実施する技能検定の過去問はこのサイトで見られると書かれています。サイトの【随時試験】には、令和5〜7年度の随時技能検定実技試験問題と、公開用の随時技能検定学科試験問題が掲載されています(確認日:2026-10-01)。

  • 掲載の問題は中央職業能力開発協会の著作物で、本サイトでは閲覧のみです。許可なく複製・二次使用はできません。社内で教材化する場合は、協会の許諾が必要です。
  • 検索エンジンから直接アクセスすると、別の職種のページに移ることがあります。必ず表紙の職種名を確認します。
  • 技能実習評価試験(技能検定以外)の問題は、各試験実施機関へ問い合わせます。
  • 基礎級の問題が、職種ごとにどの区分で掲載されているかは、サイトで職種を選んで確認してください。

当編集部は、過去問そのものや解答の解説は掲載しません。受験させる側は、過去問から「課題の種類」「使う設備と材料」「所要時間」を拾い、前節の準備物の洗い出しに使うのが実務的です。

費用|受検手数料と、誰が負担するか

受検手数料の目安

技能検定の受検手数料は、検定職種ごとに各都道府県で定められます。中央職業能力開発協会は、標準金額を実技試験18,200円・学科試験3,100円(令和元年度から)としています。静岡県職業能力開発協会の令和8年度の案内でも、技能検定受検手数料(非課税)は実技18,200円・学科3,100円で、合計は21,300円です。ただし、職種や都道府県で異なる場合があり、全国一律の金額は確認できていません。実際の金額は、実習先の都道府県の協会で職種ごとに確認してください。

  • 手数料は学科と実技の合計で納付します(協会が指定する方法・期日)。
  • 病気などで受検できなくなった場合でも、理由を問わず受検手数料は返還されません(厚生労働省リーフレット)。試験日や会場の変更もできません。
  • 手数料のほかに、練習用の材料費、会場や設備の準備にかかる費用、交通費、受検日の人件費が生じます。金額は職種で異なるため、本記事では示しません。

費用の負担者

制度負担についての記載確認状況
技能実習(現行)運用要領は、技能検定等の受検料や監理費がかかるからといって、技能実習生の報酬の額を低くすることは許されない、と定めています。受検手数料を誰が負担するかを直接定めた規定は、今回確認した一次資料では見つかっていません原文確認(技能実習制度運用要領・令和8年4月、報酬の項)
育成就労受験手数料・交通費・材料費等は、本人に負担させず、育成就労実施者または監理支援機関が負担しなければならない。両者の配分は規定されていない原文確認(育成就労制度運用要領・令和8年8月版 4-57頁付近)

技能実習の段階でも、実習実施者・監理団体・本人のいずれが何を負担するかは、契約・監理費の内訳で明確にしておく必要があります。育成就労では、本人負担にできないことが明文化されるため、技能実習のうちから「手数料・材料費・交通費は組織側」と整理しておくと、制度移行時の見直しが小さくなります。配分(実施者か監理支援機関か)は規定されていないため、契約や監理費の設計で決めます。監理費に算入できるかどうかは、今回確認できていません。

育成就労ではどう変わるか|基礎級が残る区分と、新設の評価試験

育成就労は2027-04-01に施行されます。技能の試験は、開始から1年が経過するまでに受験させる「1年目試験」と、終了までに受験させる試験があります。受験させる義務は実施者にあり、合格させる義務ではありません(運用要領)。

  • 1年目試験: 「育成就労評価試験(初級)」が基礎級と同等の水準で、分野によっては技能検定基礎級そのものが指定されます。どちらを使うかは、分野別運用方針が分野・業務区分ごとに決めています。
  • 混在する分野: 工業製品製造業・建設・造船・飲食料品製造業などでは、既存の技能検定基礎級を使う業務区分と、新設の評価試験を使う業務区分が混在します。林業は技能検定のままです。
  • 新設の評価試験: 物流倉庫を含め、実施要領・実施機関・受験料は公表を確認できていません。物流倉庫は国土交通省が「調整中」と公表しています。
  • 受験手続の支援: 監理支援機関(単独型は実施者)の申請に基づき、機構が試験実施機関への取次ぎや合否の把握を行います。機構は2027-04-01に外国人育成就労機構へ改称されます。申込み時期は、1年経過時までの試験について、認定後速やかに、遅くとも育成就労開始から6月後までとされています。

