結論|農業は耕種3区分・畜産3区分の計6技能ごとに「育成就労評価試験」を受けさせます。教育は1年目試験までの約12か月が山場で、派遣形態では派遣元・派遣先・監理支援機関の役割分担を先に決めます

  • 農業の業務区分は「耕種農業」と「畜産農業」の2つです。主たる技能は施設園芸・稲作畑作・果樹・養豚・家きん・養牛の6つで、分野別運用方針の別表3は、1年目を育成就労評価試験(初級)、終了時を同じ区分の育成就労評価試験(専門級)と定めています。技能検定は指定されていません。
  • 農業は労働者派遣等育成就労産業分野(農業・漁業の2分野)です。派遣形態では、派遣元も派遣先も育成就労実施者で、監理支援機関は両者で同一でなければなりません。試験を受けさせる義務と教育の段取りは、計画と派遣契約で「誰が担うか」を先に決めておく必要があります。
  • 日本語は、就労開始前にA1相当、本人意向の転籍時にA2.1相当、終了時にA2.2相当です。農業の転籍制限期間は1年で、建設・飲食料品製造業の2年より短く、1年目の教育の出来が定着にも関わります。
  • 受験させることは実施者の義務、合格させることは義務ではありません。費用は実施者または監理支援機関が負担し、配分は規定されていません。受験に要する時間は労働時間であり、受験日を欠勤扱いや年次有給休暇扱いにはできません。評価試験の実施機関・受験料・出題内容・開始日は公表待ちで、本文2の囲みにまとめています。

根拠:出入国在留管理庁ほか「農業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙13)」第三1・3・4、別表3、「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」第4章第5・第15(最終確認日:2026-10-01)

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農業は、育成就労の分野別運用方針で令和9年度からの2年間に2万6,300人の受入れ見込数が置かれた分野です(別紙13 第一2(4)ウ)。受入企業の人事・現場責任者と監理支援機関の担当者が最初に押さえたいのは、「うちの受入れは6つの主たる技能のどれか」「直接雇用か派遣形態か」「教育と試験の準備を誰が持つか」の3点です。農業は季節で作業の繁閑が大きく、1年目試験までに栽培や飼養の一連の流れを経験させられるかどうかが、そのまま教育計画の出来になります。

本記事は、受験者本人の対策ではなく、受けさせる側(受入企業・派遣元・派遣先・監理支援機関)の準備と教育に絞って整理します。分野別運用方針の全体像は育成就労の対象分野一覧、17分野の試験の比較は育成就労の技能試験 17分野一覧で扱っています。

農業で受けさせる試験(1年目・終了時・転籍時)

別紙13の第三1・3が定める、時点ごとの水準は次のとおりです。就労開始前に技能の試験は求められず、日本語だけが対象です。

時点技能日本語
就労開始前要求なしA1相当以上の試験に合格、または認定日本語教育機関等でA1相当の講習を受講
開始後1年経過時まで別表3のc欄(育成就労評価試験(初級)、区分別)A1相当以上(合格済みなら再受験は不要)
本人意向の転籍時別表3のc欄に合格していることA2.1相当以上
育成就労の終了まで別表3のd欄(育成就労評価試験(専門級)、区分別)A2.2相当以上

農業の転籍制限期間は1年です(別紙13 第三3(2))。転籍の仕組み全体は育成就労の転籍ルールで整理しています。

業務区分ごとの試験(別表3)

別表3は、2つの業務区分に6つの主たる技能を置き、技能ごとに別々の評価試験を指定しています。6つとも新設の試験で、既存の技能検定ではありません。

業務区分主たる技能1年目の試験終了時の試験
耕種農業施設園芸育成就労評価試験(初級)(施設園芸)育成就労評価試験(専門級)(施設園芸)
稲作・畑作育成就労評価試験(初級)(稲作・畑作)育成就労評価試験(専門級)(稲作・畑作)
果樹育成就労評価試験(初級)(果樹)育成就労評価試験(専門級)(果樹)
畜産農業養豚育成就労評価試験(初級)(養豚)育成就労評価試験(専門級)(養豚)
家きん育成就労評価試験(初級)(家きん)育成就労評価試験(専門級)(家きん)
養牛育成就労評価試験(初級)(養牛)育成就労評価試験(専門級)(養牛)

