結論|飲食料品製造業の試験は「品目ごとに3系統」。まず自社の主たる技能がどの系統かを決めます

  • 飲食料品製造業分野の育成就労は、主たる技能(品目)ごとに、1年目の試験と終了時の試験が決まっています。品目を特定しない「飲食料品製造業全般」は、1年目が飲食料品製造業育成就労評価試験(初級)、終了時が飲食料品製造業特定技能1号評価試験です(分野別運用方針 別紙15の別表3)。
  • 缶詰巻締・食鳥処理加工・牛豚食肉処理加工・惣菜製造・農産物漬物製造・水産加工は、品目ごとの新設の育成就労評価試験(初級・専門級)です。ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、水産練り製品製造は、既存の技能検定(基礎級・3級)が指定されています。
  • 育成就労での受入れ見込数は、令和9年度から2年間で61,400人です(別紙15 第一2(4)ウ)。17分野のうち、建設(123,500人)・工業製品製造業(119,700人)に次ぐ3番目の規模です。
  • 育成就労評価試験の受験料・実施機関・会場・開始日は、今回確認できた公表資料にありません。本記事では書いていません。費用は育成就労外国人に負担させず、実施者または監理支援機関が負担します(運用要領)。

根拠:出入国在留管理庁「別紙15 飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(第三、別表3)(最終確認日:2026-10-01)

試験名と時期をまとめた「育成就労 技能試験と日本語の準備チェックリスト」(無料PDF)は、本記事の末尾から受け取れます。

飲食料品製造業は、特定技能でも育成就労でも受入れ規模が大きい分野です。ただし育成就労では、「飲食料品製造業」と一括りにできず、何を作る仕事に就かせるか(主たる技能)によって、受けさせる試験の名前そのものが変わります。受入企業にとっては、育成就労計画に書く主たる技能の選び方が、そのまま試験の準備の出発点になります。監理団体(育成就労では監理支援機関)にとっては、取り扱う受入企業の品目を洗い出して、試験の種類ごとに受験の段取りをまとめることが仕事になります。

本記事は、受験させる側の準備に絞って整理します。分野別運用方針の別紙15と運用要領を原文で確認できた範囲だけを書き、公表待ちの項目は「公表待ち」と明記します。17分野全体の試験の比較は育成就労の技能試験 17分野一覧にまとめています。

受けさせる試験の一覧|品目ごとの1年目・終了時

別紙15の別表3は、飲食料品製造業の業務区分を2つに分けています。1つは「飲食料品製造業(酒類を除く飲食料品の製造・加工及び安全衛生の確保)」、もう1つは「水産加工業(水産加工品の製造・加工及び安全衛生の確保)」です。主たる技能ごとの試験は次のとおりです。

業務区分主たる技能(品目)1年目の試験終了時の試験既存か新設か
飲食料品製造業飲食料品製造業全般飲食料品製造業育成就労評価試験(初級)飲食料品製造業特定技能1号評価試験初級は新設。終了時は特定技能1号の試験
缶詰巻締缶詰巻締育成就労評価試験(初級)缶詰巻締育成就労評価試験(専門級)新設
食鳥処理加工食鳥処理加工育成就労評価試験(初級)食鳥処理加工育成就労評価試験(専門級)新設
牛豚部分肉製造、牛豚精肉商品製造牛豚食肉処理加工育成就労評価試験(初級)牛豚食肉処理加工育成就労評価試験(専門級)新設
惣菜製造惣菜製造育成就労評価試験(初級)惣菜製造育成就労評価試験(専門級)新設
農産物漬物製造農産物漬物製造業育成就労評価試験(初級)農産物漬物製造業育成就労評価試験(専門級)新設
ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能検定基礎級技能検定3級既存(技能検定)
パン製造技能検定基礎級技能検定3級既存(技能検定)
水産加工業水産加工品製造(保蔵のための処理として加熱処理・脱水処理・低温処理の3つから選択)水産加工育成就労評価試験(初級)水産加工育成就労評価試験(専門級)新設
水産練り製品製造技能検定基礎級技能検定3級既存(技能検定)

出典は別紙15の別表3(11〜12頁)で、原文確認しました。表のうち、技能検定が指定されているのは3つの品目(ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、水産練り製品製造)だけです。残りは新設の評価試験になります。業種別の型として整理すると、次のように言えます。

