結論|建設の1年目試験は「技能検定基礎級」が41件、「育成就労評価試験(初級)」が14件。評価試験の実施機関・実施要領は公表待ちです

  • 建設分野の育成就労では、業務区分(土木・建築・ライフライン・設備)ごとの主たる技能に応じて、1年目の試験が決まります。分野別運用方針の別表3では、55行のうち41行が技能検定基礎級、14行が育成就労評価試験(初級)です(型枠・鉄筋・とび・左官などは基礎級、建設機械施工・溶接・管路更生・鉄筋継手(圧接)・電気設備施工は評価試験)。
  • 育成就労の終了時は、技能検定3級または各育成就労評価試験(専門級)です。日本語は就労開始前にA1相当、終了時にA2.2相当、本人意向の転籍にはA2.1相当が求められます。
  • 育成就労評価試験は、2026-10-01時点で試験実施要領・実施機関・受験料・実技の内容が公表待ちです。技能検定基礎級は既存の仕組みなので、対象職種と実技の準備物の確認から先に始められます。申込方法・日程は実施機関の最新の案内を確認してください。
  • 受験させることは実施者の義務、合格させることは義務ではありません。受験費用(手数料・交通費・材料費)は実施者または監理支援機関が負担し、配分は規定されていません。受験に要する時間は労働時間であり、受験日を欠勤扱いや年次有給休暇扱いにはできません。

根拠:出入国在留管理庁ほか「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙5)」第三1・別表3、「育成就労制度運用要領(令和8年8月版)」第4章第5(最終確認日:2026-10-01)

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建設は、育成就労の分野別運用方針で令和9年度からの2年間に12万3,500人の受入れ見込数が置かれた、17分野の中で最大の分野です(別紙5 第一2(4)ウ)。受入企業の人事・現場責任者と監理支援機関の担当者にとっては、「うちの受入予定の技能は、基礎級なのか、新しい評価試験なのか」を最初に確認しておく必要があります。同じ建設でも、土木・建築・ライフライン・設備のどの技能で受け入れるかで、1年目に受ける試験の種類が変わるためです。

本記事は、受験者本人の対策ではなく、受験させる側(受入企業・監理支援機関)の準備に絞って整理します。建設業許可、建設キャリアアップシステム、報酬水準など建設分野の上乗せ基準は、建設分野の上乗せ基準と運用方針の要点で解説しているため、ここでは繰り返しません。

建設で受けさせる試験(1年目・終了時・転籍時)

別紙5の第三1・3が定める、時点ごとの水準は次のとおりです。就労開始前に技能の試験は求められず、日本語だけが対象です。

時点技能日本語
就労開始前要求なしA1相当以上の試験に合格、または認定日本語教育機関等でA1相当の講習を受講
開始後1年経過時まで別表3のc欄(技能検定基礎級、または育成就労評価試験(初級))A1相当以上(合格済みなら再受験は不要)
本人意向の転籍時別表3のc欄に合格していることA2.1相当以上
育成就労の終了まで別表3のd欄(技能検定3級、または育成就労評価試験(専門級))A2.2相当以上

建設は転籍制限期間が2年と定められています(別紙5 第三3(2))。1年目試験に合格しても、直ちに転籍できるわけではありません。転籍の仕組み全体は育成就労の転籍ルールで整理しています。

業務区分ごとの試験区分(別表3の集計)

別表3は、業務区分ごとに「主たる技能」を並べ、1年経過時までの水準(c欄)と終了までの水準(d欄)を定めています。同じ技能が複数の業務区分に載るため、行数は重複を含めた数です。

業務区分主たる技能の行数1年目: 技能検定基礎級1年目: 育成就労評価試験(初級)
土木18108
建築28253
ライフライン・設備963
合計554114

集計:別紙5 別表3(令和8年1月23日閣議決定のPDFを原文で確認し、編集部が行数を数えたもの。確認日:2026-10-01)

