結論|「提供可能」な日本語講習の受け皿は、都道府県によって大きな差があります

  • 技能実習生数(2025年6月末、47都道府県計448,782人)に対して、育成就労の入国後日本語講習を「提供可能」と回答した教育機関は全国で62校・受入可能人数合計3,029人(下限値ベース)にとどまり、全国平均の受入枠は実習生1人あたり0.675%です(出入国在留管理庁)。
  • 都道府県別に見ると差はさらに大きくなります。技能実習生数が全国2位の埼玉県(25,213人)と、全国7位の北海道(17,653人)は、いずれも「提供可能」と回答した機関が0校です。技能実習生数が多い上位15都道府県のうち、6県(埼玉・北海道・広島・岐阜・群馬・三重)が0校でした。
  • 一方、東京都は技能実習生17,501人に対し19校・970人(下限値)が「提供可能」で、実習生1人あたりの受入枠は5.54%と全国で最も高い水準です。委託先の候補は都市部に偏っています。
  • 0校の県でも、登録日本語教員による経過措置ルートは対面以外の実施を同時双方向オンラインで行うことができます。一覧に載る機関へ委託する場合に講習の全部をオンラインで完結できるかは機関ごとに個別確認が必要です。ほかに、登録日本語教員を直接手配する、他機関と合同でクラスを組むという対応もあります。

根拠:出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」、出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末(在留資格「技能実習」全区分、e-Stat)(最終確認日:2026-09-08)

この記事の時点情報

提供可能な教育機関の校数・受入可能人数:出入国在留管理庁 2026年6月時点/技能実習生数:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末時点/本記事の最終事実確認:2026年9月8日/次回確認予定:2026年10月1日。2つの数字は集計時点が異なるため、技能実習生数は需要の大きさの目安として、提供可能校数は現時点の供給として、それぞれ別のものとして読んでください。

本記事は制度の一般的な説明を目的としたものであり、個別の申請書の作成・添削・記載内容の判断は行いません。「日本語講習の講師が見つからないとき」では、全国の講習提供状況一覧(調査対象322校中、現在「提供可能」は62校。ほかに、2027年度からの提供を予定する岡山県の1校がある)の読み方と、登録日本語教員の探し方を解説しました。本記事ではその全国の数字を都道府県別に分解し、自団体の都道府県に受け皿があるかどうかを、技能実習生数との対比で確認できるようにします。

全国の数字だけでは見えないこと

出入国在留管理庁は2026年6月時点で、全国322校の日本語教育機関(認定日本語教育機関「就労のための課程」3校、認定日本語教育機関(就労課程以外)45校、告示日本語教育機関274校)に日本語講習を提供できるかを照会しました。このうち「提供可能」と回答したのは62校です(2027年度からの提供可能を予定する岡山県の1校を加えると63校になります)。この全国計の数字は「日本語講習の講師が見つからないとき」で解説した集計と同じものです。

ただし、この62校は都道府県に均等に分布しているわけではありません。都道府県ごとに技能実習生数と受入可能人数を対比すると、実習生1人あたりの受入枠は0%の県から5%を超える県まで幅があります。全国平均の0.675%という数字だけを見ていると、自県が0%側に含まれているのか、5%側に含まれているのかが分かりません。次章の対照表で、自団体の都道府県の位置を確認してください。

都道府県別の対照表

技能実習生数(2025年6月末時点)が多い順に、上位15都道府県を並べたものが次の表です。「提供可能校数」「受入可能人数」はいずれも出入国在留管理庁の一覧表(2026年6月時点)によるもので、0校の県は「0校(0人)」と表記しています。

都道府県技能実習生数
(2025-06末)
提供可能校数
(2026-06時点)
受入可能人数
(下限値)
愛知県39,711人6校294人
埼玉県25,213人0校0人
千葉県23,798人3校110人
大阪府22,972人9校570人
神奈川県19,659人2校65人
茨城県17,871人2校140人
北海道17,653人0校0人
東京都17,501人19校970人
福岡県17,389人2校140人
静岡県16,693人5校140人
広島県16,044人0校0人
岐阜県15,323人0校0人
兵庫県14,775人2校40人
群馬県11,762人0校0人
三重県11,504人0校0人

