結論|「受けさせる義務」であって「合格させる義務」ではありません。1年以内にA1相当、3年以内にA2相当です

  • 育成就労実施者は、1年以内にA1相当(1年目試験)、3年間の育成就労終了までにA2相当(目標試験)の日本語能力の試験を、既に合格している場合を除き受験させる義務があります(運用要領4-53〜4-55頁)。合格させる義務ではありません。
  • 試験実施側が試験機会を用意する基本頻度は、就労開始前=事業年度ごとに2回以上実施することが望ましい、1年経過時まで=2か月に1回以上を基本、3年経過時まで=6か月に1回以上を基本、とされています(「試験の方針」-11-頁)。個々の育成就労外国人にこの頻度で受験させる個人単位の義務ではありません。
  • 受験手数料・交通費・材料費は育成就労実施者又は監理支援機関が負担し、本人に負担させることはできません。受験に要する時間は労働時間に該当し、欠勤扱いや有給消化での対応は認められません(運用要領4-56頁)。
  • 受験票の写し等は参考様式第4-2号とともに実施者が保管しますが、技能検定等・特定技能1号評価試験の合格証は速やかに本人へ手交し、組織側は保管しません(同4-55〜4-56頁)。日本語試験の合格証(結果通知書等)はこの規定の対象外で、各試験実施機関の規程によります。

根拠:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」(4-52〜4-57頁「第5 技能及び日本語能力の評価に関するもの」)、法務省「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」(令和7年3月11日、-9-〜-11-頁)(最終確認日:2026-09-18)

育成就労では、監理支援機関・受入企業が「いつ」日本語試験を受けさせる必要があるか、また試験がどのような頻度で実施されるかを正確に把握していないと、期限を適切に管理できないおそれがあります。本記事は、出入国在留管理庁の運用要領と「試験の方針」の一次資料に沿って、受験義務の時期・頻度、費用負担、労働時間の扱い、申込の主体、記録の保管方法を整理します。日本語要件全体の3つの時点(入国前・入国後・就労開始後3年間)は育成就労の日本語要件で、受験義務が合格率としてどう評価されるかは優良な育成就労実施者の配点でご確認ください。

受けさせる義務と合格させる義務の違い

育成就労実施者は、「育成就労の目標」として設定した日本語能力の試験のいずれにも、3年間の育成就労終了までに育成就労外国人を受験させる義務があります。既に合格している場合は、改めて受験させる必要はありません(運用要領4-53頁)。この義務は受けさせる義務であり、合格させる義務ではありません。不合格が続いたこと自体は法令違反にはなりませんが、優良な育成就労実施者の評価では合格率が減点対象になるため、実務上の重みは変わりません(詳しくは優良な育成就労実施者の配点)。

なお、特定技能への在留資格移行の希望がない場合でも、育成就労計画の中で設定した目標の達成に向けて受験させる義務は変わりません(同4-53頁)。「特定技能に進まないから受けさせなくてよい」という整理はできない点に注意してください。

1年以内のA1相当試験と3年以内のA2相当、基本頻度

「育成就労の目標」となる日本語能力の試験は、分野別運用方針の「育成就労を終了するまでに求められる水準」の「日本語能力水準」の項に記載の試験から選択します(運用要領4-53頁)。受験のタイミングは大きく2段階です。

時点受けさせる試験根拠
育成就労開始から1年以内1年目試験(通称A1相当)。「育成就労の目標」達成に向けた中間的評価として実施運用要領4-54頁
3年間の育成就労終了まで目標試験(通称A2相当)。「育成就労の目標」そのもの運用要領4-53頁

受験の基本頻度は、日本語試験と技能評価試験で扱いが異なります(「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」第4-5)。

試験基本頻度
日本語試験(就労開始前)事業年度ごとに2回以上実施することが望ましい
日本語試験(育成就労開始から1年経過時まで)受験機会の確保に十分配慮しつつ、2か月に1回以上実施することを基本とする
日本語試験(育成就労開始から3年経過時まで)受験機会の確保に十分配慮しつつ、6か月に1回以上実施することを基本とする
技能評価試験(1年目試験)監理支援機関又は育成就労実施者の要請に応じ、適切な時期(随時)に受験できるように実施することを基本とする