出典:別紙13 別表3(令和8年1月23日閣議決定のPDFを原文で確認。確認日:2026-10-01)。従事できる業務は、耕種農業が「栽培管理及び農産物の集出荷・選別等」、畜産農業が「飼養管理及び畜産物の集出荷・選別等」(別表1)です

運用要領は、育成就労の目標として設定できる技能試験を、分野別運用方針に書かれた試験に限っています。農業では終了時の目標は主たる技能に対応する専門級になります。同じ業務区分内であれば、転籍先で主たる技能を変更することも可能ですが、運用要領は技能修得の観点から転籍の前後で変えないことを勧めています(運用要領4-55〜4-56頁)。

別表3のd欄の試験に合格し、日本語A2.2相当に合格していれば、特定技能1号の技能水準にも該当します(別紙13 第二1(1)ア②)。特定技能1号の農業の試験は、耕種農業全般・畜産農業全般の2区分です(別表1)。

試験の中身(公表されている範囲だけ)

全分野共通の作り(試験の方針)

  • 水準:初級は技能検定基礎級と同等の水準、専門級は技能検定3級と同等の水準を設定します。
  • 科目:初級は学科試験と実技試験、専門級は実技試験(学科は任意)です。
  • 方式:学科はCBTまたはペーパーテスト。実技は製作等作業試験が原則ですが、困難な場合は判断等試験・計画立案等作業試験・実地試験も可能とされています。農業でどの方式になるかは公表待ちです。
  • 言語:初級を日本語で実施する場合は、原則としてひらがなの分かち書きにヘボン式ローマ字を併記します。
  • 場所:国内で、監理支援機関または育成就労実施者の要請に応じた適切な場所で実施します。

出典:法務省・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」第2-2、第4(令和7年3月11日。確認日:2026-10-01)

参考:現行の特定技能1号の農業試験(育成就労評価試験ではありません)

全国農業会議所が実施する「1号農業技能測定試験」(耕種・畜産)は、令和6年度の報告書で、国内でCBT方式・判断等試験、受験料8,000円、水準は「日本国内での実務経験が3年以上の者であれば7割程度が合格する水準(技能実習の農業技能実習評価試験(専門級)と同等程度)」とされています。育成就労評価試験(初級)は基礎級と同等の水準を設定する方針のため、この1号試験とは水準も範囲も別物です。1号試験の合格率や受験料を、育成就労評価試験の見込みとして使わないでください。

公表状況(2026-10-01時点)|農業の育成就労評価試験は、実施要領が未公表です

  • 公表待ち:育成就労評価試験(初級・専門級)の試験実施要領、実施機関、受験料、出題内容、実技の形式、会場、開始日。出入国在留管理庁の「試験関係」ページ(2026-10-01確認)で農業の行に掲載されているのは「1号農業技能測定試験」「2号農業技能測定試験」の実施要領のみで、育成就労評価試験のものはありません。
  • 実施機関の見込み:現行の特定技能試験の実施主体は全国農業会議所ですが、育成就労評価試験も同じ機関が担うかは確認できていません。
  • 検討状況:農林水産省は、2026-06-25の農業育成就労協議会運営委員会で「分野別運用要領」や「試験方針」等について検討中と説明しています(議事要旨)。
  • 分野別運用要領:外国人技能実習機構「分野別の情報」ページの農業の行には、2026-10-01時点で運用要領のリンクがなく、分野別運用方針と上乗せ基準告示(農林水産省告示第648号)だけが掲載されています。派遣元の要件にある「関連する業務」の具体は、分野ごとの運用要領別冊を参照することになっています。
  • 今回確認できなかった項目:農業の育成就労評価試験の合格率の見込み、派遣先ごとの試験日程の調整に関する取扱い。

公表され次第、この囲みを差し替えます。確認先:17分野一覧/出入国在留管理庁「試験関係」/外国人技能実習機構「分野別の情報」/農林水産省「在留資格「育成就労」について(農業分野)」

監理支援機関・派遣元・派遣先の役割(労働者派遣の形態)

農業は、冬場に農作業ができないこと、同じ地域でも作目によって収穫や定植のピークが違うことから、直接雇用に加えて労働者派遣の形態が認められています(別紙13 第三4(2))。派遣形態の基本ルールは次のとおりです。