  • 技能検定の系統(3品目): 技能実習と同じ、都道府県職業能力開発協会が実施する技能検定の基礎級・3級を使います。申請・受験日の勤務扱いなど、受験させる側の段取りは技能検定 基礎級の実技試験の準備と費用を参考にできます。3品目の具体的な実技の内容は、対象職種の試験情報で確認してください。
  • 新設の評価試験の系統(6品目と全般): 試験名は決まっていますが、試験の実施要領は今回確認できていません。内容・日程・申込方法は公表待ちです。
  • 終了時が特定技能1号評価試験になる系統(飲食料品製造業全般): 専門級の設定がなく、終了時の目標が特定技能1号の試験そのものです。

1年目・終了時・転籍時の3つの時点

飲食料品製造業分野で求められる試験の水準は、別紙15の第三1と3に定められています。

時点技能日本語
就労開始前要求なし日本語教育の参照枠のA1相当以上の試験合格、または認定日本語教育機関等でA1相当の講習の受講
開始後1年経過時まで(1年目試験)別表3の「1年経過時まで」の試験(上の表の3列目)A1相当以上
本人の意向による転籍時1年目の試験への合格A2.1相当以上
育成就労の終了時別表3の「育成就労終了まで」の試験(上の表の4列目)A2.2相当以上

転籍については、飲食料品製造業は転籍制限期間が2年とされています(別紙15 第三3(2))。理由として、HACCPの管理手法の習熟と、各種製造品目への適応力・応用力を身につけるために、同じ受入れ機関で2年間育成する必要があることが挙げられています。1年を超える制限期間を設けた受入企業には、1年目から2年目にかけて協議会が設定する昇給率で所定内賃金を引き上げることが求められます(同(3))。転籍の全体像は育成就労の転籍ルールで解説しています。

現行の特定技能の試験との関係

現在、飲食料品製造業の特定技能1号の技能試験は、農林水産省が選定した一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。出入国在留管理庁の「試験関係」ページには、「飲食料品製造業特定技能技能測定試験実施要領」(令和8年6月15日更新)が掲載されています。原文確認できた範囲で、関係を整理します。

確認できた事実出典
特定技能1号の技能水準は「別表1の飲食料品製造業特定技能1号評価試験」または「別表3の育成就労終了時の試験」のいずれか。育成就労を終えた人は、終了時の試験に合格していれば、特定技能1号の技能の要件を満たす構造になっています別紙15 第二1(1)ア
特定技能1号の日本語はA2.2相当以上。育成就労の終了時と同じ水準です別紙15 第二1(1)イ、第三1(3)イ
令和6年度の1号試験は、国内ではマークシート(ペーパーテスト)、国外ではCBTで実施。国内の受験料は8,000円(令和6年度の報告書の記載)令和6年度飲食料品製造業特定技能測定試験実施状況報告書
令和6年度の1号試験の合格率は48.1%。合格基準は学科・実技の合計得点の65%以上。試験水準は、実務経験が平均2年程度の人が、試験専用の準備をせずに受けて5割程度が合格する程度とされています同上(6、7)

注意が必要な点が2つあります。

  • 名称の違い: 別紙15は「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」、実施要領と報告書は「飲食料品製造業特定技能測定試験」と書いています。同じ試験体系を指す表記とみられますが、名称が改められたかどうかは今回確認できていません。
  • 1年目の試験は別物: 現行の特定技能の試験は「特定技能1号の技能水準」を測る試験です。育成就労の1年目に受けさせる初級の試験は、技能検定基礎級と同等の水準とされる別の試験で(試験の方針)、現行の特定技能の試験の合格が1年目の試験を代替するとは、確認できた原文に書かれていません。48.1%という合格率も、育成就労評価試験(初級)の合格率ではありません。

育成就労評価試験の実施機関がOTAFFと同じかどうかは、各品目の試験実施要領が公表されるまで確認できません。

試験の中身|公表されている範囲

育成就労評価試験の出題範囲・実技の内容は、今回確認できた公表資料にありません。確認できたのは、試験の方針(令和7年3月11日、法務省・厚生労働省)にある共通の枠組みだけです。

  • 初級は学科試験と実技試験で、専門級は実技試験(学科は任意)で実施します。
  • 学科はCBT方式またはペーパーテスト。実技は、製作等作業試験が原則で、困難な場合は判断等試験・計画立案等作業試験・実地試験も使えます。製作等作業試験では、材料の提供・貸与が必要になります。
  • 初級を日本語で実施する場合は、原則としてひらがな分かち書きにし、ヘボン式ローマ字を併記します。
  • 技能評価試験は国内で、監理支援機関または実施者の要請に応じて適切な場所で実施します。実施回数は、要請に応じて随時受験できるようにするのが基本です。