「基本とする」という表現が示すとおり、この頻度は試験実施側が試験機会を用意する基本頻度であり、育成就労外国人一人ひとりにこの頻度で受験させる個人単位の義務ではありません。最低ラインの目安として、個々の育成就労外国人の準備状況に応じて、より頻繁に受験機会を用意すること自体は制限されていません。むしろ、1年以内・3年以内という期限から逆算すると、試験実施側がこの基本頻度どおりに機会を確保しておかないと、期限直前に受験自体が間に合わなくなるリスクがあります。

試験の選び方と結果が出るまでの日数

「育成就労の目標」となる日本語能力の試験は分野別運用方針が定める試験から選択しますが、実務でよく使われるのはJFT-Basicと日本語能力試験(JLPT)です。両者は実施方式が大きく異なります。

項目JFT-BasicJLPT
実施方式CBT方式・プロメトリック社が随時実施(予約制)ペーパーテスト・年2回(7月・12月)
判定・スコア2026年8月から3段階判定。A1=145〜174点/A2.1=175〜199点/A2.2(旧A2相当)=200〜250点。145点未満は判定なしN5〜N1の5段階合否判定
結果が出るまで受験当日に画面表示、受験後5営業日以内に正式な判定結果通知書を発行2026年第1回(7月)試験の結果は9月上旬、第2回(12月)試験の結果は2月上旬に送る予定
申込の目安随時受付2026年第2回試験の申込受付期間は2026年8月24日〜9月7日17時まで

随時受験できるJFT-Basicは、前節で触れた試験実施側の基本頻度(1年経過時まで2か月に1回以上等)に合わせやすい一方、JLPTは年2回しか実施機会がないため、申込期間を逃すと次の回まで受験機会そのものがなくなります。JFT-Basicのスコア帯を継続的な指標として使う運用の考え方はJFT-BasicのA1・A2.1・A2.2判定と企業の使い方で扱う予定です。なお、JFT-Basicの受験料・国内会場数は本記事の確認範囲では特定できませんでした。最新の料金・会場は公式の予約サイトでご確認ください。

費用は誰が払うか・受験時間は労働時間

受験に関する費用と時間の扱いは、運用要領で明確に定められています。

「各種試験に要する費用(受験手数料、交通費、材料費等)については、育成就労外国人に負担させることとせず、育成就労実施者又は監理支援機関が負担しなければなりません。」(育成就労制度運用要領4-56頁)
「育成就労の開始から1年目までに受験が必要な試験や育成就労の目標として定めた試験を育成就労外国人に受験させることは、育成就労法令上で定められた育成就労実施者の義務であり、受験に要する時間は労働時間に該当します。そのため、受験日を欠勤扱いとすることや有給休暇を取得させた上で受験させることは認められません。」(同4-56頁)

つまり、受験手数料・交通費・材料費のいずれも本人負担にはできず、実施者又は監理支援機関のいずれかが負担します。また、受験当日を欠勤扱いにしたり、有給休暇の消化で対応させたりすることは、運用要領上認められていません。受験に要する時間は労働時間として扱う必要があります。

受験計画欄つきの早見シートで期限管理を整理する

公表資料に基づく一般的な整理(受験の期限・頻度の早見表、3年分の受験計画欄、費用負担・記録保管のチェック項目)を1冊にまとめた無料資料をご用意しています。あわせて、受験・合格状況を早めに把握する仕組みについて、貴社・貴組合のご意見を伺う構想ヒアリング(30分)も受け付けています。個別案件への当てはめ、書類の作成・添削は行いません。

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技能検定等で機構の受験手続支援を利用する場合の申込主体

外国人育成就労機構(機構)は、育成就労外国人が技能検定等を適切に受験できるよう、試験実施機関への取次ぎや合否結果の迅速な把握等のための「受験手続支援」を行っています。この受験手続支援は、監理支援機関(単独型育成就労の場合は育成就労実施者)からの申請に基づいて行われ、あらかじめ育成就労外国人本人の同意が必要です(運用要領4-55〜4-56頁)。受験手続支援を受けた場合は、試験実施機関から機構に対して合否結果が提供されます。育成就労計画の目標とした技能検定等の受験手続支援の申込方法等の詳細は、別途機構のホームページ等で周知するとされています(同4-56頁)。この申請主体・本人同意のルールは、機構の受験手続支援を利用する技能検定等についてのものです。JFT-Basic・JLPT等の日本語試験は、それぞれの試験実施機関が定める申込方法に従うため、技能検定等の申込手続きとは別に確認してください。