  • 3者の位置づけ:派遣元事業主(労働者派遣事業者)は監理支援機関ではなく育成就労実施者で、派遣先も育成就労実施者です。監理支援機関は両者で同一でなければならず、派遣形態は監理型のみ(単独型は不可)です(運用要領4-144〜4-145頁)。
  • 就労先の数:派遣元の事業所でも就労する形態では派遣先は1〜2者、派遣元では就労せず複数の派遣先で就労する形態では2〜3者です。就労先は2者以上3者までで、1つの派遣先だけは認められません(同4-151頁)。
  • 同じ組合せで3年間:3年間の計画を派遣元と派遣先が共同で作成して共同で実施するため、同じ派遣元・派遣先での就労を3年間続けます。やむを得ず派遣先を変える場合は、新しい計画の認定が必要です。業務区分は、派遣元・派遣先とも同一でなければなりません(同4-149、4-151頁)。
  • 1年間で一連の必須業務:月ごとの時間配分が著しく不均衡な計画は認められず、1年間で一連の必須業務に従事させることが必要です(同4-151頁)。
  • 派遣元の要件:農業現場の実情を把握し、受入れを適正かつ確実に遂行する能力があること(別紙13)。さらに、農業関連の業務を行っている者、自治体等が出資・関与している者、国家戦略特区の特定機関のいずれかで、所管省庁との協議で適当と認められることが必要です(運用要領4-149〜4-150頁)。
  • 派遣先の要件:労働者を6か月以上継続して雇用した経験がある者、または派遣先責任者講習等を受講した者を派遣先責任者に選任している者(農林水産省告示第4条)。派遣先責任者講習は、計画の認定日から過去3年以内の受講が必要です(運用要領4-150〜4-151頁)。

試験と教育に絡む役割を、運用要領の範囲で整理すると次のとおりです。「規定なし」と書いた行は、運用要領に配分が書かれていない項目で、計画と派遣契約で決める事項です。

項目派遣元(雇用主・実施者)派遣先(実施者)監理支援機関
育成就労計画共同で作成。派遣元が計画本体(様式第1号第2面)をまとめる共同で作成。派遣先ごとの別紙(参考様式第1-34号)を作成計画の作成を指導
入国後講習(農作業安全を含む)——実施者(または委託先)。農業は農作業安全の指導者等による講習を受講させる
現場の体制育成就労責任者、事業所に応じた指導員・生活相談員育成就労指導員・生活相談員の基準に適合。派遣先責任者(講習受講)派遣元・派遣先への監査等の監理
1年目試験・目標試験を受けさせる義務実施者の義務(派遣元と派遣先の分担は規定なし)実施者の義務(同左)受験手続支援を機構へ申請(本人の同意が前提)
受験費用・移動費実施者または監理支援機関が負担(配分は規定なし。事前に調整)同左同左
受験日の勤務労働時間として扱う。欠勤・有給にできない派遣先の工程にも関わるため、受験日をシフトに組む(編集部の整理)日程と会場の調整
休業時の手当派遣先の責めによる休業でも平均賃金の60%以上相当を支払う旨を雇用契約に定める派遣契約で、その額を派遣元へ支払う旨を定める—

出典:運用要領 第2章第1(4-40〜4-41頁)、第5(4-55〜4-58頁)、第15(4-144〜4-158頁)、別紙13 第三4(3)イ、農林水産省告示第648号第1条・第4条(確認日:2026-10-01)

派遣料金は、派遣元が負担する賃金・社会保険料のほか事務費等に限るのが相当とされ、外国人のマージン率が他の派遣労働者の平均を上回る場合は、監理支援費等の内訳など合理的な理由が求められます(運用要領4-153頁)。試験や教育の費用を派遣料金や監理費に載せる場合は、この説明がつくように設計します。