育成就労評価試験(初級)が指定されている技能

次の技能は、1年目が育成就労評価試験(初級)、終了時が同名の育成就労評価試験(専門級)です。いずれも既存の技能検定ではなく、新設の試験です。

主たる技能該当する業務区分
建設機械施工(押土・整地/積込み/掘削/締固めの4種)土木
溶接(手溶接/半自動溶接)土木・建築・ライフライン・設備
管路更生土木
鉄筋継手(圧接)土木・建築
電気設備施工ライフライン・設備

技能検定基礎級が指定されている技能

次の技能は、1年目が技能検定基礎級、終了時が技能検定3級です(別表3のc欄・d欄。技能検定の職種名で記載)。

業務区分技能検定の職種(基礎級→3級)
土木さく井(パーカッション式・ロータリー式)/型枠施工/鉄筋施工/とび/コンクリート圧送施工/ウェルポイント施工/鉄工(構造物鉄工)/塗装(建築塗装・鋼橋塗装)
建築建築板金(内外装・ダクト)/建具製作(木製建具手加工)/建築大工/型枠施工/鉄筋施工/とび/石材施工(石材加工・石張り)/タイル張り/かわらぶき/左官/内装仕上げ施工(プラスチック系床・カーペット系床・鋼製下地・ボード仕上げ・カーテン)/表装(壁装)/サッシ施工(ビル用)/防水施工(シーリング)/コンクリート圧送施工/築炉/鉄工/塗装(建築塗装・鋼橋塗装)
ライフライン・設備建築板金(内外装・ダクト)/冷凍空気調和機器施工/配管(建築配管・プラント配管)/熱絶縁施工(保温保冷工事)

特定技能の建設分野には、このほかに「建設分野特定技能1号評価試験」がありますが、育成就労の別表3のd欄(終了時)に特定技能1号評価試験は並んでいません。建設では、終了時の目標は技能検定3級または育成就労評価試験(専門級)のどちらかです。なお、別表3のd欄の試験に合格し、日本語A2.2相当に合格していれば、特定技能1号の技能水準にも該当します(別紙5 第二1(1)ア②)。

試験の中身(公表されている範囲だけ)

技能検定基礎級

既存の仕組みです。厚生労働省の公表では、令和7年度の技能検定基礎級(技能実習生対象)は受検申請者82,498人、合格者73,185人、合格率88.7%でした。これは全職種の数値で、建設分野・職種別の合格率は今回確認できていません。受検手数料は都道府県ごとに設定されており、全国額も確認できていません。

育成就労評価試験(初級・専門級)

  • 全分野共通の作り(試験の方針):初級は学科試験と実技試験、専門級は実技試験(学科は任意)で実施します。実技は製作等作業試験が原則です。初級を日本語で実施する場合は、原則としてひらがな分かち書きにヘボン式ローマ字を併記します(法務省・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」第2-2・第4)。
  • 建設の実施機関・実施要領・受験料・実技の課題・開始日:公表待ちです。出入国在留管理庁の「試験関係」ページ(2026-10-01確認)には、建設分野で掲載されている実施要領は特定技能1号・2号評価試験のみで、育成就労評価試験のものはありません。
  • 参考として、現行の建設分野特定技能1号評価試験の合格率は約39%(令和6年度12月時点。同分野の実施状況報告書)です。これは特定技能1号の実績で、育成就労評価試験(初級)の合格率を示すものではありません。

育成就労制度は2027-04-01に施行されますが、建設分野の育成就労評価試験の具体的な開始時期は確認できていません。具体的な試験日程は、実施要領の公表後に追記します。