記録|受験票の写しを4-2号と保管、技能検定等の合格証は本人へ

受験と合格に関する記録は、次の2つで扱いが異なります(運用要領4-55〜4-56頁)。

  • 受験の証明資料(受験票の写し等):育成就労計画の履行状況に関する管理簿(参考様式第4-2号)とともに、育成就労実施者が保管します。
  • 技能検定等・特定技能1号評価試験の合格を証明する書面:監理支援機関(単独型育成就労の場合は育成就労実施者)が試験実施機関から受領した場合、監理支援機関や育成就労実施者が保管することなく、速やかに本人へ手交します。

「受験した記録は組織側に残す」「技能検定等の合格証明は本人に渡す」という役割分担です。この手交規定は技能検定等・特定技能1号評価試験の合格書面についてのもので、JFT-Basic・JLPT等の日本語試験の合格証(結果通知書等)は対象外です。日本語試験の合格証の保管・交付をどう扱うかは、各試験実施機関の規程を確認してください。個人単位の受験・合格記録を継続的に管理する台帳の様式例は日本語講習の記録様式で扱っています。

不合格だったら|再受験義務なし、②再受験率は加点

運用要領が明示的に「2回目を受験させる義務はありません」としているのは、本人意向による転籍の要件との関係における1年目技能試験についてです(運用要領4-55頁)。日本語試験(1年目のA1相当・目標のA2相当)について同じ表現で再受験免除を明記した記載は、確認した一次資料の範囲では見当たりません。ただし、育成就労の受験義務は「受けさせる義務」であって「合格させる義務」ではないという原則(運用要領4-53頁)から、日本語試験についても不合格それ自体が法令違反にはならないと整理できます。この整理は原文が日本語試験について直接明記したものではなく、受験義務と合格義務を区別する原則からの解釈である点に注意してください。

一方で、優良な育成就労実施者の評価では、初回不合格者に再受験の機会を実際に提供したかどうか(②再受験率)が加点対象になります。100%または再受験の該当者がいない場合に3点が加算されます。また、①③④⑤の合格率が一定の水準を下回ると減点になります(④A1相当は50%未満で-7点、⑤A2相当は50%未満で-10点など)。「再受験させる法的義務はないが、提供すれば加点され、合格率が低いままだと減点される」という構造です。配点の詳細は優良な育成就労実施者の配点で解説しています。

なお、①④の合格率を計算する際、育成就労外国人自身が受験を辞退した場合や申込みの時期を逸して受験できなかった場合は、「やむを得ない事由」に含まれず、分母から除外されません(運用要領4-122〜4-123頁)。受けさせるだけでなく、本人への十分な説明と意思確認を行い、申込期限を適切に管理する運用が実務上の要点になります。

期限を逃さない3つの管理項目

ここまでの内容を、監理団体・受入企業が日常的に確認すべき3つの管理項目に整理すると、次のようになります。

  • ①受験の期限:1年目試験(1年以内)、目標試験(3年以内)それぞれの期限までに、試験実施側の基本頻度(2か月に1回以上・6か月に1回以上等)に沿って受験機会を確保できているか。
  • ②到達の推移:JFT-Basicのスコア帯のように、合否だけでなく現在地を示す指標を継続的に見ているか。
  • ③再受験と学習継続:初回不合格者への再受験機会の提供と、受験の辞退・申込時期の逸失が起きていないか。

この3項目は、優良な育成就労実施者の項目Ⅰ配点(④⑤の合格率、②の再受験率)にそのまま対応します。受験の期限管理を怠ると、合格率の分母(過去3育成就労事業年度における対象者数)自体が育成就労実施者にとって不利な形で積み上がっていく点に注意が必要です。個人ごとの進捗を可視化する管理表の考え方は育成就労の技能試験・日本語試験 進捗管理で扱っています。

よくある質問

育成就労の日本語試験は受けさせる義務ですか、合格させる義務ですか?

受けさせる義務です。育成就労実施者は、育成就労の目標として設定した日本語能力の試験を、既に合格している場合を除き、育成就労外国人に受験させる義務があります(運用要領4-53頁)。合格させる義務ではないため、不合格が続いたこと自体が法令違反にはなりません。ただし、優良な育成就労実施者の認定では合格率が評価対象になるため、実務上は合格率を高める取り組みが必要になります。

1年以内に受けさせる試験と3年以内に受けさせる試験の違いは何ですか?