分野ごとの試験名は、17分野すべて分野別運用方針で公表されています(育成就労の技能試験 17分野一覧)。実施要領・受験料などは公表され次第更新します。技能実習の基礎級で準備した、設備・材料・練習の段取りは、基礎級を使う区分でそのまま活かせます。新設の評価試験を使う区分は、実施要領の公表を待って確認が必要です。

不合格のときと、優良要件への影響

不合格のときの再受検、在留への影響、優良な実習実施者の要件は技能実習生が技能検定に不合格になったらに書いています。育成就労の優良要件(基礎級程度の技能試験の合格率が75%未満だと減点)は優良な育成就労実施者の配点で扱っています。本記事では重複して説明しません。「合格率を下げない」という観点で見ると、基礎級は申請を遅らせないこと、設備と練習を前もって整えることが、そのまま合格率の管理になります。

無料資料

育成就労 技能試験と日本語の準備チェックリスト

実技の準備物(設備・材料・練習場所)の確認欄、受験時期の逆算表、費用負担の確認欄(実施者・監理支援機関・未定)をまとめた無料のPDFです。基礎級を受けさせる前の段取りを、そのまま社内の確認表にできます。育成就労の分野別の試験名と日本語の要件も載せています。

営業電話はしません。一次資料に基づく一般的な整理で、個別案件の判断や書類の作成は行いません

よくある質問

基礎級の過去問はどこで見られますか?

中央職業能力開発協会の技能検定試験問題公開サイトで、随時試験の実技問題(令和5〜7年度)と公開用の学科問題が閲覧できます。閲覧のみで、複製や二次使用には協会の許諾が必要です。職種名は表紙で確認してください。

基礎級はいつまでに申し込めばよいですか?

技能実習計画の認定後すぐ、遅くとも第1号技能実習の修了の6か月前までに、監理団体(企業単独型は実習実施者)が受検手続支援サイトで申請します。静岡県協会など、受検月の6か月以上前を求める協会もあるため、実習先の協会の案内を確認してください。

受検手数料はいくらですか?

協会が職種ごとに定めます。標準金額は実技18,200円・学科3,100円で、静岡県協会の令和8年度案内も同額(非課税)です。全国一律とは確認できていないため、実習先の協会で確認してください。

実技の道具や材料は誰が用意しますか?

実技試験の設備・機器が基準に適合する会場の準備は、試験実施機関から監理団体または実習実施者への協力依頼事項です。材料や工具の用意の分担は、職種・協会で異なります。実習開始前に協会へ確認してください。

受検日は勤務扱いにすべきですか?

育成就労の運用要領は、受験に要する時間は労働時間で、欠勤扱いや有給休暇の取得を前提にすることは認められないとしています。現行の技能実習で同趣旨の規定は、今回確認できていません。就業規則と照らして社内で決め、不明な点は監理団体・専門家に確認してください。

育成就労になると基礎級は不要になりますか?

分野・業務区分によって異なります。既存の技能検定基礎級を指定する区分と、新設の育成就労評価試験(初級)を使う区分が混在します。区分ごとの指定は分野別運用方針で確認が必要で、新設の評価試験の実施要領は公表待ちです。

公式出典と未確定事項

確認日はいずれも2026-10-01です。

未確定・公表待ち

  • 職種別・都道府県別の基礎級の受検手数料と、準備すべき設備・材料の一覧は未確認です(協会ごとに設定)
  • 現行の技能実習における、受検手数料の最終的な負担者と、受検日の勤務扱いを直接定めた規定は確認できていません
  • 育成就労評価試験(初級)の実施要領・実施機関・受験料は、物流倉庫を含め公表待ちです(物流倉庫は国土交通省が調整中と公表)。運用要領・分野別運用方針の改定があり得るため、公開前に再確認が必要です

更新履歴・この記事の確認情報

公開日:2026-10-01/最終事実確認日:2026-10-01/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は制度の一般的な説明であり、報酬を得て業として官公署に提出する書類を作成すること等には行政書士法その他の法令による制限があります。当編集部は個別の申請書の作成・添削・記載内容の判断を行いません。個別案件については、試験実施機関、行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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FRM Journal 編集部
外国人材マネジメント専門メディア FRM Journal
監理団体・登録支援機関・受入企業の実務担当者に向けて、育成就労・特定技能・技能実習の制度解説と経営実務情報を発信しています。