受入企業(直接雇用の実施者・派遣先)がやること

  • 6技能のどれで受け入れるかを決める:誰を、耕種または畜産のどの主たる技能で受け入れるかを決め、1年目と終了時の試験を一覧にします。派遣形態では、派遣元・派遣先とも同じ業務区分である必要があります。
  • 農業育成就労協議会の構成員になる:在留諸申請の際に、協議会の構成員であることを明らかにする書類が必要です。農林水産省は2026-06-25に協議会を設置しました。加入後は協議会の活動への協力義務があります(農林水産省の案内、告示第2条)。
  • 労働時間は労働基準法に準拠させる:農業は労働基準法41条(農業等の労働時間・休憩・休日の適用除外)の対象になる分野ですが、育成就労外国人にはこれを適用せず、労働時間・休日・休憩・割増賃金を労働基準法に準拠させる条件が付いています(別紙13 第三4(3)ア①、告示第3条)。農繁期でも試験日や学習時間を勤務に組み込めるよう、シフトを先に設計します。
  • 責任者を整える:直接雇用の実施者は、労働者を6か月以上継続して雇用した経験またはこれに準ずる経験が必要です(告示第1条)。派遣先は上記の要件(6か月以上の雇用経験、または派遣先責任者講習の受講)を満たします。
  • 評価試験の準備物は、実施要領の公表後に確定する:実技の課題や使う機械・施設・家畜が未公表のため、試験のための設備の購入や増設は公表前に決めません。現場で練習できる作業の洗い出しまでにとどめます。
  • 受験の証明を保管する:受験票の写し等を「育成就労計画の履行状況に関する管理簿」(参考様式第4-2号)とともに保管します。合格証明書面は保管せず、速やかに本人に渡します。
  • 不合格のときの方針を決めておく:1年目試験に不合格でも2回目を受験させる義務はありませんが、再受験の機会提供は優良要件の加点項目です。誰の費用で、いつ再受験させるかを先に決めます。

監理支援機関がやること

  • 受験手続支援の申請:外国人育成就労機構(2027-04-01に外国人技能実習機構から改称)が、監理支援機関の申請に基づき、試験実施機関への取次ぎや合否結果の把握を行います。あらかじめ本人の同意が必要です。
  • 申込時期を守る:1年経過時までの試験は、認定を受けたら速やかに、遅くとも育成就労開始から6か月後までに申し込みます。終了時までの試験は、開始から1年後を目処に、遅くとも終了の12か月前までです。
  • 派遣元・派遣先の両方を監理する:派遣形態では、派遣元と派遣先の双方に対して監査等の監理を行います。派遣先で問題が疑われた場合、派遣元は派遣契約に基づく調査や派遣の中止を、他の派遣先は申入れや監理支援機関への調査依頼をすることが「必要かつ可能な措置」の例として示されています(運用要領4-169〜4-170頁)。
  • 派遣契約と計画の整合を確認する:休業手当、移動・転居費用の負担、マージン率の説明が、計画と契約で揃っているかを見ます。
  • 受入企業ごとの区分表を持つ:誰がどの技能で、1年目と終了時の試験がいつかを一覧にします。進捗の持ち方は技能試験・日本語試験の進捗管理で整理しています。
  • 優良な監理支援機関の評価:技能・日本語の修得実績は規則の評価項目に挙げられていますが、配点・基準は運用要領で未公表です。

技能の教育の進め方(1年目試験まで)

育成就労は、合格させる義務はなくても、1年目試験の合格率に減点ラインがあります。合格率を上げる教育を、時期の順に組みます。以下のうち、入国後講習・体制・教材は公的資料に基づく内容、練習の組み方は編集部の整理(一般的な手法)です。

  1. 入国後講習で土台をつくる(入国直後):入国後講習は、日本語、生活一般の知識、法的保護科目(8時間以上)、技能の修得に資する知識の4科目で、業務に従事する前に座学で行います。農業では、農作業安全に関する指導者等による講習を受講させることが条件です(別紙13 第三4(3)イ、告示第1条)。農林水産省は、入国後講習(農作業安全講習)で押さえるポイントをまとめたリーフレットを作成し、全国農業会議所が労働安全衛生テキストを作成予定と説明しています(2026-08-31の運営委員会議事要旨)。なお、入国後講習では、模擬的な作業の実践やヘルメット着脱・避難訓練は認められないため、作業の安全指導は就労開始後の現場で行います。
  2. 現場の作業指導(OJT)を主たる技能に結びつける:育成就労計画に沿って、主たる技能の修得に必要な業務に計画的に従事させます(別紙13 第三2)。耕種なら栽培管理と集出荷・選別等、畜産なら飼養管理と集出荷・選別等が、従事できる業務です。作業名ごとに「誰が、いつ、どこで教えるか」を一覧にし、季節で経験できない作業が出る場合は、派遣先の組合せや月ごとの配分で1年間に一連の作業を経験できるようにします。
  3. 学科は、ひらがな分かち書きの形で慣れておく:初級を日本語で実施する場合は、平仮名の分かち書き+ヘボン式ローマ字併記が原則です。教える側も、作業の説明や用語を、同じ形で見せられる教材にしておくと、受験時の読み取りの負担が減ります(編集部の整理)。
  4. 公開されている教材を使う:全国農業会議所が公開する「農業技能測定試験 学習用テキスト」(耕種農業・畜産農業・日本語。試験範囲に準拠。多言語。サンプル問題あり)、同会議所のeラーニング「日本の農業をまなぼう」(登録制)、厚生労働省の外国人労働者向け教材「安全に農作業をするために」(ひらがな表記)、農林水産省の農作業安全リーフレット(外国語版)があります。ただし、農業技能測定試験のテキストは特定技能1号試験用で、育成就労評価試験(初級)の出題範囲との対応は公表されていません。水準も1号のほうが高いため、初級の学習には難しい部分が含まれる可能性があります(編集部の整理)。公式の初級用の教材・サンプル問題は公表待ちです。
  5. 練習の時間と節目をつくる:試験前に学科の学習と、実技の復習の時間を、勤務のなかで確保します。月に1回など、作業の習熟を確認する節目を決めて記録しておくと、受験の時期の判断に使えます。学習時間を労働時間として扱うかどうかは、運用要領で今回確認できていないため、雇用条件で明確にしておきます。
  6. 安全衛生教育と資格・講習を並行させる:農業分野の育成・キャリア形成プログラム(農業育成就労協議会決定第3号、2026-06-25)は、育成就労の期間に、安全・衛生教育のほか、普通自動車運転免許、大型特殊免許、ショベルローダー等運転技能講習、フォークリフト運転技能講習、車両系建設機械運転技能講習等を例に挙げています。受入れ予定の作業に必要なものだけを選びます。