育成就労の開始から1年以内に、育成就労の目標として設定した日本語能力の試験の一定水準の試験(通称A1相当・1年目試験)を受験させる義務があります。3年間の育成就労終了までには、目標となる日本語能力の試験(通称A2相当・目標試験)への受験義務があります(運用要領4-53〜4-55頁)。どちらも受けさせる義務であって合格させる義務ではありません。

JFT-BasicとJLPTはどちらを受けさせればよいですか?

分野別運用方針が定める試験の中から選択します。本記事執筆時点で確認できているのは、JFT-Basicが2026年8月からA1(145〜174点)・A2.1(175〜199点)・A2.2(200〜250点、旧A2相当)の3段階判定になっていること、CBT方式・随時実施で当日画面表示に加え5営業日以内に正式な通知書が発行されることです(国際交流基金公式ページ)。JLPTは年2回(7月・12月)実施で、結果発表は第1回(7月)試験が9月上旬、第2回(12月)試験が2月上旬を予定しています(日本語能力試験公式ページ)。随時受験できるJFT-Basicの方が、育成就労の基本頻度(2か月に1回以上等。これは試験実施側が機会を用意する頻度であり、個人の受験回数義務ではありません)に合わせやすい面があります。

受験費用は誰が払い、受験時間は労働時間になりますか?

受験手数料・交通費・材料費等の各種費用は、育成就労外国人に負担させることなく、育成就労実施者又は監理支援機関が負担しなければなりません。また、受験に要する時間は労働時間に該当するため、受験日を欠勤扱いとすることや、有給休暇を取得させた上で受験させることは認められません(運用要領4-56頁)。

不合格だったらどうなりますか?再受験させる義務はありますか?

受験させる義務はありますが、合格させる義務ではないため、不合格になったこと自体が法令違反にはなりません。運用要領が明示的に「2回目を受験させる義務はない」としているのは、本人意向による転籍の要件との関係における1年目技能試験についてです。日本語試験について同じ表現の明記は一次資料の範囲では見当たりませんが、受験義務と合格義務を区別する原則から、不合格それ自体は法令違反にならないと整理できます。優良な育成就労実施者の評価では、初回不合格者に再受験の機会を提供したかどうか(②再受験率)が加点対象になり、合格率(①③④⑤)が一定水準を下回ると減点になります。詳しい配点は優良な育成就労実施者の配点で解説しています。

記録はどう保管しますか?合格証は会社が保管してよいですか?

受験させたことの証明資料(受験票の写し等)は、育成就労計画の履行状況に関する管理簿(参考様式第4-2号)とともに、育成就労実施者が保管します。一方、技能検定等・特定技能1号評価試験の合格を証明する書面を試験実施機関から受領した場合は、監理支援機関や育成就労実施者が保管することなく、速やかに本人へ手交してください(運用要領4-55〜4-56頁)。この手交規定は技能検定等・特定技能1号評価試験の合格書面についてのもので、JFT-Basic・JLPT等の日本語試験の合格証(結果通知書等)は対象外です。日本語試験の合格証の扱いは各試験実施機関の規程を確認してください。

公式出典と未確定事項

未確定・個別確認が必要なもの

  • JFT-Basicの受験料・国内会場数は、公式ページに具体的な記載が見当たらず未確定
  • 技能検定(基礎級・随時3級)の受検手数料の具体額は一次資料で確認できておらず未確定(本記事では扱っていません)
  • 分野別運用方針ごとの「育成就労の目標」となる日本語能力の試験の具体的な水準設定は、分野ごとに確認が必要
  • JFT-Basic・JLPT等の日本語試験の合格証(結果通知書等)の保管・交付方法は運用要領に明記がなく、各試験実施機関の規程による(本記事の技能検定等の手交規定とは別扱い)
  • 日本語試験について不合格時の再受験義務がないという整理は、運用要領の「受けさせる義務であって合格させる義務ではない」という原則からの解釈であり、1年目技能試験のように「2回目の受験義務なし」と明記した条文があるわけではない

この記事の確認情報

公開日:2026-09-18/最終事実確認日:2026-09-18/編集・事実確認:FRM Journal編集部

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