各品目の評価試験がこの枠組みのどれに当たるかは、試験実施要領の公表待ちです。技能検定を使う3品目の実技の内容は、今回確認できていません。基礎級の実技の段取りは別記事で扱います。

受入企業が準備すること

  1. 主たる技能を決めて、育成就労計画に書く。上の表のどの行になるかで、受けさせる試験が決まります。複数の品目を扱う工場は、1人ごとの主たる技能を決めておく必要があります。
  2. 主たる技能の要件を満たしているか確認する。農産物漬物製造を主たる技能とする場合、周年操業している施設であること、漬物製造管理士2級以上の有資格者が在籍していることなどが条件です(別紙15 第三4(3)①)。
  3. 受験の時間を労働時間として確保する。受験に要する時間は労働時間で、受験日を欠勤扱いにしたり、有給休暇を取らせた上で受験させたりすることは認められません(運用要領)。
  4. 実技の練習の場と材料を用意する。製作等作業試験の形式になる場合、普段の業務に近い作業を、試験の手順で練習できるようにします。材料費は試験の費用に含まれ、育成就労外国人に負担させられません。
  5. 受験の証拠を残す。受験させたことの証明資料(受験票の写し等)は、「育成就労計画の履行状況に関する管理簿」とともに実施者が保管します。合格証明書は保管せず、速やかに本人へ渡します(運用要領)。
  6. 報酬を下げない。受験料や監理支援費の負担を理由に、育成就労外国人の報酬の額を低くすることは許されません(運用要領)。

監理団体(監理支援機関)がやること

  1. 受入企業ごとの主たる技能の棚卸し。取り扱う受入企業が、どの行(試験の系統)に当たるかを一覧にします。3系統(技能検定・新設の評価試験・特定技能1号の試験)で、日程の調整先が変わります。
  2. 受験手続支援の申込。試験実施機関への取次ぎや合否結果の把握は、外国人技能実習機構(2027-04-01から外国人育成就労機構)が行います。その前提として、監理支援機関(単独型は実施者)からの申請と、育成就労外国人の同意が必要です(運用要領)。
  3. 申込時期を逃さない。1年目の試験は、認定を受けたら速やかに、遅くとも育成就労の開始から6か月後までに申し込みます。終了時の試験は、開始から1年後を目処に、遅くとも終了の12か月前までです(運用要領 第7章)。
  4. 会場と日程の調整。試験は、監理支援機関または実施者の要請に応じて、適切な場所で実施します。人数がまとまる品目では、受入企業をまとめて申し込む設計が考えられます。
  5. 不合格時の対応を決めておく。1年目の試験に不合格でも、実施者に2回目を受験させる義務はありません。ただし、再受験の機会を提供したかどうかは、優良な実施者の加点項目になっています(後述)。

費用の負担

運用要領には、次のように書かれています。「各種試験に要する費用(受験手数料、交通費、材料費等)については、育成就労外国人に負担させることとせず、育成就労実施者又は監理支援機関が負担しなければなりません」。

負担する側は「実施者または監理支援機関」で、両者の配分は規定されていません。監理支援費の内訳に算入できるかどうかも、今回確認できていません。受入企業と監理支援機関の間で、契約や費用の説明資料にどちらが持つかを書いておくのが実務上の対応です。

費用確認できたこと
育成就労評価試験の受験料未公表。公表待ち
技能検定基礎級・3級の受検手数料都道府県職業能力開発協会ごとに設定され、全国一律の額は確認できていません
(参考)現行の特定技能1号試験の受験料令和6年度の国内試験で8,000円(報告書の記載)。育成就労評価試験の受験料を示すものではありません
交通費・材料費実施者または監理支援機関の負担(運用要領)

優良要件の減点ラインとのつながり

1年目の試験と終了時の試験の合格率は、優良な育成就労実施者の項目Ⅰ(技能22点・日本語28点)に使われます。合格率が低いとマイナス点が付く仕組みで、1年目の試験の合格率には再受験の機会の提供も別に加点されます。配点と減点ラインの全体は優良な育成就労実施者の配点(項目Ⅰ)で解説しているため、ここでは再掲しません。技能実習生の技能検定等の実績は、技能側の項目に限って算入できます。

優良な監理支援機関についても、規則に「技能及び日本語能力の修得に係る実績」が評価項目として明記されていますが、配点・基準は令和8年8月版の運用要領で追ってお知らせとされています。