日本語の教育

農業の別紙13には、日本語について分野固有の上乗せ基準の記載は確認できず、共通の3時点(開始前A1相当、転籍時A2.1相当、終了時A2.2相当)が適用されます。農業の育成・キャリア形成プログラムも、A1相当以上、A2.2相当以上、B1相当以上(特定技能2号)の目安を示しています。

  • 開始前〜入国後:A1相当の試験に合格していない場合、入国後講習の日本語科目で、認定日本語教育機関の「就労のための課程」による講習を100時間以上受講します(運用要領4-43〜4-44頁)。詳細はA1講習100時間の要件で整理しています。
  • 1年目:1年目までにA1相当の試験を受けさせます(開始前に合格済みなら不要)。この時期は、作業指示・安全・体調の訴えなど、現場で毎日使う言葉を優先します。
  • 転籍の要件:本人意向の転籍にはA2.1相当の合格が必要ですが、転籍制限期間までにA1を超える水準の日本語試験を受験させる義務はありません(運用要領4-56〜4-57頁)。農業は転籍制限が1年のため、A2.1の学習を2年目に持ち越すか、1年目から始めるかを、受入れ前に決めておきます。
  • 終了時:A2.2相当の日本語試験を目標として受験させる義務があります。講習の義務と費用はA2目標講習の義務と費用、試験の頻度は育成就労の日本語試験はいつ・何回受けさせるかで整理しています。

現場での教え方:農業分野の行動規範(農業育成就労協議会決定第2号)は、実施者に「やさしい日本語」を用いるなど適切なコミュニケーションを図るよう求めています。作業名・道具名・家畜や作物の状態を表す言葉は、実物や写真と組み合わせて教える方法が一般的です(編集部の整理)。日本語が通じず現場が回らないときの対応は日本語ができない実習生への対応、日本語要件の全体像は育成就労の日本語要件にまとめています。

費用は誰が負担するか

運用要領は、各種試験に要する費用(受験手数料・交通費・材料費等)を、育成就労外国人に負担させず、育成就労実施者または監理支援機関が負担しなければならないとしています。実施者と監理支援機関のどちらが最終的に負担するか、派遣形態で派遣元と派遣先のどちらが負担するかの配分は、運用要領に書かれていません。契約や監理費の設計で決める事項で、監理費の内訳に算入できるかどうかも今回は確認できていません。

派遣形態では、就労先間の移動や転居の費用も、実施者または監理支援機関が負担します。負担者の指定はないため、あらかじめ実施者と監理支援機関の間で調整して明確にするよう、運用要領が求めています(4-156頁)。また、受験料や監理支援費などの負担を理由に報酬を低くすることは許されません(4-91頁)。評価試験の受験料は公表待ちのため、予算は「公表後に確定」として枠だけ確保します。