受入企業が準備すること

  • 受入予定の技能を別表3の行に当てはめる:誰を、どの業務区分のどの主たる技能で受け入れるかを決め、1年目が基礎級か評価試験(初級)か、終了時が3級か専門級かを一覧にします。同じ技能でも土木と建築の両方に載るものがあるため、育成就労計画の業務区分と合わせて確認します。
  • 基礎級の技能は、実技の準備物を早めに洗い出す:技能検定は製作等の実技を伴う職種が多く、材料・工具・作業場所の手配が要ります。具体的な準備は技能検定基礎級の実技試験の準備と費用で整理しています。
  • 評価試験の技能は「公表待ち」を前提に動く:実技の課題や使用機材が未公表のため、建設機械・溶接・電気設備などは、現場での練習時間の確保と、実施要領が出た時点で準備物を確定できる段取りにとどめます。実施要領の公表前に、設備や機材を購入・増設する判断はしないでください。
  • 受験に要する時間を労働時間として扱う:欠勤扱いにしたり、有給休暇を取得させて受験させたりすることは認められません。受験日の勤務シフトを現場の工程に組み込みます。
  • 受験の証明を保管する:受験票の写し等を「育成就労計画の履行状況に関する管理簿」(参考様式第4-2号)とともに保管します。合格証明書面は保管せず、速やかに本人に渡します。
  • 不合格のときの方針を決めておく:1年目試験に不合格でも2回目を受験させる義務はありませんが、再受験の機会提供は優良要件の加点項目です。誰の費用で、いつ再受験させるかを先に決めます。

監理支援機関がやること

  • 受験手続支援の申請:外国人育成就労機構(2027-04-01に外国人技能実習機構から改称)が、監理支援機関(単独型は実施者)の申請に基づき、試験実施機関への取次ぎや合否結果の把握を行います。あらかじめ育成就労外国人本人の同意が必要です。
  • 申込時期を守る:1年経過時までの試験は、認定を受けたら速やかに、遅くとも育成就労開始から6か月後までに申し込みます。終了時までの試験は、開始から1年後を目処に、遅くとも終了の12か月前までです。
  • 日程と会場の調整:技能評価試験は国内で、監理支援機関または実施者の要請に応じた適切な場所で実施するとされています。随時の受験を基本とする方針です。
  • 受入企業ごとの区分表を持つ:受入企業ごとに、誰がどの技能で、基礎級か評価試験かを一覧にし、合否と再受験の予定を記録します。進捗の持ち方は技能試験・日本語試験の進捗管理で整理しています。
  • 優良な監理支援機関の評価:技能・日本語の修得実績は、規則の評価項目に挙げられていますが、配点・基準は運用要領で未公表です。

費用は誰が負担するか

運用要領は、各種試験に要する費用(受験手数料・交通費・材料費等)を、育成就労外国人に負担させず、育成就労実施者または監理支援機関が負担しなければならないとしています。実施者と監理支援機関のどちらが最終的に負担するかの配分は、運用要領に書かれていません。契約や監理費の設計で決める事項です。監理費の内訳に算入できるかどうかも、今回は確認できていません。

また、受験料や監理支援費などの負担を理由に、育成就労外国人の報酬を低くすることは許されません(運用要領4-91頁)。技能検定基礎級の手数料は都道府県の職業能力開発協会ごと、育成就労評価試験の受験料は未公表のため、予算は「基礎級は協会ごとの手数料、評価試験は公表待ち」と分けて置くのが現実的です。材料費は、製作等作業試験で試験側が材料を提供または貸与する場合がありますが、誰がどこまで用意するかは、試験の実施要領で確認します。

優良要件の減点ラインとの関係

1年目試験(基礎級程度)の合格率が75%未満、終了時の目標技能試験の合格率が50%未満だと、優良な育成就労実施者の項目Ⅰで減点になります。配点の内訳、合格率の分母の数え方、技能実習の実績の持ち越しは、優良な育成就労実施者の配点(項目Ⅰ)で扱っています。建設は受入人数枠が大きい分野のため、試験の合格率の管理は、受入枠の拡大にも関わります。

3年間の逆算スケジュール

育成就労の開始月を0か月として、運用要領の記載から組み立てた目安です。試験の開催日そのものは未公表のため、「いつまでに申し込むか」を中心に置いています。

時期(開始月から)技能日本語
開始前(要求なし)。技能の区分表を作るA1相当の試験合格、または講習の受講
認定後〜6か月以内1年目試験の受験支援を申し込む(遅くとも6か月後まで)—
12か月まで基礎級または育成就労評価試験(初級)を受験A1相当(合格済みなら不要)
約12か月終了時試験の受験支援の申込みを始める目処—
24か月まで(終了の12か月前)終了時試験の受験支援を申し込む期限A2.2に向けた学習
36か月(終了)まで技能検定3級または育成就労評価試験(専門級)を受験A2.2相当を受験