3年間の逆算スケジュール

育成就労の開始が2027-04-01だった場合を例にした目安です。実際の日程は、受入企業の入国・就労開始の日で決まります。

時期(例)やること根拠
就労開始前主たる技能を決める。日本語はA1相当の試験合格または講習の受講別紙15 第三1(1)
認定後すぐ〜開始から6か月後(2027-10)まで1年目の技能試験の受験手続支援を申し込む運用要領 第7章
開始後1年経過時まで(2028-04)1年目の技能試験を受験。日本語は、就労開始前にA1相当の試験に合格していない場合に受験。転籍を認める場合の技能・日本語の要件(A2.1)もここで確認別紙15 第三1(2)、3(1)
開始から1年後を目処に(2028-04前後)終了時の試験の受験手続支援を申し込み始める。遅くとも終了の12か月前(2029-04)まで。飲食料品製造業特定技能1号評価試験を受けさせる品目は、同試験が機構の受験手続支援の対象になるかが運用要領に明記されていないため、試験実施機関の案内で申込方法を確認する運用要領 第7章
2年目の終了まで転籍制限期間(2年)。待遇向上策として昇給別紙15 第三3(2)(3)
終了までに終了時の技能試験と、A2.2相当の日本語試験を受験別紙15 第三1(3)

日本語の要件

就労開始前がA1相当、1年経過時までがA1相当、転籍時がA2.1相当、終了時がA2.2相当です(別紙15 第三1・3)。時間数や講習の種類を含む全体像は育成就労の日本語要件、日本語の試験をいつ何回受けさせるかは育成就労の日本語試験はいつ・何回受けさせるかを参照してください。技能試験と日本語試験は別の実務として、進捗を分けて管理します(試験の進捗管理)。

よくある質問

飲食料品製造業の育成就労では、1年目にどの試験を受けさせますか。

主たる技能(品目)で決まります。品目を特定しない飲食料品製造業全般は「飲食料品製造業育成就労評価試験(初級)」、缶詰巻締・食鳥処理加工・牛豚食肉処理加工・惣菜製造・農産物漬物製造・水産加工は各品目の育成就労評価試験(初級)です。ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、水産練り製品製造は技能検定基礎級が指定されています(分野別運用方針 別紙15の別表3)。

育成就労の終了時には何の試験に合格する必要がありますか。

飲食料品製造業全般は「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」、缶詰巻締などの品目は各育成就労評価試験(専門級)、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、水産練り製品製造は技能検定3級が指定されています。ただし、実施者に義務づけられているのは受験させることで、合格させることではありません(運用要領)。

現行の特定技能の試験(外国人食品産業技能評価機構)に合格していれば、育成就労の試験は不要ですか。

今回確認できた範囲では、そう言える原文はありません。分野別運用方針は、特定技能1号の技能水準として「別表1の特定技能1号評価試験」または「別表3の育成就労終了時の試験」のいずれかを挙げていますが、育成就労の1年目試験を現行の特定技能の試験で代替できるとは書かれていません。育成就労評価試験の試験実施要領が公表された後に確認が必要です。

試験の費用は誰が負担しますか。

受験手数料・交通費・材料費は、育成就労外国人に負担させず、育成就労実施者または監理支援機関が負担しなければなりません(運用要領)。実施者と監理支援機関の配分は規定されていないため、契約や監理支援費の設計で決めておく必要があります。

育成就労評価試験の受験料や実施機関は決まっていますか。

2026-10-01時点で、飲食料品製造業の育成就労評価試験(初級・専門級)の受験料・実施機関・会場・開始日は、確認できた公表資料にありません。このため本記事では記載していません。公表され次第、更新します。

出典一覧

公表待ち・未確認の項目

  • 飲食料品製造業の育成就労評価試験(初級・専門級)の試験実施要領、実施機関、受験料、会場、回数、開始日は、確認できた公表資料にありません。育成就労制度の施行は2027-04-01です
  • 育成就労評価試験の実施機関が、現行の特定技能の試験の実施機関(OTAFF)と同じかどうかは未確認です
  • 別紙15の「特定技能1号評価試験」と実施要領の「特定技能測定試験」の名称の関係は未確認です
  • 飲食料品製造業分野の運用要領(分野別)は、2026-09-03時点で外国人技能実習機構の掲載に見当たらないと整理していました(分野別運用要領の公表状況)。公開前に再確認します
  • 技能検定基礎級・3級の受検手数料の全国額は未確認です

更新履歴

2026-10-01 公開。最終事実確認日:2026-10-01。育成就労評価試験の実施要領が公表され次第、試験の内容・受験料・実施機関を更新します。

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FRM
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FRM Journal 編集部
外国人材マネジメント専門メディア FRM Journal
監理団体・登録支援機関・受入企業の実務担当者に向けて、育成就労・特定技能・技能実習の制度解説と経営実務情報を発信しています。