技能実習生数が全国トップ15に入る都道府県だけを見ても、埼玉・北海道・広島・岐阜・群馬・三重の6県は「提供可能」な機関が0校です。技能実習生数の大小と、日本語講習の受け皿の有無は連動していません。

残り32都道府県を見る
都道府県技能実習生数
(2025-06末)
提供可能校数
(2026-06時点)
受入可能人数
(下限値)
青森県3,273人0校0人
岩手県3,715人0校0人
宮城県5,682人0校0人
秋田県1,871人0校0人
山形県2,984人0校0人
福島県5,630人1校100人
栃木県8,896人0校0人
新潟県5,522人0校0人
富山県6,314人0校0人
石川県5,788人1校50人
福井県5,082人0校0人
山梨県2,887人1校40人
長野県6,840人1校40人
滋賀県6,570人0校0人
京都府6,623人3校100人
奈良県3,497人0校0人
和歌山県2,246人1校15人
鳥取県1,927人0校0人
島根県2,347人0校0人
岡山県9,977人0校0人
山口県5,711人0校0人
徳島県2,997人0校0人
香川県6,302人1校20人
愛媛県7,257人0校0人
高知県2,129人0校0人
佐賀県3,486人1校100人
長崎県4,090人0校0人
熊本県10,132人0校0人
大分県5,550人0校0人
宮崎県4,817人1校80人
鹿児島県7,218人0校0人
沖縄県3,554人1校15人

数字の読み方の注意点

この対照表を使う際は、次の点に注意してください。

  • 「提供する方向で検討」中の179校(受入可能人数の見込み4,705人)は含めていません。まだ確定した供給ではないため、本記事では0として扱っています。
  • 受入可能人数が「100人以上」と表記されている機関(全国14校)は、下限の100人として合算しています。実際の受入枠はこれより多い可能性があります。
  • 受入可能人数の記載がない機関(東京都1校・京都府1校)は、校数のみカウントし、人数には算入していません。
  • 「受入可能人数」は学校単位の1つの数値であり、A1相当講習とA2目標講習の内訳は原資料に分かれていません。
  • 技能実習生数は技能実習制度の在留者数であり、育成就労の受入見込み人数そのものではありません。ここでは需要の大きさの目安として使っています。
  • 2つの数字は集計時点が異なります(提供可能校側は2026年6月時点、技能実習生数側は2025年6月末時点)。

受け皿がない県で取れる3つの道

自県に「提供可能」な機関が0校、または候補が乏しい場合、次の3つの対応が考えられます。

(a) 一覧に載る機関へのオンライン委託を確認する。登録日本語教員による経過措置ルートでは、対面以外の方法で実施する場合、オンラインで同時かつ双方向に行うことが要件です。録画配信やeラーニングのような一方向の方法は、この講習時間に算入できません。一方、一覧に「提供可能」と載る機関(認定日本語教育機関・告示日本語教育機関)へ委託する場合に、講習の全部をオンラインで完結できるかどうかは、その機関ごとに個別に確認が必要です。一覧表の「オンライン」表記だけでは、対面時間ゼロで完結できるかは判別できません。オンライン提供の条件の詳細は「入国後A1相当講習100時間の要件」で解説しています。

(b) 登録日本語教員を直接手配し、自団体で実施する。講習の企画立案(目標・内容・時間割の決定)は監理支援機関自身が行い、委託できるのは講師の業務に限られます。登録日本語教員の探し方の具体的な手順は「日本語講習の講師が見つからないとき」にまとめています。自機関で実施する場合の要件は「監理支援機関が自機関で日本語講習を行うには」で解説しています。

(c) 他機関と合同で、講師1人に同時20人以下のクラスを組む。共同で委託できるのはあくまで講師の業務であり、講習の企画立案・実施状況の記録・計画認定申請書への記載は各団体がそれぞれ自団体分について負うという整理です。合同クラスの具体的な組み方については、「3名・5名の入国でも日本語講習になるか」で解説しています。