優良要件の減点ラインとの関係

1年目試験(基礎級程度)の合格率が75%未満、終了時の目標技能試験の合格率が50%未満だと、優良な育成就労実施者の項目Ⅰで減点になります。配点の内訳、合格率の分母の数え方、技能実習の実績の持ち越しは、優良な育成就労実施者の配点(項目Ⅰ)で扱っています。派遣形態で、この合格率を派遣元と派遣先のどちらの実績として数えるかは、今回の確認範囲では確認できていません。

3年間の逆算スケジュール

育成就労の開始月を0か月として、運用要領の記載から組み立てた目安です。試験の開催日は未公表のため、「いつまでに申し込むか」を中心に置いています。

時期(開始月から)技能・教育日本語
開始前技能の試験は要求なし。区分表と派遣の組合せを決める。協議会に加入するA1相当の試験合格、または講習の受講
入国直後入国後講習(農作業安全を含む)。座学のみ入国後講習の日本語科目
認定後〜6か月以内1年目試験の受験支援を申し込む(遅くとも6か月後まで)。OJTと学科の学習現場の言葉を優先
12か月まで育成就労評価試験(初級)を受験。一連の作業を1年間で経験させるA1相当(合格済みなら不要)
約12か月終了時試験の申込準備を始める目処。農業は転籍制限期間が終わる時期A2.1(転籍の要件)の準備
24か月まで(終了の12か月前)終了時試験の申込期限の目処(機構の支援の対象かは運用要領に明記なし。試験実施機関の案内で確認)A2.2に向けた学習
36か月(終了)まで育成就労評価試験(専門級)を受験A2.2相当を受験

派遣形態では、同じ派遣元・派遣先で3年間続けるため、このスケジュールを3者で共有し、受験日と就労先の繁忙期が重ならないよう、計画の段階で調整しておきます。

逆算表と準備物の確認欄を、紙1枚で持っておく

受験時期の逆算表、実技の準備物の確認欄、費用負担の確認欄(実施者・監理支援機関・未定)、日本語の要件をまとめたチェックリストです。派遣形態の3者で同じ表を見ながら分担を決められます。

よくある質問

農業の育成就労では、技能検定と育成就労評価試験のどちらを受けさせますか?

育成就労評価試験です。分野別運用方針の別表3は、耕種農業(施設園芸・稲作畑作・果樹)と畜産農業(養豚・家きん・養牛)の6つの主たる技能について、1年目を育成就労評価試験(初級)、終了時を同区分の育成就労評価試験(専門級)と定めています。技能検定は指定されていません。

労働者派遣の形態では、派遣元と派遣先のどちらが試験を受けさせる義務を負いますか?

運用要領は、1年目の試験と育成就労の目標となる試験を受験させる義務を育成就労実施者に課しています。派遣形態では派遣元も派遣先も育成就労実施者ですが、両者の間の分担は運用要領に書かれていません。計画と派遣契約で、受験の申込み、費用、受験日のシフト、教育の担当を先に決めておきます。

農業の育成就労評価試験の実施機関や受験料は決まっていますか?

2026-10-01時点で、出入国在留管理庁の試験関係ページに掲載されている農業の実施要領は特定技能の1号・2号試験のみで、育成就労評価試験の実施機関・受験料・出題内容・開始日は公表待ちです。現行の特定技能試験の実施主体は全国農業会議所ですが、育成就労評価試験も同じ機関が担うかは確認できていません。

農業の転籍制限期間は何年ですか?

1年です。建設や飲食料品製造業の2年より短くなっています。本人意向の転籍には、1年目の育成就労評価試験(初級)の合格とA2.1相当の日本語の合格が必要です。1年目の教育の出来が、定着にも関わります。

更新履歴

更新履歴:2026-10-01 初版公開(別紙13 別表3、農林水産省告示第648号、運用要領、試験の方針、農業育成就労協議会の公表資料を原文で確認)。公表待ちの項目は、本文2の「公表状況」の囲みにまとめています。

出典一覧

この記事の確認情報

公開日:2026-10-01/最終事実確認日:2026-10-01/編集・事実確認:FRM Journal編集部

本記事は制度の一般的な説明であり、報酬を得て業として官公署に提出する書類を作成すること等には行政書士法その他の法令による制限があります。当編集部は個別の申請書の作成・添削・記載内容の判断を行いません。個別案件については行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。内容の誤りや更新漏れは編集部へ訂正をご連絡ください。

FRM
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FRM Journal 編集部
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