建設の転籍制限期間は2年なので、本人意向の転籍には、1年目試験の合格とA2.1相当の日本語の合格が必要です。この合格状況は、定着の見通しを立てる材料にもなります。

逆算表と準備物の確認欄を、紙1枚で持っておく

受験時期の逆算表、実技の準備物の確認欄、費用負担の確認欄(実施者・監理支援機関・未定)、日本語の要件、建設・工業製品製造・飲食料品製造の分野別の試験名をまとめたチェックリストです。

日本語の要件(建設)

建設分野の別紙5には、日本語について分野固有の上乗せ基準の記載は確認できず、共通の3時点(開始前A1相当、転籍時A2.1相当、終了時A2.2相当)が適用されます。A1相当講習の100時間要件はA1講習100時間の要件、日本語要件の全体像は育成就労の日本語要件、試験を受けさせる義務と頻度は育成就労の日本語試験はいつ・何回受けさせるか、A2までの講習費用はA2目標講習の義務と費用で整理しています。

よくある質問

建設の育成就労では、1年目に技能検定基礎級と育成就労評価試験のどちらを受けますか?

業務区分と主たる技能で決まります。分野別運用方針の別表3では、55の主たる技能のうち41件が技能検定基礎級、14件が育成就労評価試験(初級)です。型枠施工・鉄筋施工・とび・左官など多くの技能は基礎級、建設機械施工・溶接・管路更生・鉄筋継手(圧接)・電気設備施工は評価試験(初級)です。受入予定の技能が別表3のどの行にあたるかを先に確認してください。

建設の育成就労評価試験(初級)の実施機関や受験料は決まっていますか?

2026-10-01時点で、出入国在留管理庁の試験関係ページには建設分野の育成就労評価試験の試験実施要領は掲載されておらず、実施機関・受験料・実技の内容は公表待ちです。現行の特定技能1号評価試験の実施機関は建設技能人材機構ですが、育成就労評価試験も同じ機関が担うかは確認できていません。

試験に合格できなかった場合、受入企業は再受験させる義務がありますか?

運用要領は、1年目の技能試験に不合格でも2回目を受験させる義務はないとしています。ただし、優良な育成就労実施者の配点(項目Ⅰ)では、初回不合格者に再受験の機会を提供したかどうかが加点項目(再受験率3点)になっています。配点の詳細は別記事で整理しています。

試験の受験日は欠勤扱いや有給休暇でよいですか?

認められません。運用要領は、受験に要する時間は労働時間であり、受験日を欠勤扱いにすることや、有給休暇を取得させたうえで受験させることは認められないとしています。受験手数料・交通費・材料費などを外国人本人に負担させることもできません。

更新履歴と公表待ちの項目

更新履歴:2026-10-01 初版公開(別紙5 別表3・運用要領・試験の方針を原文で確認)

公表待ち・今回確認できなかった項目

  • 建設分野の育成就労評価試験(初級・専門級)の試験実施要領、実施機関、受験料、実技の課題、会場、開始日:公表待ち(出入国在留管理庁「試験関係」ページ、2026-10-01時点)
  • 建設分野の分野別運用要領:外国人技能実習機構の「分野別の情報」一覧ページの建設の行に、2026-10-01時点でリンクを確認できませんでした。掲載後に、様式・提出書類・試験に関する記載を確認して追記します
  • 技能検定基礎級・3級の職種別・建設分野の合格率、都道府県別の受検手数料:今回確認できず
  • 実施者と監理支援機関の費用の最終配分、監理費への算入可否:運用要領に規定なし(配分は規定されていません)

出典一覧

この記事の確認情報

公開日:2026-10-01/最終事実確認日:2026-10-01/編集・事実確認:FRM Journal編集部

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