委託候補を確認するときのチェック項目

委託先の候補を検討する際は、次の点を確認しておくことをおすすめします。

  • 出入国在留管理庁の一覧表(3つのExcelファイル)で、自県と近隣県の「提供可能」機関を確認する
  • 該当機関にオンライン提供の可否と受入可能人数を直接問い合わせる(一覧表の記載だけでは、対面時間ゼロで完結できるかは判別できません)
  • 計画認定申請書の第3面に記載する実施方法(誰が、どの科目を、どう実施するか)を団体側で決めておく
  • 候補が決まらない場合に備えて、オンライン・直接手配・合同クラスという代替の選択肢をあらかじめ複数用意しておく

都市部の機関であっても受入可能人数には限りがあります。余裕を持ったスケジュールで確認を進めてください。

数字の更新について

出入国在留管理庁の講習提供状況一覧表は今後の照会で更新され、認定日本語教育機関の認定校も増える見込みです。技能実習生数(在留外国人統計)も定期的に公表されます。本記事は毎月、両方の一次資料を確認し、数字を更新します。

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よくある質問

全国で「提供可能」と回答した機関は62校と聞きますが、自分の県にも受け皿があるということですか?

いいえ、全国の合計だけでは自県の状況は分かりません。現在「提供可能」なのは62校で、これとは別に2027年度からの提供を予定する岡山県の1校があります。出入国在留管理庁の一覧表(2026年6月時点)を都道府県別に集計すると、「提供可能」と回答した機関が0校の県が28道県あります。技能実習生数が全国2位の埼玉県(25,213人、2025年6月末)や、7位の北海道(17,653人)も0校です。全国計の数字とは別に、必ず自県の内訳を確認してください。

提供可能な機関が0校の都道府県はどこですか?

2026年6月時点で、北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・栃木県・群馬県・埼玉県・新潟県・富山県・福井県・岐阜県・三重県・滋賀県・奈良県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・愛媛県・高知県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県の28道県で、出入国在留管理庁の一覧表における「提供可能」の回答が0校でした。詳細は本記事の対照表でご確認ください。

「受入可能人数」は実際に受け入れられる人数と同じですか?

目安であり、実数とは異なる可能性があります。受入可能人数が「100人以上」と表記されている機関(全国14校)は下限の100人として合算しているため、実際の受入枠はこれより多い可能性があります。また人数の記載がない機関(2校)は校数のみカウントし、人数には含めていません。「提供する方向で検討」中の179校も、確定した供給ではないため合算から除いています。

自県に受け皿がない場合、どうすればよいですか?

3つの対応があります。(1)登録日本語教員による経過措置ルートを使い、県外から同時双方向オンラインで実施する。一覧に「提供可能」と載る機関へ委託する場合は、オンラインで完結できるかを機関ごとに個別確認する、(2)登録日本語教員を直接手配して自団体で実施する、(3)他機関と合同で、講師1人に同時20人以下のクラスを組む、という順で検討します。それぞれの具体的な手順は、本記事および関連記事で解説しています。

この数字はいつ更新されますか?

出入国在留管理庁の講習提供状況一覧表は今後の照会で更新され、技能実習生数(在留外国人統計)も定期的に公表されます。本記事は毎月、両方の一次資料を確認して更新します。次回の確認予定は2026年10月1日です。

公式出典と未確定事項

未確定・個別確認が必要なもの

  • 受入可能人数が「100人以上」と表記されている機関(14校)の、実際の受入可能人数の上限
  • 一覧表の「オンライン」表記が、対面時間ゼロの全面オンラインでの完結を意味するか(委託を検討する機関・教員への個別確認が必要)
  • 就労課程を置く認定日本語教育機関の次回認定の発表時期
  • 技能実習生数の2026年6月末時点データの公表時期(本記事作成時点で在留外国人統計としてまだ公表されていません)

この記事の確認情報

公開日:2026-09-08/最終事実確認日:2026-09-08/編集・事実確認:FRM Journal編集部

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FRM Journal 編集部
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